表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/24

第21話 自由魔法2

「本は読んだか?」


「はい」


 翌日、朝食後私はセリュードさんに呼び止められた。


「あの本の内容って本当なんですか⁈衝撃的な内容で早く試したくてウズウズしているんです」


 私は興奮気味に話す。すると心なしかセリュードさんの顔に笑みが浮かんだように見えた。


「ーーじゃあ、早速試すか?」


「はい‼︎」


 私は間髪入れずに勢いよく答えた。


「向上心が高いのは、嫌いじゃない。じゃあ支度が済んだら裏庭に集合だ。いいな」


「はい‼︎」


 私は勢いよく返事し、支度をしに部屋へと戻った。



 裏庭に行くと、帯刀したセリュードさんが待っていた。その格好は服装も相まって騎士さながらだ。いや、王子でもありだな。

 本当に絵になるな。


「ん?なんだ?」


「へっ⁈いや……あの……そうしていると、騎士や王子みたいだなって。セリュードさんって綺麗ですよね」


 思ったことをそのまま口にすると、セリュードさんの眉間にシワが浮かび上がった。

 おっ、怒っている。

 男の人に綺麗って言い方は良くなかったかな?格好いいの方が良かったかな?


「……妙なことを口走るな。オレはごく普通の男だ」


「はっ、はい。すみませんでした‼︎」


 いやでも、こんな見目麗しい人は普通じゃないです。冒険者ランクⅣは普通じゃないです。


 今度は口には出さずに、私は心の中でそう呟いた。


「ーーでは、特訓を始める」


「はい‼︎」


 するとセリュードさんは魔法を唱え始めた。


【荊の檻よ、囲え。全てを隠せ。

 ウィップシールド】


 セリュードさんが魔法を唱えると私たちを薔薇のツルが覆い、瞬く間にツルでできた囲いが出来上がった。半径10M程度だろうか。外は全く見えない。


「これは……」


「土属性の結界魔法だ。お前の魔法は威力がでかい。他所に被害が出る恐れがある為、結界を張った。じゃあ、早速自由魔法の訓練をするか。光以外でどの属性に適性があった?」


 ……ここは素直に答えていいのだろうか。全部の属性に適性がある人っているのだろうか?

 そもそも聖・闇に関しては隠していたし、1・2個適性があったと言うべきか。

 なら四属性のうち、どの属性を選ぶべきか。


 ・ファイアボールは火の玉を発射する魔法。

 ・アクアショットは水の粒の弾丸を複数発射する魔法。

 ・ウインドブレードは風の刃を放つ魔法。

 ・ソイルアッパーは地面から硬い土で上へ攻撃する魔法。


 アクアショットは前世も使えたし、リュミエールショットと似てるから除外しよう。

 ファイアボールも単発だが手から球状のものを発射させるのは一緒だし止めよう。

 ウインドブレードは、本には刃をブーメランのように飛ばしている絵が描かれていた。もし、飛ばさずに手で持てたら近接戦も出来る。色々試してみたいのでこれは是非覚えたい。

 ソイルアッパーは下から上への攻撃で自分の位置から魔法が放たれない。他のとはそこが違う。これも戦術の幅を広げることが出来そうだ。


「風と土でした」


 私はこの2つを選んだ。セリュードさんは良い人だが、手の内をさらけ出すわけにはいかない。彼だって私に話さないと決めていることはたくさんあるはずだ。

 冒険者はお互いのことを深く探らない。

 そういうものだ。

 だからここで私が嘘をついてもなんら問題はないだろう。


「そうか。風と土はオレも適性があるから、丁度教えられるな」


 えっ⁈ピンポイントで当たったの?

 それともこの人四属性使えるとか?

 意外とたくさんの属性が使える人は多いのかな?


