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第18話 初クエスト1

「あの、クエストを受けたいのですが」



 私は受付に行き、クエストを受けにいった。受けるのは街のお使い系。今の私はそれしか受けれない。

 私は期限が三日後に設定されている、クエストを受けた。

 内容は「魔石の購入」

 魔石は魔道具を売っているお店でよく売られている魔力がこもった石だ。

 それを加工してアクセサリーや装備品に使われる。

 ただ買いに行くだけなのでなんで依頼なんか?と思うが、忙しくて買いに行けないから期日までに持ってきてほしいという人は結構いるようだ。

 因みに元手がなかったら一度依頼主のところに行き、資金を得てから買いに行っても良いと書いてあった。


「まあ、最初の仕事としては妥当だと思うわよ。頑張ってね」


「はい」


 私はミリアさんから依頼の紙を受け取り、ギルドを後にした。

 ギルドを出た私は暫くまっすぐ歩き、うさぎマークの看板が目印のカフェに行った。中には入らず、外で暫く待つ。

 するとギルドのある方角から歩いてきた一人の男性が、私の前で立ち止まった。セリュードさんだ。

 そう私たちは一緒にギルドに行ったが、中に入ると、顔も合わせず各々自分のクエストを受注しに行った。理由はギルドに悟られない為。


「クエストを見せろ」


 私は先ほど受けたクエストの紙を彼に渡した。


「ん。ちゃんと即日じゃないのを選んだな。これなら万が一帰ってこれなくても大丈夫だな」


「セリュードさんのは?」


「期日が数日あるものをいくつか受けてきた。一応オレが守りながら戦えるもので、近場のものを選んでな」


 私は彼の指示通り、お使い系のクエストを受注した。

 彼は初心者が初めての討伐クエストで受けるようなものから、少し強い魔物の討伐までバラエティに富んだ依頼を受けた。初心者用のは受付の人に今更このクエスト?と言われたらしいが、素材が欲しくてと嘘をついた。

 あまり乱獲して初心者の邪魔はしないようにと釘を刺されたが、特に疑われはしなかった。


 彼が受けてきたクエストは三つ。


【ラビットラットの討伐】

 ・報酬 銀貨1枚

 ・討伐数3体

 ・ドロップアイテムがあれば報酬上乗せ


【ウルヒィの討伐】

 ・報酬 銀貨3枚

 ・討伐数2体

 ・ドロップアイテムがあれば報酬上乗せ


【アクアウルヒィの討伐】

 ・報酬 銀貨10枚

 ・討伐数1体

 ・ドロップアイテムがあれば報酬上乗せ


 最後の一つは報酬が結構高い。私で倒せるかな?


 彼は自分がクエストを受けるから、臨時パーティーを組もうと提案してきた。

 普通パーティーを組む際、ギルドにパーティー申請をしなくてはならない。

 しかし一回きりの臨時パーティーはその限りではない。よってギルドに私が討伐クエストに参加することは事前にバレることはない。


 今回受けていただいたクエストは、基本私が一人でやれと言われた。セリュードさんはすぐ後ろで見ているから、もし助太刀が必要なら介入すると言っていた。


「じゃあ臨時パーティーを組むか」


「はい、お願いします」


 私は差し出されたセリュードさんのタグに、カードをかざした。このカードはギルドで名前等を登録した時に貰った身分証明書だ。

 セリュードさんがタグをタップすると名前やランク、受けているクエスト、パーティーメンバー等が表示された。

 因みに私のカードもタップすれば同じように表示される。

 受けたクエストの魔物を討伐すると、誰が何体討伐したかカウントされる。


 セリュードさんは私に全部討伐させて、これをギルドに見せようとしているのだ。


 しかし、凄いなこのタグとカードは。名前登録の時もだが、ギルドって色々凄い。

 こんなのがあれば紙なんて要らないじゃないかと思われる。

 タグやカードには個人情報が記載されている。人前であまり表示したくない人もいる。クエストの情報は紙で見たいという要望が多く、ペーパーレス化が出来ずにいるのだ。


 私たちは一旦つむぎ荘に帰った。私は部屋に戻り急いで支度をする。お使い系のクエストでまだ街の外の依頼はダメと言われている私が、防具をつけ、武器を持って現れたら怪しまれるかもしれない。

