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第20話 自由魔法1

「確かにここにはそう記載されてるわね。……でも……。もしかして不正?……いや、そんなこと出来るわけ……」


 街に戻った私たちは、まだお店がやっている時間帯だったので、お使いクエストを完了してからギルドへと向かった。


 二人でクエスト完了の報告する。

 完了したクエストは、ギルドにてカードまたはタグを受付の人が持っている道具にかざす事で完了とみなされ、ギルドから報酬が得られる。

 その際、誰がどれだけ討伐したかという情報がギルドにも渡る。

 討伐クエストのドロップアイテムに関しては、報酬上乗せでギルドに渡すか、自分で持つか選択出来る。

 今回は私が貰うことになった。セリュードさん曰く、アクアウルヒィの蒼玉は杖に嵌める石として良いらしく、これで武器を作るよう進言されたからだ。

 自分で持つのを選択した場合、クエスト情報からは消される。そしてギルドにも入手した事は伝わらない。

 これはレアなアイテムを手に入れて、人に情報が漏れるのを防ぐ為である。


 現在クエスト完了の報告を済ませ、報酬をもらうところである。

 だが、ミリアさんは私たちの討伐データとにらめっこしながらブツブツ独り言を言っていて、一向に報酬が貰えない。

 順調順調。

 私たちの狙い通りだ。


 彼女はそのデータを見た時、目を見開いて私を見た。そして眉間に皺を寄せた。

 怒っている。

 そりゃそうだ。私は彼女の言いつけを破り、勝手に討伐クエストに参加したのだ。


 暫くして、また彼女は自分の手元にあるクエスト情報に目を通す。

 そして今に至る。


「そうか‼︎とどめだけシェリーがさしたのね。彼なら魔物を殺さずに、死ぬ手前ギリギリまで弱らせることも出来るかもしれない」


 ミリアさんは閃いてうんうんと頷き納得している。

 でもそれ、違いますから。


「オレは手出ししていませんよ。彼女が討伐しました。まあ、アクアウルヒィに関しては、回避が大変そうだったので、オレが担いで彼女が攻撃しましたが」


「……本当ですか?」


「オレが嘘をついて何の得になるのですか?」


 沈黙が流れた。

 うぅっ、こういうの苦手。

 胃がキリキリしてきた。


「……わかりました。模擬テストを行いましょう」


「あっ、ありがとうございます‼︎」


 こうして私は模擬テストを受けれることになった。

 しかし今日はもう時間的に難しいとのことで、私たちは報酬を受け取って帰路に着いた。


 つむぎ荘に着くや否や、セリュードさんは私に一冊の本を手渡した。


『アラカスザーンの魔法理論』


 本の表紙にはそう書かれていた。

 森にいるときにセリュードさんがオススメしていたあの本だ。

 古い本かと思いきや、結構新しい本だ。だが、何度も読み込んだ跡がある。

 オススメしていたから、セリュードさんもかなり読み込んだのだろう。

 一体どんなことが書いてあるのだろうか。


「ありがとうございます。早速読んでみますね」


「ああ。それと模擬テストを受けるのは少し後に出来るだろうか?」


「?何故ですか?」


「お前の魔法は凄い。あまり本当の力を見せない方が良いかもしれない」


 確かにレベル1にしては、強過ぎる。

 でもあれで最低出力なんだからどうしようもないじゃない。


「まずは今日その本を読め。話はそれからだ」

「はっ、はい……」


 私はセリュードさんの迫力に負けて思わず返事をした。

 取り敢えず本を読もう。

 後のことはそれから考えよう。

 私は夕食と風呂を済ませ、早速本を読むことにした。




【アラカスザーンの魔法理論】


 魔法はサブスキルに魔法関連のがなくては使えない。

 魔法は魔法欄に何も記載がなければ使えない。

 魔法は魔力がなくては使えない。



 それは世界の常識。


 ーー今まで人々はそう思い込んで生きてきたのだ。



 ・魔法は魔力がなくては使えない。

 ーー違う。なくても使える。


 魔法道具は、その道具の力で魔法を行使する。魔法を使えない人でも使える。

 故に人は魔力がなくても魔法は使える。


 そんなのは当たり前だ。

 それは屁理屈だ。

 そう唱える者もいるだろう。

 だが魔法道具は、魔法が使えない者でも作ることが出来る。これは知っているだろうか?

