まずエンディングを考えろ
まず始めに。
私の小説を読んでいただいている方も、そうでない方もこんにちわ。
なろうを利用して様々な小説をお読みになっている合間にこのような作品にまで目を通していただき、誠にありがとうございます。
このたびこのような作品を投稿させていただいたのは、下記のような理由からとなります。
なろう上では様々な作品が生み出され、それらを読み、そしてエタっていく……
なぜエタるのか、というところを考え、私自身もエタる可能性があるのではと思い、自分自身を見つめなおす手段としてエタる理由を考えて文字に起こしてみた内容となっております。
はっきりと言ってしまえば「当たり前だよ! そりゃエタるよ!」と言った部分を文字に起こしただけなのかもしれませんが……
とはいえ、エタる理由なんて様々です。
リアル事情、創作意欲が無くなった、面倒になった、時間がとれなくなった、他に楽しみができた。
リアル事情は私もそうですが、無駄に仕事を覚えてできることが増えたせいで仕事量が増え、執筆時間がとれなくなったとか。
立場が上がって責任が増えて仕事も増えたとか、結婚したとか、子供ができたとか、彼氏・彼女とわかれて色々どうでもよくなったとか。
そもそもパソコンが立ち上げることが少なくなったとか……
まあそんなリアル事情のことを言っても仕方がありません、どうしようもありません、頑張ってくださいとしか言えません。
ここでは主に2つの理由に絞って考えていこうと思います。
その2つとは
1・単純な創作意欲の低下
2・勢いで始めたせいで終わり方がわからない
この2つが一番多い理由かなと個人的に思っています。
どちらかを改善すればいい、というよりも、両方が同じ方法で解決できるのではないかなと思いますが、まあそこは人によりけり。
現在進行形で作品を作っていらっしゃる方も、過去に作って放置された方も、これから作品を投稿されようとしている方も、こんな考え方もあるんだな、程度に受け取って読んでいただければと思います。
主に私が行っていることを書いていく形になりますので、とても偏った情報となります。
あくまでも参考に、そして議論等は特に望んでいませんので、できる限りご自分の中で完結させるようにしていただければと思います。
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さて、さっそくですがあげた2つの理由は一旦脇に置いてください。
置くのかよ! とかいうツッコミは受け付けません!
作品の感想ページを見たとき、稀にこんな言葉が見受けられます。
「プロットから見直してみたら?」
「設定を考え直したほうがいいのでは?」
こんなことを言うな、という話ではありません。
むしろ言ってあげたほうがいいでしょう、感想を書いた人がいるということは、氷山の一角理論と同じでそう感じた人が水面下に大量にいるということでしょうから。
これは理由2に通じるところがありますが、ようは頭から考えているから忘れてしまったり、状況に合わなくなってしまったりして矛盾が発生してしまうわけです。
A→B→C→Dという風に、順番どおりに考えている。
これ自体は悪いことではないですし、一般的な発想の仕方ですし、日本人らしいといえば日本人らしい考え方です。
多分ほとんどの作者様はこの発想で作品を作っていらっしゃるはず、多分。
問題は、例えばAがプロローグ部分で、Dがエピローグ部分だと仮定した場合、A→Bまでは考えているけどCとDを考えておらず、決まっていない場合です。
そして恐らく、エタる方のほとんどはCとDが決まっていないのではないかと思われます。
だからどんなエンディングをすればいいのかわからない、エンディングへの持っていきかたもわからない、結果何を書けばいいかわからない。
何を書けばいいのかわからなくなった結果、創作意欲の低下へとつながり、エタる原因となるわけです。
解決方法は、非常に簡単です。
私は普段からそうしています。
というか、みんなそうしているものだと思っていました。
私が投稿していることを知らず作品も知らない友人がなろうを紹介してきて、作品を投稿しようと思っている、と言われて先に読ませてもらった結果上記のことに気づきました。
その友人も当たり前のように終わり方を考えていませんでした、むしろそれで投稿しようと思っているとカミングアウトしてきたその勇気を称えたいくらいです。
ちなみにびっくりするくらい駄作でした、本人にもはっきりと言いましたが全く気にしていないようです、大丈夫かな……っていうか仕事しろよ。
話が逸れましたが、彼にはこう伝えました。
「まずエンディングを考えろ」
これは例えば、よくなろうで題材になる「異世界転生」の場合は「元の世界に戻る」なのか「異世界に残る」なのかという部分になります。
ここからはもう少し具体的に書いていきましょう。
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エンディングを考える、というとハッピーエンドかバッドエンドかはともかく、大体の人がゲームで言うスタッフロール部分等をイメージするのではないでしょうか?
