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044 第二形態

体調不良につき水曜日の更新はありませんでした。

現在も首・頭痛の為、次回更新はまた日曜日を目指したいと思います。

低気圧のせいだと信じたい!。

 ブラフ自身が引き連れた冒険者に止めを刺し、最後のアクションを終えた後、おもむろに剣を放り投げた。

 不気味な行動に俺達は半ば凍り付き、事態の行方を見守ってしまっていた。

 徐々に変質していく顔に、コジカが「ヒッ」と悲鳴を漏らしている。

 そして紡がれた謎の『ウロボロス』という言葉に、コジカも『運命の輪ホイールオブフォーチューン』と呟いていた。


「ねえ、フェザー。アイツ、大きくなってない?」

「みんな、もうちょっと距離をとって。オスカーさんは馬車をお願いします」

「分かった! みんなも気を付けて」


 馬車の警護を、ゼロからオスカーに切り替える。

 オスカーもゼロも戦力としては大きいところだけど、馬車を制御出来るのはこのメンバーでオスカーしかいなかった。

 距離を取ったことで意識を強く保つことは出来たけど、ブラフは大きく体の変化始めていた。

 オスカーは獣憑きと表現していたけど、手短に「オオカミ男」のようなものだと言っていた。


「あれって、フェザーの仲間なの?」

「どうみても理性がないだろ? 多分モンスターと見た方が良いな」


 元々180cmくらいあった身長が3mクラスになり、全体的に肥大化したため着ていた服が弾けていた。

 獣人なら『獣と人の割合』で見た目が変わるし、「オオカミ男」と言うくらいだから同じようなものだと思っていた。

 コジカの「ヘンタイ」という呟きに、それは違うんじゃないかと違和感を覚える。

 サーヤも同じ感想を持ったようで、それを話すと「ヘンタイ違いです」と返されていた。


 ブラフは自身の体を支えきれなくなったのか前方に倒れ、その姿は完成することになった。

 見た目は大きなトカゲ。アカネが「コモドドラゴン?」と言っていたので、ペット系の爬虫類なのだろうか?

 ノソリと数歩前に出たブラフは冒険者の頭をスッとくわえ、まるでスイカを丸ごと噛み砕くようにパシュっと……。


「ヒィッ……」

「コジカ、大丈夫か?」

「ははは、はい……」

「敵が減ったんだから、考えようによっては良かった……かな?」


 サーヤの言葉は、かなり自信が無さそうだ。こんな事なら、盗賊退治で終わった方が楽だったと思う。

 折角一人の死者も出さないように善処しても、ブラフによって全て台無しにされていた。

 あの大トカゲは緩慢な動きに見えて、瞬間的な動きはとても素早い。

 何より顎の強さから推測すると、全体的な力強さがうかがい知れるだろう。


「みんな、行くぞ!」

「「「はい!」」」


 相手に呑まれないように気持ちを引き締め声に乗せる。

 さあ、第二ラウンドの始まりだ!


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 ノソリ・ノソリと動く大トカゲは、進行方向である俺達を邪魔する冒険者を足蹴あしげにしていた。