 ……うん、知らないようだね。

 そう、魔法道具は誰でも作れる。

 魔石と理論が分かれば、誰でも作れるのだ。


 ・魔法はサブスキルに魔法関連のがなくては使えない。

 ーー違う。なくても使える。


 ……正確には使える者が殆どだ。

 人は皆、基本的に1つ以上の属性に適性を持っている。

 ただ眠っていて表面化されない人が殆どだ。それを無理矢理叩き起こせば使うことは可能だ。

 稀に、本当に稀にどの属性も持たない人がいる。その人は非常に残念だが、無理だ。

 だがそういった人は何万年に一人いたら多いなと言うレベルかと思われる。

 だから君は使える‼︎


 ・魔法は魔法欄に何も記載がなければ使えない。

 ーー違う。なくても使える。


 魔法には固有魔法と自由魔法がある。

 固有魔法は、取得していないと使えないが、自由魔法は適性があれば誰でも使えるのだ。



「……凄い。こんな話聞いたことない」


 私は本の冒頭部分を読み、衝撃を受けた。


 アラカスザーン。稀代の魔導師、変人魔導師。セリュードさんはそう言っていた。

 彼は大昔の人ではなく、今現在生きている人。この本が書かれたのも三年前だ。


 この本に書かれていることが本当なら一大発見だ。世界を震撼させる出来事だ。

 なのに何故皆知らないのか。


 それはこの本が出回ってないから。理由は読み終えた後でと言われた。

 凄いことが書いてあるのだから是非増刷するべきだ。



 私はページをめくり読むのを再開した。


 本書では、自分の魔法欄にないものを使えるようにする術を記載する。


 まず、属性だ。

 サブスキルに使いたい属性のがなければ、その属性の魔法は放てない。

 ないのなら起こすまで。

 まずは使いたい属性の魔法をその身に受けよ。

 もし貴殿がその属性を使えるのなら、使える準備が整うはずだ。

 この段階ではまだサブスキルには載らない。

 そこで魔法道具を使う。


 私が開発した『属性発見器』だ。

 この本の付録として巻末に付けておいた。まずはそれを取り出すが良い。


「巻末の付録?」


 私は本の一番後ろのページを開いた。

 本の背表紙の裏には、真ん中に空洞があり、その中には丸い不思議な道具が入っていた。

 私はそれを取り出した。


 取り出すと握りこぶし2つ分くらいの大きさに変化した。

 台座の上に透明な球体が乗っている道具。その中には色々な色の小さな丸い物体が浮いている。

 私はそれを机に置いて、ページを元に戻した。




 魔法道具を出しただろうか?

 台座には左右に握れるように取っ手が付いている。それを握るが良い。

 そして魔力をその道具に込めるように集中するのだ。



 私は書かれている通り握った。そして道具に意識を集中させる。すると球体の中にある丸い物体が光りだした。


「えっ⁈こっ、これどうすれば良いの⁈」


 私は目線を本に戻した。



 中にある丸い物体で光ったものがあるだろうか?

 光ったものがあったのなら喜べ。

 それは適性がある属性があったということだ。


 赤は火

 青は水

 緑は風

 黄は土

 白は光

 黒は闇


 聖女の力は他の属性と違うのでこの道具では測れない。

 だが、光魔法と水魔法を使う女性に多いという統計が出ている。

 さて、貴殿はどの属性が光ったかな?

 その光った属性を元に、次の自由魔法について説明をしていこう。



 私は再度道具を確認した。


「……全部光っている」


 何度見返しても全部光っている。まだ各属性の攻撃を受けていないのに。

 試しにやってみただけなのに。

 まさかの既に全属性適性ありとは。

 前世の私は聖・光・水だったのに。

 今世の私は凄すぎだ。


 取り敢えず、自分の適性のある属性は把握出来た。

 試しに能力の確認をしてみる。

 私は左手首に触れた。


 ……ない。

 サブスキルも、魔法欄もなにも増えていない。

 本当に使えるのかしら?

