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石蕗学園物語  作者: 透華
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交流会 5

 合宿3日目はあいにくの雨だったので、今日は昨日のように外には出られず室内で過ごすことになった。天気予報が外れてしまったらしい。自由時間に外で遊んでいたらしいたちばな龍崎りゅうざきは少ししょぼくれていたが、仕方がないだろう。

 そうそう会長は「もう少し広いところなら室内ボーリング場などがあったんだが」と流石金持ちといった発言をしてくださった。本当に個人で室内ボーリング場とかを家に所有してる人間っているんだな。「室内にいるしかないなら課題をすればいいじゃない」とか言われそうだが、伊達に生徒会役員を任されていないというべきか昨日のうちに全員課題を終わらせてしまっていたのだ。

 ちょうどあかね先輩が再びゲーム大会を企画していたので暇つぶしは出来ることになった。ゲーム大会とは言ってもテレビゲームばかりでは目に負担がかかるので、今回はトランプや王様ゲームなどをすることにしたらしい。

 王様ゲームはともかくとして、トランプはなかなか白熱した勝負になっていた。特に神経衰弱は凄まじいことになったな。なんせ参加者全員記憶力が半端ないので取りこぼしが全くないのだ。ババ抜きとかポーカーとかは橘や龍崎、それに凪ちゃんが割と分かりやすい反応をしてくれたし、豚のしっぽなんかは逆に完全に運任せだったので皆楽しめた。

 まぁ。神経衰弱の場合は「最初のジャンケンで勝負が決まる」とでも言うようにゲームの時よりジャンケンの時の気迫が凄かったな。別に負けたからといって罰ゲームなんてないのに。負けず嫌いが多いということだろうか。

ちなみに王様ゲームがあまり盛り上がらなかった理由は王様ゲームにありがちな巫山戯たお題を出す人間が誰もいなかったからだったりする。「2番と3番が握手」とか「4番が1番との思い出話をする」とか誰が王様になっても当たり障りがなさすぎて早々にトランプに戻った。

 結局昼食までトランプで盛り上がり昼食後にまたゲーム大会を再開することになった。ゲームは会話しながら出来るので本当に交流会っぽい感じになっていて、いい案だったと思う。


* * * * * *


 昼食後のゲーム大会ではトランプだけじゃなくテレビゲームをした。昨日のようなホラゲじゃなくて、パーティーゲームってやつかな。スマ○ラとかマ○オパー○ィーとか最近はやる機会がかなり減ってたけど実際にやると結構楽しいんだよな。童心に帰るというかなんというか。まぁ。今やってるのはマ○カーだけど。


「何で凪先輩も瑠璃るり先輩もそんなに上手いの!? おかしくない!?」


「同感だな。お前達。何か、やたらと強くないか? さっきから思っていたが、明らかに初心者の動きじゃないぞ」


「昨日のホラーゲームと違って、こういうゲームは児童養護施設とか瑠璃ちゃんの家でしたことあるのよね」


「私も凪ちゃんと同じような理由かな」


「瑠璃ちゃんもゲーム買ったりするのね……」


「い、意外っすね。何か家では読書とか勉強とかしてるイメージあるのに」


「まぁ。確かに読書とか編み物とかが趣味ではあるし、予習復習してる時の方が多いけど、ゲームもするよ。自分で買ってるわけじゃないけどね」


「えっ? じゃあ誰が……」


「別に、誰でもいいでしょ!」


 凪ちゃんが水瀬に怒鳴ると烏羽からすば先生と私以外はギョッとした目で凪ちゃんを見た。凪ちゃんは蒼依が持ってきたモノだって知ってるしな。それを周りに知らせたくないと思ってくれるのは、ありがたい。

 まぁ。隠すという思いよりも私と蒼依が関わっていることに対する嫌悪感の方が大きいと思うけど。ちなみに烏羽先生は蒼依が私の家に出入りしているのを知っているので、驚いていないのだ。


