このルームメイト達は個性的でした。
遅れたよー。
この高校にはもう一つ魔法科と剣士科で違うものがある。それは二つの科で校舎が違うことだ。これは学校側の教育のしやすさで分けたんだと思うが、生徒間ではこれも差別の対象となっている。魔法科の方が人数は少ない為、その分校舎も小さい。剣士科は人数が多く、校舎は大きい。それは仕方ないと思う。実際に剣士科と同じぐらいの大きさでは有り余ってしまう。
そして今、俺が来ている学生寮にも魔法科と剣士科で分かれている。
「中は綺麗だな」
俺は魔法科学生寮の管理室で手続きを終え、中へ入っていた。学生寮の中は案外広く、また綺麗だった。ちょっとした娯楽施設もあった。ちなみに風呂はなんと温泉がある。長ら
く温泉に入ってなかったから、嬉しい。
「俺の部屋は…っと」
102号室と書かれた扉の前につく。
「あ、ここか。ではお邪魔しますー」
広い。それが最初の感想。あ、ちなみに学生寮は四人部屋が普通となっている。だから広いってのもあるが四人にしては十分すぎるだろ。
「テレビあるやん…!」
何から何まで揃いすぎだ。とりあえず俺はソファでくつろぐことにした。
すると、ドアをノックする音が聞こえる。
「はい?」
「お邪魔し…うわ!でけぇなー!」
扉を開けたそこには金髪のやんちゃそうな男が立っていた。その男は嬉しそうに中へ入ってくる。
「テレビあるやん!」
いや俺と同じこと言うな。
「あ…!」
やっと俺に気づいたようだ。そんなに俺、影薄いか?
「よろしく!俺、鏡恭二っていうんだ。きょーじって呼んでくれ!」
「俺は凪裕也だ。ゆうやでいい。こにらこそよろしく頼む」
「よろしくなーゆうや!」
元気なやつだ。そう、こいつは俺のルームメイトとなる。これにあと二人いる。ちなみにあと二人もこの後来るらしいと管理室の人に聞いた。
「ゆうやも今日からここに住むの?」
「ああ、そうだな。ちなみにあと二人も今日から住むらしいぞ」
「やっぱそうだよなー!わくわくするなー!」
本当に嬉しそうにする。見ててこっちも嬉しくなる。
「ちょっと俺、荷物整理するわ!」
「俺も今来たばっかだから整理するよ」
しばらくして、俺ときょーじが荷物整理にひと段落して、休憩していると、
「失礼しま…でっか…」
やっぱ広さだよな。またルームメイトが入ってきた。白髪の眼鏡をかけた優秀そうな男。
「テレビある!」
いやお前もかい!堅苦しいやつの感じしたのに。
「おっと失礼。君たちはこの部屋のルームメイトかい?」
「ああ、そうだ。俺は凪裕也だ。ゆうやと呼んでくれ」
「俺は鏡恭二だ!きょーじって呼んでくれ!よろしく!」
「俺は岸谷浩也という。こうやと皆からは呼ばれていたからそれで頼む。よろしく」
案外堅そうなのは見た目だけかもな、こいつ。
「それにしても広いな、ここ」
「だよなー。四人なんて軽々だぜ!ここでバスケできるぞ!」
「いやそこまでデカくねーよ」
するとすぐにノックが聞こえた。
「あーさっき俺が手続きしてる時に後ろに並んでたやつかも」
こうやともう一人はほぼ同じ時間帯だったんだな。ドアの先には小柄で大人しそうな男がいた。
「……でか」
やっぱ、言うんだ…。でもさすがにあれは言わないよな。大人しそうだし。
「…テレビ…ある…」
もうなんも思わねーわ、ここまでくると。皆テレビ好きすぎだろ。
「あ、最後の一人きた!よろしく!俺は鏡恭二だ!きょーじって呼んでくれ!」
きょーじが今日三回目の自己紹介を始める。
「凪裕也だ。ゆうやと呼んでくれ。よろしく」
俺も全く同じように今日三回目の自己紹介をする。
「俺は岸谷浩也という。こうやと呼んでくれ」
お前も二回目だな。さっきより短縮になってるぞ、そこは全部言わんと。
「僕は…谷津翔…。よろしく…」
多分無口なんだろう。最低限のことしか言わなかった。
「いやー個性的ですなー皆!」
お前が一番個性的だわ!
「お前が一番個性的だと思うぞ」
こうやに同じこと言われたー。俺言おうとしたのに。
「そーか?あはは、まぁ誰でもいいや!」
誰でもいんかよ!心の中でつっこむ。
でも、なんだかんだいってルームメイトの四人が揃ったな。これから楽しい学校生活になってくんだろうな。こんな感じはいつぶりだろう。楽しい、これが楽しいか。
裕也はこの思いを、一瞬で壊されることになろうとはまだこの時には思っていなかった。
ちゃんと書くよー。