 私は半信半疑で本を読み続けた。



 まず自由魔法について説明しよう。

 自由魔法とは、魔法欄になくても属性の適性があれば誰でも努力で使えるようになる魔法のことだ。

 私が何故この自由魔法を思いついたかというと、皆が使う魔法には偏りがあることに気づいたからだ。

 魔法欄に記載されている魔法しか使えないと思われているが、使う魔法が同じ人はたくさんいる。

 本当はどんな魔法が使えるか聞いて回れたら良いのだが、人にそう易々と使える魔法を教えたりはしない。

 そこで冒険者として他の冒険者が魔法を使うところを観察し続けた。

 過去の文献を読み漁り、出てくる魔法を調べた。

 そこであることに気づいたのだ。


 火魔法の【ファイアボール】

 水魔法の【アクアショット】

 風魔法の【ウインドブレード】

 土魔法の【ソイルアッパー】


 これらの魔法は四属性の魔法で一番よく使われていた。

 威力の程は、一番低い部類の魔法だ。

 これらは各属性の、一番最初に使えるようになる人が多い魔法のようだ。


 大勢の人が使える魔法。もしかしたら適性さえあれば、魔法欄に記載がない人でも使えるようになるのでは?

 そう何故か思ったのだ。


 私は火と風の適性があるが、上記の魔法は魔法欄にない。

 なので、使える人をひたすら観察し、同じように呪文を唱えてみた。


 最初は失敗続きだったが、試行錯誤しある時掌に小さな火の玉が出来た。

 成功だ。

 どうやらイメージが重要のようだ。

 ファイアボールは掌から火の玉が生成され、相手に向かって放たれる。

 私は何回もたくさんの人のファイアボールを観察した。

 それを思い出し呪文を唱えた。


 風の魔法は私の作った魔法道具で後で適性があると分かった属性だった。


 火の魔法は既に別の魔法を取得していたためか、ファイアボールは取得するのに時間はかからなかった。

 しかし風の魔法はそうはいかなかった。

 ファイアボールと同じ手順でやっても成功しなかった。

 だから風魔法が使える人に頼み私と両手を握りながら風魔法を放つ手前まで行使してもらった。

 手から風魔法の波動を感じた。


 その後呪文を唱えると成功した。

 多分私には風魔法の力がどういったものか体が理解出来ていなかったのが原因のようだ。


 自由魔法を使うには、その属性の力を体が理解することと、使う魔法のイメージが出来ることが重要のようだ。

 魔法欄にないものは、目で見て体で感じて覚えるしかないのだ。


 使えるようになった後、能力を確認したところサブスキルが増えた。

 風魔法はなかったが追加された。

 魔法欄には先ほど使ったファイアボールとウインドブレードは追加されなかった。

 使えるようになったからといって、追加されるわけではないようだ。

 この2つはこれからも先程のように行使する必要があるようだ。


 しかし、風魔法が追加されたことにより、後日違う風魔法が魔法欄に追加された。

 自由魔法は自分の魔法の幅を広げてくれる。

 秘めた可能性を開花してくれる。

 努力で魔法を身に付けることが出来る。


 自由魔法は本当に素晴らしい魔法だ。


 では、習得の手助けになればと思い各属性の初級自由魔法について細かな説明を記載した。

 これを読み、実際に魔法を観察して貴殿が取得出来るのを楽しみにしている。

 なお、光と闇魔法に関しては扱える人が少なくまだ解析に至っていない。

 四属性も初級魔法以外はまだ分からない。


 だが私はこれからも研究していく。

 そしてたくさんの人が、色々な魔法を使える日を夢見て頑張る所存だ。




 パタン



 私は本を閉じ一息ついた。


 凄い。その一言に尽きる。

 しかし、これが本当なら何故広まらないのか。うう、早く理由を聞きたいが、既に夜もふけて寝る時間だ。しょうがない、明日まで我慢しよう。


 そう言えば自由魔法って実際に見て覚えることも重要なんだよね。本を読めって言われたから、明日取得の訓練してくれるってことなのかな?


「明日楽しみだな。……よし、続きを読むか」


 私は明日の特訓に備えて、寝る前に一通り読んでから床についたのだった。

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