「まぁ。色々あるので、あまり深く考えないで下さい。……よっしゃ一位」


「えっ? うわっ! 瑠璃先輩ズルッ!」


「流石瑠璃ちゃんだわ!」


雪城ゆきしろさんってマイペースだよね……」


 橘に文句を言われ水瀬に呆れられたが、凪ちゃんに褒められたからよしとする。話を半ば無理矢理切りかえるような形になったわけだが、現に一位になっているので問題なしだ。だいたいゲーム中に他に気を取られる方が悪いしな。


* * * * * *


 そんなこんなで、3日目はゲーム三昧だった。パーティーゲームの後はパズルゲームで対戦したり、人生ゲームをしてみたり。そして4日目の今日、やっと家に帰って来れたわけだ。朝一での車移動は疲れたが、今回の合宿は私にとっては実のあるモノになったと思う。

 まず、水瀬と龍崎が凪ちゃんに恋愛感情を抱いていると確認が出来てよかった。水瀬は鎌をかけて話をさせたが、龍崎の場合、凪ちゃんを見る目や凪ちゃんへの態度、何より橘がそれとなく龍崎を凪ちゃんの近くに連れて行こうとしていたし。

 次に橘は恐らく私と同じタイプの人間だということだ。親友を第一に考えるタイプ――橘の場合は私と違って「親しい人間」を第一に考えるタイプかもしれないが、とりあえず、ソレが分かっただけでも十分だ。

 そして、会長と茜先輩が私と凪ちゃんに罪悪感を抱いているということだ。あの2人は出来るだけ私達の望むことや私達の負担になりにくいように考えて行動していたことから、それが分かった。

 総じて生徒会役員は私達に対して悪感情を抱いている者はいないと思って大丈夫だろう。橘は少し分かりにくいが、親友の好きになった人間とその好きになった人間の親友に対して悪感情を抱かれるような行動はとらないはずだ。烏羽先生も凪ちゃんに対しては、ちょっと罪悪感を抱いているし私には甘い。油断は出来ないが、このままクソ女が近づかないようにだけ気をつけたら、あまり問題はない気がする。

 交流会中に蒼依からきたメールを見る限り特別委員会の蒼依の取り巻き達は風紀チェックの件で今まで以上に警戒と嫌悪感を強めてくれたらしい。こちらとしたら願ったりかなったりだ。何でも罰則を言い渡した柚木ゆずき先輩に暴言を吐いたのが理由だとか。

 実際されたら困るが、クソ女は、もう少し自分の立場をわきまえた言動や行動をするべきだな。胡桃くるみ先輩は何を考えているかは分からないけど、確実に大熊おおぐま先輩に悪影響を与えるであろうクソ女にいい感情を抱くとは思えないし。問題なしだ。

 そういえば、部長会の方でもクソ女に対する評価が低いらしい。今までの迷惑行為の時点で「ちょっと、あの転校生はどうなんだろう」とは思っていたようだがポエムを添削する係になっている演劇部部長がクソ女のやる気のなさにイラついているとか。

 全く演劇部部長は部長会のトップなのだから敵に回すとかなり厄介な相手なんだが、クソ女は多分生徒会、特別委員会のみならず部長会のトップにまで嫌われたなんて思いもしないんだろうな。

 なんせ、ゲームの設定上、ゲーム中に“女主人公”が罰則を受けた描写なんてなかっただろうし。私自身、石蕗つわぶき学園の罰があんなモノだと知ったのは入学後だったしポエム添削者が演劇部部長だなんて知ったのは、それよりも更に後だった。いや、蒼依に教えられなければ添削者については今でも知らなかっただろう。

 ゲームにはないルールが現実だからこそ存在しているということだろうか? いや、ただ、表に出ていなかっただけでゲームにも設定上はあったのかもしれないな。俗に言う裏設定とか没設定とかで。だがクソ女はそのことに気付くことが出来るんだろうか?

 まぁ。気付いた時にはゲームには存在しなかった「誰も攻略出来ずにバッドエンド」なんて結末を迎えているかもしれないが、仕方ないだろう。まだ、不幸になる人間が“女主人公”1人というだけ周りにとってはゲームよりマシな結末だろうな。

 私としても攻略キャラを道連れにされると少し困るし。さて、ゴールデンウイークが終わった後の学園はどうなるんだろうな? クソ女も少しは大人しくなってくれたらいいんだが、あまり期待しないでいることにしよう。

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