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プロローグ
世界は広大で人では未だ全容すら分からぬものである。
しかし、幾星霜の時が経とうとも、本質は変わらず、それは人もまた同じ。
ーーこの者の力は危険である。
ーー拠って、生かし続ける事は難しくしかし、殺すことも出来ず。
ーー百万の軍勢を単騎で屠り、山を砕き、地を割り、天を裂くその力。
ーー永劫の時の彼方まで封す。
ーー時の果てで、孤独に目を覚ますがいい。
世界は広大で、そして人にとっては厳しい獣の世界である。
鬱蒼と覆い茂る木々が作る、深い森。
人の足では到底踏破できぬ、高く険しい山脈。
そして、鋭利な爪と尖鋭の牙を持つ無数の獣たち。
人々は、その世界で細々と生きていく。
肉体に宿る理外の力で
魂に宿る好奇心と欲望で
頭に宿る知恵で
そうして、世界は今日も命の輪を回している。