決意
「は?」
異形から放たれた言葉に思わず顔をしかめる。何を言っているのか又下にはさっぱり理解が出来なかった。
「ど、どういう事だよ・・・」
「お前がムスコを取り戻す唯一の方法」
異形は一呼吸置いて続けた。
「死のゲーム、セ×ゲームに参加することだ。」
「は?」
やはり又下には何を言っているのかさっぱり理解が出来なかった。
「セ×ゲーム、それは108人の選ばれし者達が互いに殺し合い、最後の一人になるまで闘い続ける神話の時代から続く闇のゲームだ。」
「は?あんたさっきから何を・・・」
やはり何を言っているのか理解ができない。
「まあ最後まで話を聞け、このゲームに最後に勝ち残った者は・・・」
「勝ち残った者は?」
「どんな性的な願いも叶えることができる。」
「!!!それってつまり・・・」
「ああ、お前のムスコを再生することとて容易いな。だが、行われるのは本当の殺し合い、お前はその命を捨てる覚悟があるのか?」
「俺の命・・・?」
その時又下の脳裏には無惨に殺される自分の姿が浮かんだ、それと同時に・・・別の光景も
「そんなもん、幾らでも捨ててやる!!」
「ほう・・・」
「どんだけ長生きしても、どんな人生を送ったとしても・・・俺にとって・・・・」
呼吸を整え、一気に思いの丈をぶちまけた。
「俺にとって、セックスのねぇ人生何かミジンコ程も意味はねぇんだよ!!戦って、戦って、最後に勝ち残って・・・運命(一生童貞)を変える!!そのためなら命なんかいらねぇ!!さあ、戦ってやるよ・・・俺は何をすればいいんだ?」
「・・・・その脱童貞への執念、見事だ、ならば燃やせ、その命を、」
異形は持っていたバットを上空に向けると一気に振り下ろし、又下目掛けて投げつけた。
「!?」
投げられたバットは又下の股間にピッタリとくっつき、そのまま縮小し、まるでもとからそこにあったかのように又下の股間と同化した。
「お、おい、何をしたんだよ!?こっこれで戦えるってのか!?」
「そうだ、その小さなバットはお前が最も性を求めるときお前に最大の力を与えてくれるだろう。」
「そんなバカな・・・」
「健闘を祈る。」
「え?ちょっ・・・待っ・・・」
瞬間、又下の体の周りが光に包まれ、再び又下の意識は途切れ、その白い空間からも消滅した。
「これで107人目か、フフ・・・楽しませてくれよ?煩悩にまみれた人間達よ・・・・・・・」
異形はそう呟き、その場で愉快そうに肩を震わせていた。
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「うう・・ここは?」
目を覚ますと又下はいつもの通学路に立っていた、体を触ってもどこにも血など付いていない。
「ハハハ・・・夢か、ビックリさせやがって・・そりゃそうだよな、車に轢かれてムスコがもげるなんてありえな・・・」
何気なく股間に手をやるとそこにはちゃんと棒状のモノが存在感を放っていた。
ただし、その感触はいつも触り慣れている柔らかなものでなく、もっと硬い、金属のようなものだった。
「夢であって・・・・・・・・・・欲しかったァァァァァァァァぁっ!!!」
又下の魂からの絶叫が空に響き渡った。