 ネコ科の肉食獣に比べるとビジュアル的な獰猛さは少ないけれど、一踏みごとに冒険者の一部が弾けていく。

 俺の合図と共に散会し、アカネは焚火の近くでレスリングの立ち合いのように姿勢を低くしていた。

 手を取りに行くかタックルをするような姿勢に、大トカゲは素直に突き進んでいく。


 サーヤとコジカは別方向に離れ、サーヤは両手杖スタッフから弓に、コジカは短剣を掲げて集中していた。

 俺は今まで機動力がない状態で戦っていたので、とにかく車椅子を走らせて大トカゲから距離を取る。

 アカネのことは少し心配だったけど、「ウォーン!」と早速ゼロがサポートに入ったようだ。

 オスカーは静かに馬車を移動させることに成功したらしい。


「メルキナが、安心して眠れないじゃない!」

「シュルルルル」


 ゼロの牙が大トカゲの鼻っ面を掠め、その隙にアカネが首元へまとわりつくことに成功した。

 アカネの戦闘スキルは、小動物系のペットを押さえつけるのに特化している。

 見た感じ攻撃は受けてはいないけど、締め技が効いているようには見えなかった。

 サーヤの合図でアカネが離れ、矢と『微光線プチレーザー』が大トカゲを襲う。


 矢は皮膚に刺さらなかったけど、『微光線プチレーザー』は何故か大きく避けていた。

 そういえばブラフはこの魔法で傷つき、頬に痕を残したはずだ。

 サーヤは素早く武器を両手杖に戻し、コジカは二発目の集中に入っていた。

 俺はさっきの戦闘で活躍出来なかったので、短時間で戦闘を終わらせるために車椅子の溜めに入る。


「ゼロ、頑張って」

「クゥゥン!(噛むところがない!)」

「行くぞ!」

「はい、フェザー先輩」


 アカネとゼロが道を開けてくれたので、大トカゲへのルートが見えた。

 普通の前衛なら槍捌きを誇りたいところだけど、俺にはそんな技術がないから愚直に真っ直ぐ進むしかない。

 槍をやや斜め下に構え、車椅子の溜めを解放する。

 まるで暴れ馬のようにウィリーする車椅子を抑え、そのパワーさえも推進力に変換する。


 《スキル【アクロ走行】のレベルが上がりました》


 システムメッセージが脳裏に浮かんだ瞬間、俺の槍はあっさりするくらい大トカゲに深々と刺さっていた。

 引き抜いた瞬間、き出る血の塊に一瞬だけ身構えると、暴れだした大トカゲの尻尾が俺を襲った。

 その攻撃は車椅子の車輪でガードする。かなり重い一撃だったけど、俺の車椅子はエアーホッケー状態だから被害は少ない。

 大トカゲはかなりのダメージなのか、緩慢な動きだった面影はどこにもなかった。


「フェザー先輩、今ワープしませんでした?」

「俺は乗ってるだけだったから、変な加速したくらいしか……」

「ねえ、フェザー。どうする?」

「これは、遠隔攻撃で仕留めた方が良いよな」


 みんなの視線がコジカに集まる。

 サーヤの弓矢は皮膚を貫くことは出来ず、大トカゲに水を噴射してもワニっぽく見えて効かなさそうだ。

 よくよく見ると、大トカゲの頬には一筋の傷が残っていた。これは多分、人間状態の時に負ったものだろう。

 大暴れする大トカゲの周りで、攻撃が届かない位置から跳ねるように警戒している吠えるゼロ。

 意を決したコジカは静かに、それでいて滔々と呪文を紡ぎだす。


「い、今……時満ちたり。コジカの名にいて、銀の刃は煌めく。アルテミスよ、一条の光となって敵を貫かん」

「頑張って、コジカちゃん」

「見せ場だぞ、コジカ」

「どかーんって行っちゃってください」

「これで終わりです、『微光線プチレイザー』」


 グルグル・ドタドタと暴れ、その外周を更に警戒していたゼロは、アカネとのアイコンタクトで早々に離脱する。

 その後すぐにコジカの呪文が完成し、大トカゲの眉間を貫いた。

 狙う所を狙えば、一撃で仕留められるのを証明するような攻撃だった。

 一瞬で事切れたように見えたけど、最後のあがきなのか死後硬直なのか、大トカゲはグルリと円を描くように丸くなる。

 最後に何故か尻尾の先を噛んだ大トカゲは、完全に沈黙したようだ。


「やー、終わったね」

「フェザー先輩、これって素材が取れるんでしょうか?」

「サーヤ、分かるか?」

「ん~、どうかな?」


「サーヤさん、まだ近付かないでください」

「どうしたの? コジカちゃん」

「これって……、ウロボロスかも?」

「そういえば、カードの名前も出してたよね?」


 大トカゲの姿が徐々に霞んでいき、元の人間の姿に戻ったブラフが現れた。

 辺り一面死体とどす黒い・・・・血痕で、ひどい事になっている。

 サーヤは大量の水で血を洗い流し、ゼロは野営地から少し離れた所に死体を捨てに行っている所でオスカーが戻って来た。

 メルキナは眠りについていて、今は安全らしい。全員が揃ったところで、コジカの続きの言葉を待った。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 タロットカードで22枚ある大アルカナの十番目のカード、『運命の輪ホイールオブホーチューン』。

 自らの尻尾をむ蛇が意匠になっており、カードの意味としてはその名の通り『運命』や『チャンス』を表すらしい。

 占う内容によって意味合いも大きく変わるらしいけど、コジカはこの辺の説明を省いていた。

 ウンウンと頷くサーヤに、後で聞いてみると良いかもしれない。


 ただタロットには『正位置』と『逆位置』があるようで、必ずしも良い意味だけに捉えられないとコジカは言う。

 もし『秘密結社』のような組織でブラフが下っ端だった場合、俺達はこれらに関わる『悪運』に巻き込まれる可能性もあるようだ。

 その時『キー』になるのが『運命の輪ホイールオブホーチューン』で、爬虫類の敵がやってくるのかもしれない。

 全ては想定でしかないけれど、心構えとしては持っていた方が良いと思う。


「オスカーさん、これもシナリオなんですか?」

「サーヤさんも冷めた見方するね。テスト期間中は、メインシナリオは進まない。だけど、この世界は善人ばかりではないよ」

「シナリオが進んでいないのに、俺達が倒しちゃって良いのですか?」

「それは何とも言えないけど、降りかかる火の粉を振り払うのが……」

「「「「冒険者!」」」」

「ウォン!(そうそう!)」


 ゼロもパーティーの一員として参加したいようだ。

 再び運搬に向かったゼロを見ながら、俺達は出発の準備を始める。

 コジカは『ライト』の魔法が使えるし、無理をすれば昼頃には到着出来ると思う。

 残り一日の距離なので、全員で動けば何とかなるだろうし、一日に二度も襲撃はない筈だ。


 御者席にはオスカーとコジカが、アカネはメルキナの傍についていてくれる。

 サーヤは俺の車椅子に素早く【騎乗】カードを挿し込み、一緒に行く気満々だった。


「夜なんだから静かにしろよ」

「はいはい、分かりました!」

「みんな、準備は良いか?」

「「「「はーい」」」」

「ウォォォォン(はーい)」


 いきなりのゼロの遠吠えに、アカネは『メルキナが起きちゃうでしょ?』と言いたげに無言の圧力を送る。

 出鼻をくじかれたゼロは、『クゥゥン』と甘えた声を出していたけど、俺達はお互いの顔を見て笑ってしまっていた。

 初めての護衛任務、その旅が終わりを迎えようとしている。

 願わくは『今後のメルキナの人生に、幸大からんことを……』、そんな事を考えながら俺達はラヴェール村に向かって走り出すのであった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 フェザー(冒険者):セットスキル

【槍技:弐】

【精霊魔法/風:壱】

【腕力強化:壱】

【根性:壱】

【アクロ走行:弐】

【緑の鑑定:壱】

【警戒:壱】

 ボーナススキル:【冒険者の心得】

 必殺技(BSM):【強打】

 車椅子:サーヤの【騎乗】カード

 チェインポイント:8P


 魔法スペル

風発生ウィンドジェネレーション

風弾ウィンドボール

座布団クッション

ご覧頂きありがとうございます。

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