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消失

清順 葉広は何故かと考えていた。


今日1日の行動を反芻しても分からない。普通に学校に行き、友達と談笑し、塾に行ってその後家に帰宅する、いつもと変わらない日常だった。


それなのに何故自分は追われているのか。


塾の帰り道、背後からボソボソと呟きが聞こえ、そのまま足音がついてきた。しかし後ろを向いても誰もいない。初めは思春期特有の自意識によるものだと自分を納得させていたがいくら歩き続けても足音は止まなかった。意を決して十字路のカーブミラーを見たとき、彼女は自分の後ろにいたものをハッキリと確認した。


若い男であろうか、フードに隠れていて顔の全体像は見えないがその目だけは異常にギラついていて、とても正気とは思えなかった。そしてその目は真っ直ぐに葉広を見据えていた。


本能的に危険を感じ取った葉広は一気に駆け出し、その場から逃げ出した。しかしいくら逃げても、どこへ逃げても男は追ってくる。焦りは彼女の思考を狂わせ、気がつけば逃げ場の無い袋小路に足を運んでいた。


「何なの・・・誰なのよあなたは!?」


追い詰められた葉広は男に問いかける、しかし男は何も答えずに距離を詰めてきた。


「・・・・43人目」


抑揚の無い声で男は呟くと腕を振り上げた。


その腕には棒が、葉広が実際に見たことはないが保健体育の授業で散々見てきた男性器のようなものが握られていた。


「嫌・・・・助け・・・」


葉広がそう言い終えないうちに男は何の躊躇いもなく腕を振り下ろした。


足の間に鈍い痛みを感じたと同時に、葉広の意識は闇の中へと落ちていった。



「ーーー発見された女生徒は未だ意識がもどらず警察は”バージンハンター”の犯行と見て捜査を進めてーーー」


「・・・・うらやま」


朝食のおにぎりを貪りながら青年はテレビを消すと学校に行くため立ち上がった。


彼の名前は又下(またした) (たつ)、豊京都立 須磨田高校に通っている高校二年生だ。


「処女のJKとか最高じゃねーか・・」


以上の発言から解るだろうが”童貞”である。


「俺もバージンハンターって呼ばれてえよ、いや、なんだったらバージンじゃなくてもいいわ、ともかく・・・・ヤリてぇ。」


ヤりたいのならば闘え・・・・


誰かに聞かれたら通報不可避の独り言をブツブツと呟きながら通学路を歩いていた時、不意に背後から声が聞こえた。


「んがっ!?」


反射的に後ろを振り向いたがそこには誰も居なかった。


「・・・気のせいか?まあいいや、万一あんな間抜けな独り言聞かれたら死n」


後ろを向いたまま歩いていた又下は自分が車道に飛び出していたのに気がつかなかった。そして次の瞬間、


「ぐああっ!!?」


凄まじい衝撃と共に又下の体は宙に投げ出されそのままの勢いで地面に叩きつけられた。


「うっく、くそあの車め、待て・・・」


地面に叩きつけられたものの打ち所が良かったのか、血だらけではあるものの又下には自分を轢き逃げした車に文句を言うくらいの元気は残っていた。


「くっそ!!待てそこの糞車ァ!!せめて警察位呼べや!!」


若干ずれてるような気がする文句をわめきたてる又下の頬にペチリと何かが当たった。


「・・・・あ?」


落ちてきた何かを手に取りしげしげと眺める。材質は・・・肉だろうか?まるで男の股間に着いているような貧相な・・・


「え?」


股間に目をやるといつもは白濁液を撒き散らしていたそこからは今日は真っ赤な鮮血が撒き散らされていた。


「嘘、嘘だろ・・・ああ・・嘘、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だァァ!!」


地面に叩きつけられた衝撃、股間からの大量の出血、そして自分が毎日端正込めて磨きあげてきた自身の宝刀がもげたというショック、それら全てが一気に又下に襲いかかり、


又下の意識は途切れた。


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