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あの日私は死んだ。周囲に理解者は居なかったように思う

私はずっとずっと良い子だった。良い子だったのでお母さんの言うことに逆らったことがない。友達とも仲良くするために何でも譲歩した。お菓子もあげたし、お金もあげた。だけどみんなまるでそれが当たり前のように私に要求するようになった。バカだなぁと思いつつも人の言うことを何でも聞いて、めんどくさがらずに全部やった。ある時知らない人が道を尋ねてきた。私はその人を案内しようとした時、頭の後ろに大きな衝撃が走った。そこから先の記憶が飛んだ。




目を覚ますとそこは病院のベッドの上だった。体中に傷があるようだが痛くない。ぼーっとした意識の中で、医師が「残念ですが」と言っているのが聞こえる。お母さんが泣きじゃくりながら、どうしてそんなことしたの!どうして!と叫んでいる。私が何をしたというのだろう。最後の最後まで人のために尽くした。なんの絶望も抱くことは無かった。ただただ周囲の人がバカなのだ。だからお母さんの気持ちが何一つ理解できない。



死ぬまで周囲にはバカな人間しか居なかった。私と心を通わすことのできる人間はもうこの世界には居ないんだ・・・



「ぐはっ」

私は今、前世の記憶を思い出して悶絶している。足をバタバタさせて、体を左右に行ったり来たり。

「キタキタキタwwww私、今、世界の全てを拒絶してるぅwwwwwww」


私の名前はサマンサ。この世界でいつの間にかそう名付けられていた。前世の記憶は生まれた時からあったが、それがどういう意味を持つのか最近になってようやくわかった。私は死ぬまで厨二病だったんだ。これが黒歴史というやつなんだ。生まれながらにしてとんでもないものをこの身に宿してしまったのものだ。


どんどんどん!


父「入るぞ」

「どうぞ」


父「喜べ。魔法学園の入学手続きが終わったぞ」

「まあ、ついに私も美少女天才魔道士になれるのですね!」


父「そうだ!行け我が娘よ。お前は我が家の光だ!わーはっはははは!」


かくして16歳となった私は魔法学園へと向かうことになった。

魔法学園とは魔法を学べる場所で、この国では誰でも魔法を学ぶことが義務とされているが、その中でもより高度な魔法が使えるようになると、王城の建築とか灌漑事業など名誉ある仕事に就けるようになる。


「公爵令嬢としてユグドラシルの塔を建てられるくらいになって見せますわ!おーほほほほ」


ユグドラシルの塔とは現聖女が20年の月日をかけて建立した、天にも届くような高くて大きな塔のことである。満月の夜に塔の先端が月につながるともっぱらの噂であるが、30階より上は王侯貴族しか住めないゾーンとなっており、一般の公爵令嬢は立ち入りが固く禁止されている。


「おーほっほっほっほっ!」

とりあえず笑っておかないとかっこがつかないので、もう20秒くらい余分に笑っておいた。

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