例えば魔王的な敵がいて、それを倒した後のことですね。
それぞれが魔王を倒した後にどうやって生活していくのか……まあそれも考えておいたほうがいいのは間違いありませんが、そこでは無いのです。
そこも重要ですが、どっちかというとその前である「魔王を倒す」ことのほうが大事かもしれません。
例えば異世界転生のお話で、エンディングは元の世界に戻ることだとしましょう。
この時点で、元の世界に戻るためにはどうすればいいか、という設定が出現します。
魔王を倒せば戻してあげるという約束でもいいでしょう、魔王の城に行かないと帰れないという設定でもいいでしょう、よくわからないという状況にするにしても、自分の中では考えておきましょう。
大事なのは「自分の中では決めてある」という事実です。
さて、仮に魔王の城に行かないと帰れないという設定にしてみます。
さらに仮として、魔王は必ず倒さなければならない、という条件を加えてみましょう。
するとこの時点で、主人公の目的は「魔王を倒す」ということが目標となります、仮に中目標としましょう。
大目標である「元の世界に戻る」ために、中目標である「魔王を倒す」ことが必要となりました。
さて、では魔王を倒すためにはどうすればいいか、という部分を小目標としましょう。
この時点で「魔王の設定」が出現します。
異世界ものでは主人公がチート、つまりは強力な能力を持たせる場合が多いですね。
チート状態であるにも関わらず苦戦するほどの強さを持たせるのか、それともあっさりワンパンで倒せる程度にするのか。
ここも仮に、苦戦するほどの強さを持つこととしてみましょう。
ここで「魔王とどんな戦いを繰り広げるのか」という設定が出現します。
そしてこの瞬間に主人公の能力、仲間の有無、仲間の能力、今まで育んできた人々との繋がりナドナド、様々な設定を決める必要が生まれます。
ぶっちゃけて言えば、この瞬間に物語の半分が決定します。
例えば主人公に焦点を当ててみましょう。
王道らしく強力なスキルに目覚めて魔王を倒す、という設定にするとします。
そのスキルは最初から持っていたものが変化したものですか? それとも物語の途中で切欠を手に入れたものですか?
この設定がどのようなものであれ、決めるだけで話のネタが1つ生まれますね。
仲間との連携でいい感じに戦うとしましょう。
どこでどうやって出会ったのでしょう? どんな連携をしたのでしょう? その連携はどうやって生み出されたのでしょう?
この瞬間に話のネタが3つも生まれました。
仲間の人数が多ければ多いほど、話の数も増えていきます。
例え仲間がいなくても、例えば使っている武器や防具等はどうでしょうか。
強力な武器を使って魔王を倒した、もしくは強力な防具があったから助かった場面があった。
ではその武器防具はどうやって手に入れたのでしょう、最初にもらった? 旅の途中で手に入れた? 普通だったけど段々強くなっていった?
