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第2話 私は平凡な称号が欲しい

 ーー能力解放の儀ーー


 それは14歳に全ての人が受ける儀式。

 毎年春に行われる儀式。今は春だからそろそろ今年も行われる時期だ。


 14歳になると各地の聖堂にて、儀式が行われる。

 儀式はいたって簡単で、聖堂内にある石碑に左手首を当てて終わり。

 すると左手首に刻印が刻まれる。そのマーク各国のマーク。2センチ程度の小さなもので、色は焦げ茶。触れると白く光り、目の前に文字の羅列が浮かぶ。

 名前、年齢、性別等既存の情報に続き、以下の情報を新たに手に入れることが出来るのだ。

 レベル、称号、各種パラメーター、スキル、サブスキル、魔法等。


 最初は皆レベル1で、魔物を倒したりするとレベルが上がる。今まで魔法が使えなかった人も、レベルが上がると発現したりする。スキルも手に入れたり出来る。

 この儀式をすることで、より強くなることができるのだ。


 勿論それまでの努力は無駄ではない。

 14歳までの鍛錬はパラメーターとして反映される。魔法を習得していれば、儀式後最初から魔法が使える。その場合は称号が魔法関連の可能性が高い。


 ーー称号ーー

 これがある意味一番重要だ。これが何かで将来なれるものが決まるようなものだ。パラメーターや覚えていくスキルや魔法にも多大な影響を及ぼす。


 例えば『魔法使い』なら魔法に特化した成長を遂げ、『騎士』なら剣技に長けた成長をとげる。因みに称号は変化する。『魔法使い』から『上級魔導師』等。

 稀に『勇者』になったりする人もいるが、そうなると魔王討伐に否応無しに駆り出される。

 それだけ称号は人の人生を左右する重要なものなのだ。

 称号は大抵の人が公開するが、その義務はない。だが大抵は公開しないと仕事が出来ない。騎士団に入るならそれに相応しい称号がいる為、入団試験の際申告しなくてはならない。


 成人とは別だが、この儀式を終える事で社会のスタート地点に立つことが出来る。

 騎士団やギルド登録等沢山の職業が、この儀式を終えないと付くことができないのだ。

 称号がいるという理由もあるが、能力の向上の関係もある。

 それだけ、とても重要な儀式なのだ。


 公開しない例としては、『勇者』の称号を手に入れた者がそれを嫌に思い、公開せず関係ない道を歩もうとする。

 そりゃいきなり勇者になってもねー。心構えもなくそうなれば逃げ出したくなるわ。

 しかし、大概何か事件に巻き込まれたりして気がついたら勇者として魔王討伐に向かってたって人が昔いたわね。


 つまり、その称号の運命からは逃れることは困難を極めるのだ。


 ああ、どうか平凡な称号でお願いします。

 私は祈るように手を合わせた。


「?どうかしたのか?」


「いえ、なんでもありませんわお兄様。そう言えばお兄様はどのような称号でしたっけ?」


「私のは『ミッドハイツの劔』だ。欄外に侯爵補助・騎士とあったな」


 そうそう、実際の称号名はこのように個々に合ったへんてこりんな名前なのよねー。欄外に書かれている補足のが分かりやすくてそっちで覚えてたわ。すっかり忘れてた。

 魔法使いとか騎士とか勇者ってのは欄外に書かれている内容なのよね。

 まぁ、皆分かりやすい欄外の内容ばっか見てるけど。

 自分の以外の正式名なんて覚えないわよ。


 前世の私のって内容は聖女だったけど、何だったっけ?

 確か『古の聖樹』だったかな?


「お前も良い称号が得られると良いな」


「そう……ですね」


「そう言えばユーリウス王子は御年14歳。どのような称号になるか注目が集まるな。お前のは案外ユーリウス王子の妃を暗示する称号かもな、ははっ」


「お兄様、そのような冗談はおやめください」


 冗談じゃない。王室なんて陰謀が渦巻いてそうな場所に行くなんて真っ平御免よ。冗談でもそのようなことは言わないでいただきたい。

 お兄様の所為で、その日の朝食の味はよく分からず全然楽しめなかったのであった。

「私が悪役令嬢だからって、こんな仕打ちは酷すぎませんか⁈」の連載を再開いたしました。

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