「あの、セリュードさんはどの属性が使えるのですか?」


「水・風・土の3つだ。剣士の部類では多いほうだな。魔道士だと2つ以上使える人も結構いるからな」


「へえ。じゃあ四属性使える人もいるのですか?」


「それは……かなり少ないんじゃないかな。3つ使える人はいるけど、4つは殆ど聞いたことがないな。この街でも片手で数えるくらいじゃないかな」


 セーフ‼︎使えるの3つまでにしといて良かった。


「じゃあ今から実演してみせるから、しっかり見ていてくれ」


「はい‼︎」


 セリュードさんは普通に魔法を放つのではなく、分かりやすいように放つ前に手で留めてくれたり、地面から出てくる直前で止めてくれたりした。

 ウインドブレードは、詠唱を始めると手のひらに緑の光が集まり風の力が凝縮される。そして放つ手前でヤイバの形に変わり、放たれる。

 ソイルアッパーは、詠唱を始めると自身のいる地面が黄色く光る。そして放つ瞬間、現れる場所が黄色く光り、地面からの鋭い攻撃が繰り広げられる。

 詠唱中にどこに攻撃するか定めて放つのだろう。どこまでの距離が選べるのだろうか。 やはり熟練度や魔力に左右されるのだろうか。


「質問があります。ソイルアッパーの出現箇所はどの辺りまで選べるものなのでしょうか?」


「初心者は5M〜10Mくらいが多い気がするな。極めればなかり遠くに攻撃出来るかもしれないな。初級魔法故あまり極めた人の話は聞かないが」


 そっか。でもかなり遠くに出現させれたら、敵はかなりびっくりすると思うな。でも手練れだと出現箇所が光るからバレちゃうか。

 光を抑えて、遠くに攻撃出来たらかなり使えるよね。


「では一度やってみるか」


「えっ?もうですか?」


「お前は筋が良さそうな気がするからな」


「……ありがとうございます」


 私は言われるがまま魔法を放つことにした。まだ一回しか見てないけど出来るかな?

 確かにセリュードさんはためて見せたりしてくれたから、すごく分かりやすかったけど。



【疾風の刃よ……】


 えっと手に意識を集中して風が集まる感じで……うぅっ、風圧で手が弾かれそう。


【我が手に宿て力となれ】


 あっ、安定して形を保てるようになった。長細くなってきた。これって魔法名を言ったら手から離れるのかな?

 逆に言わなければ、この細長い風を凝縮した魔法を手で持っていられるのかな?


 私は何も言わずに歩いた。


「?おい……」


 そしてセリュードが的がわりに生やしてくれた木の前まで来た。


「えいっ‼︎」


 バシュッ



 切れ味のいい音が鳴った。

 そして、目の前にあった木には深い切り傷がついた。


【ウインドブレード】


 そして魔法名を言い、目の前の木めがけて放った。



 ドォーン‼︎


 先程の力とは比べ物にならない威力の魔法が放たれ、木が折れた。



「出来た……」


 形を形成出来たらそのまま剣としても使える。その後最後まで言えば魔法として放てる。

 でも風の剣は、私に剣術の技術や力がないから弱い。

 逆に魔法としては、魔力が高いから威力が高い。


 これを使いこなすには、剣術も学ぶ必要がある。

 まあ、元々学ぼうとしていたしね。


「おい、今のは……」


「えっ?」


「ウインドブレードを剣として使うなんて聞いたことがない。何故あんなことが出来た?」


「なっ……なんとなく?唱えている途中で、このまま振ったら木を切れるかな?って思ったので」


 私は思ったことをそのまま言った。

 えっ?私まずいことした??


「……普通はそんなこと思いつかないぞ。お前は魔法の威力といい、色々凄いな。将来ウェルベベフ魔法学院に行ったらいいんじゃないか?」


 あの世界一と称される魔法学校か。各国の筆頭魔術師は大概あそこの出と聞く。

 そうね、ここでお金と力をつけてから学校に行って更に魔法に磨きをかけるのも悪くはないかもね。

 そっか。普通はそんな風に考えないのか。

 確かに前世では魔法を変えるとか考えもしなかったな。

 なんでそう思ったのだろう。

 なんだか漠然と出来るような気がしたんだよな。


「まあ、今は自由魔法の習得と剣術の習得だな」


「そうですね」


「取り敢えず、風魔法を習得したから残りの時間は剣術をしてみるか。お前は、剣の経験は?」


「残念ながら全く」


「何か運動は?」


「いえ、全然」


 だって侯爵令嬢よ。運動なんてするわけないじゃない。残念ながら走ったらすぐ息が上がるわよ。

 まあ、出自に関しては言えないので声には出して言わないが。


「……根本的に体力づくりから始めるしかないな」


「……すみません。よろしくお願いします」


 こうしてセリュードによる、厳しい特訓が始まった。







「もっ、もう無理です。……は……はあ……」


「まだだ。後10周」


「ひっ、ひい‼︎」


 空はオレンジ色に染まっている。既に夕刻だ。

 私はセリュードに言われてひたすら走り続けている。

 つむぎ荘の裏庭はかなり広い。

 マリヴェルさんが調合で使うと思われる薬草が沢山生えている。野菜も栽培されている。庭というより畑だ。

 裏庭をぐるっと一周すると100Mはあるかと思われる。

 私はひたすら走り続けた。止めと言われてホッとしたのもつかの間、水分補給と軽く食事をしたら今度は剣を手に取り、ひたすらセリュードさんに打ち込む。

 もう何回剣を振ったか分からない。


 そしてまた走らされている。

 足元がふらつき、何度も転んだ。全身ボロボロだ。


「……もう……限……界」



 ドサッ


 私は意識が遠のき倒れてしまった。



「まだまだだな」


 意識が消えゆく中、セリュード さんのそんな冷ややかな声が聞こえた気がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