そうしてここへ
1度、小説を書いてみたくて書き始めました。
誤字脱字、あるかもしれません。ご了承ください。
眠くて眠くてたまらない、酷い眠気に襲われている。睡魔はとろとろと微睡むように、沈み込むように、そして確実に私の意識を蝕んでいった。よく使われる表現だけど、「泥のように眠る」とはこういう感じなのか。身体が重く、指の先1本、瞼を動かすことさえ酷く億劫でならない。
座り込んだ台座の上には雨宿りになるような遮蔽物は無く、しばらく前から降り出していた雨が衣服に染み込んで身体から確実に熱を奪っていく。
もっとも、もう寒さも分からない。
吐き出した吐息が白く濁って霧散する。頬に打付ける雨粒の音がくぐもり、徐々に遠のいていく。目も霞んで目の前の石の色すら分からなくなった。
明日、ここに来る住職さんには迷惑を掛けてしまうな。だって、血塗れの女がこんな所に座り込んで死んでいる上に「これ」を持っているんだもの。普通の人なら腰を抜かす。そうでなくとも、私は酷く不気味で気持ち悪い存在に見えるだろう。でも、ここの住職さんは「これ」の意味を理解してくれるはずだ。
…とうとう頭の中にも靄がかかって、
あぁ、でもこれだけは伝えなくては。
ずっとずっと、ずうっと言いたかった。どうしても伝えたかった、帰郷の言葉。
お父さん、お母さん、
「た…だ、い……ま」
そして、おやすみなさい。
そうして私相川祐希乃は、母の遺骨が納められた墓前で父の頭蓋を抱きかかえながら、その短い人生に幕を下ろしたのです。
いきなり死んでしまいました。
大丈夫です、次から始まります。