この教室に間に合いました。
遅くなりました。
「ふぅ…間に合ったか」
「ギリギリセーフですね」
「ああ、本当にな」
俺はホームルームに何とか間に合った。結構ダッシュしたぞ。廊下は走っちゃいけません!が脳内再生されちゃったよ。まぁでも間に合ってよかった。
「よし、全員いるな…」
担任が教室へ入ってくる。黒髪ロングの女の先生だった。
「まずは自己紹介をする。私の名前は原井響華という。この一年魔法科クラスの担任となった。今後ともよろしく」
少し男勝りな担任だな。話し方で分かった。
「なんだか、かっこいい先生ですね」
「まぁそうだな」
隣にいる安堂が話しかけてくる。
「てか、安堂なんで俺の隣にいるんだ?」
「え!?…いや、あの…知ってる子がいなくて…そ、それに!席は自由って教室の入り口に書いてあったので!」
「まぁ俺も話せる人いなかったし、隣とっといてくれてありがとな」
「い、いえ!」
安堂は照れたように頬を赤くする。
ホームルーム時にはこの学校の説明があった。大体は分かってたけど知らないところもあった。例えばこの一学年が六クラスに分かれている事。俺たちがいる一年魔法科クラスと、剣士科のクラスが後、他のクラス全部だ。やっぱり剣士科の方が多い。だが比率がおかしすぎだろ。これはばかにされるわ。それに一クラスの人数も違う。魔法科クラスは一クラス四十人に対し、剣士科クラスは一クラス五十人だ。圧倒的に少ない。だが授業には格差がないようだ。魔法科は筆記がメインの授業、剣士科は実技がメインの授業と分かれている。教える先生も、トップクラスの先生ばかりだという。なので卒業する頃には立派な魔術師、剣士となっている。ありがたい話だ。
ホームルームが終わり午前が終了する。午後からは自由にしてもらっていいそうだ。俺はどうしようかな。そういえば、まだあそこに顔をだしてなかったな。俺はある場所へ向かう為、教室を出ようとした。
「な、凪さん!こ、この後って、よ、予定ありますか?」
「あ、うん。ちょっと行かなきゃいけないとこがあってね。ごめんな」
「い、いえ!こちらこそすみませんでした!」
そう言って教室から走って出て行く安堂。俺、なんかしたか?はっ!もしかして…嫌われた!?入学早々に嫌われる俺、無念。
「とりあえず向かうか…」
俺はある場所へ向かう途中、先ほどの小野宮との会話を思い出す。
「特別に俺の秘密を教えてやろう」
「な、なんなの。その秘密って」
「そういえば、魔剣士って初めて見たか?」
「まぁそうね。初めてだわ」
「初めて見たにしては随分落ち着いているようだな」
「…あんなのを見たから…もう驚かないわ…」
「あんなの?」
「いいの、気にしないで。とりあえず見たのは初めてだったけど何故か驚かなかったわ」
「そうか…。面白くねーな、小野宮」
「悪かったわね!」
「まぁいい、本題に入る。お前は魔眼持ちだから分かるが、魔眼は遺伝する。それは分かるな?」
「ええ、この通り」
そういって目を見開く。いつみても綺麗な赤だ。
「それと同じで俺も親の遺伝で魔剣士になった」
「てことは、凪のお父さんも魔剣士だったって事でしょ?そして強い」
「ああ、そうだ。二十年前、ヴァールズに魔剣士がいたのを知ってるか?」
「知ってるわ。生きる伝説って呼ばれてる偉大なお方よ」
「そう、その人はな、俺の父親だ」
明日は難しいかな?