 まあ、街も絶対に安全とは言えないから武装しとくのもありかもしれないが、受ける内容的にあまり必要には感じない。


 もしかしたら臨時パーティーの事を勘付かれるかもしれない。私は念には念を入れた。装備品は、つむぎ荘に余ってる初心者用の武器防具を貸してもらえたので、今日のところはそれを使うことにした。

 薬系も、マリヴェルさんが冒険者デビュー祝いと言って一式くれた。

 いつも変な実験をしているが、変な味の薬を作っているが、ちゃんと普通のも作れるようだ。


「おっ、お待たせいたしました」


「……じゃあ、行くか」


「はい‼︎」


 こうして私はセリュードさんと臨時パーティーを組み、街の外へと旅立った。


 今回の行き先は北門から出て右手にある、クリュクリュドの森。そんなに強い魔物がいない初心者向けの狩場だ。

 森には薬草や、回復効果のある湖等もあり、薬の材料が豊富で採取クエストが多く発注されている。

 ここの魔物の素材は、薬に使える物も多い。

 なので別名【薬の森】と呼ばれている。


 因みに南門の付近にも初心者向けの狩場がある。リベルタの近くには様々な魔物の住処がある。弱い魔物の生息地も、強い魔物の生息地も。

 とても冒険者が成長しやすい環境なのだ。

 この街が冒険者の多い街に発展したのはそういう環境も理由の一つなのだ。


「ーーすぐ着きましたね」


 私たちは門を出てから15分ほどしか歩いていない。そんな近くに魔物の住処があるとは……。

 だが不思議と行き道で魔物には遭遇しなかった。そう、リベルタへ向かう旅の時も、リベルタ付近ではそうだった。

 私の住んでいた地域では、時折街道に魔物が出没したという話を聞いていた。だが護衛は雇えない。リッツが多少腕に覚えがあるくらいで後は素人。

 今思えば危ない旅だったわね。よく皆無事だったわ。


 私たちは荷物を最小限にし、大きい街道のみを使って移動した。いざという時の馬車の速度を少しでも上げるためと、人通りが多い場所のが護衛付きの人が多いから。

 そして馬車には魔物が嫌う匂いを発する物を吊るし、光魔法の照明を吊るし出来うる限り魔物を近寄らせない努力をした。


 その結果、出会った魔物は10体。リッツ曰くかなり少ないとのこと。金を惜しまず道具を買った甲斐があったわ。夜の方が魔物が出没することが多い。魔物が嫌う光魔法を光源とした照明は、かなり高額だが大いにその力を発揮した。

 出会った10体は、たまたま別の護衛付き馬車が側にいたり、野宿している際に遭遇した魔物は、護衛も兼ねてくれたリッツが討伐してくれた。私たちは魔法道具で援護射撃した。

 もう金に物を言わせた戦い方である。


 しかし、リベルタに後一週間で着くというあたりから全く魔物に出会わなくなった。

 リベルタの付近は魔物が殆ど現れない。そうリッツが言っていた。


「この辺の魔物は街道には出ないのですか?」


「いや、全く出ないわけではないが……多分冒険者が狩りをしているからだろう。街道に出てくるはぐれ魔物は、繁殖し数が増え過ぎて食料に困り住処を離れたやつだと言われている」


 成る程。だから出ないのか。

 確かに冒険者の数が圧倒的に多く、定期的に狩る量が他の地域より多いのだろう。


「じゃあ、行くぞ」


「はい」


 こうして私たちは森に足を踏み入れた。


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