神様みたいなおばあちゃん
朝起きてみんなは何を思うだろうか?
自分の身体の事、職場の事、家族、恋人の事
いずれも皆自分の近辺の事だが俺は違う。
毎日川沿いを掃除しているおばあちゃんの事だ。
どこの誰かも知らない。
どこからどう来て、何時間掃除をしているかも。
桜が散った少し肌寒い朝の日も
台風で木の枯れ葉が沿道に散らばった雨の日も
おばあちゃんはシルバーカーを脇に置いて
箒とチリ取を上手に使い分けながら
L字に曲がった腰をゆっくりと動かす。
誰も見ていないのに、誰からほめてもらえるわけでもないのに
おばあちゃんはそこにいる。
その存在が素晴らしい。自分のためにしている姿が美しい。
そんな姿を将来の自分の望遠鏡として映しながら
私はゆっくりとおばあちゃんへお辞儀をした。