これだけでも話のネタがどんどん生まれてきます。
あとはこれを並べて、順番を考えて、ネタ同士を組み合わせて絡み合わせてくんずほぐれつになりそうなところを理性と知識で必死に抑えながら物語という作品にしていくだけです。
というわけで結論を言ってしまいましょう。
「まずはエンディングを考えろ」
エンディングを考えることで、必要な要素がはっきりします。
その要素を描き出すだけで、物語は一応の完成はします。
あとは1つ1つの要素を、同じ手法でさらに様々な要素を抽出し、話として作り上げていく。
今回の仮で作った「主人公が仲間と魔王を倒して元の世界に戻るお話」も、恐らくしっかり描写していけばこれだけで30話近い話が出来上がるはずです。
さらっと書いたこの程度の設定でそれだけの話ができるのですから、しっかりと考えて5000~6000文字程度の話数を投稿していけば100話くらいは簡単に出来上がるでしょう。
自分の中で書くことが決まっていれば、何を書くか考えながら執筆していくよりも遥かにモチベーションの維持になります。
結果として最初にあげた1・創作意欲の低下と2・勢いで始めたせいで終わり方がわからないという問題点の解決につながります。
余談ですが、試しに投稿しないで1~2話ほど書いて、どのくらいの時間がかかったかを元に完結までどれくらい時間がかかるのかも考えてみるのもいい手です。
すると自分の生活サイクルの中で何ヶ月くらいあれば完結させられるのかの目安にもなります。
それ以下でできるようにする、等といった自分への目標を設定すれば、モチベーションの維持にも一役買うでしょう。
もちろん今回は「異世界転生バトル物」を基準に説明していますが、ほとんどの物語に共通することだと思っています。
後はそれぞれのネタをどんな風に飾り立て、どれだけ考えていることを伝えられるように表現していくか、だと思います。
そしてそれはそれぞれの作者様が自分で考えるしか無いのではないかなと。
■まとめ
1・エンディングを考える
2・エンディングに必要な要素を抽出する
3・抽出した要素の設定を決定する
4・設定を元に話を作っていく
■今回の設定でやってみた場合
1・エンディングを考える
→異世界転生したけど元の世界に戻る(大目標)
2・エンディングに必要な要素を抽出する
→魔王を倒す(中目標)
→→魔王を倒すためには(小目標)
・主人公はチート持ち、でも魔王のほうが強い
・ラストバトルで強力なスキルに目覚めた(旅の途中で切欠を手に入れた?)
・強力な武器防具が役にたった(武器・防具・力を引き出す話も欲しい?)
・仲間との連携でなんとか戦えた(仮に男剣士・女魔法使い・女僧侶とする)
3・抽出した要素の設定を決定する
→抽出された要素は魔王・主人公・主人公のラストバトルスキル・武器防具・男剣士・女魔法使い・女僧侶の7個に加え、帰還手段を加えた8個。
下記の設定は作者が適当にその場で考えたもの。
・魔王
陰陽のように、陽に属する人間に対する陰の存在、その中でも最強の存在。人間の天敵であると共に人間が天敵である。
その存在理由は天敵である人間を滅ぼすという点に集約される。
※この設定に伴い「魔王・魔族・魔物とは何か?」という設定を決める必要性が生まれています。
・主人公
異世界にテンプレな魔王の危機によって召喚された青年。
チートだが魔王の強さにびびってる重鎮と国王によって世界中を旅し、伝説の武器防具と強力な仲間を見つける旅に出ろと言われて放浪中。
元の世界には家族も友人も残してきているので、元の世界に戻りたいのだが、この世界で過ごしているうちに心境が変化していく……
性格は明るく元気で正義感の強い鈍感なイケメンのテンプレ、基本両手剣で光の魔法に適正がある。
※「元の世界に戻るか、戻らないか」という葛藤を描く必要性が生まれています。
・男剣士
召喚した王国の騎士、最初から主人公とずっと一緒に行動する。
国一番の剣士で片手剣+大型盾を使うタンカー。
男剣士が敵の攻撃を受け止める→主人公がその後ろからジャンプ切りの連携が得意。
※「なぜタンカーという技術を手に入れたのか」という設定が生み出せます、書かなくても恐らく問題なし。
・女魔法使い
主人公が旅の途中で仲間にしたエルフ。
エルフの里で危険な思想を持つということで異端者扱いされていたが、魔法の実力は里一番。
エルフがそもそも魔法が強い種族なので、世界レベルで上位の魔法使い。
主人公が突撃→範囲攻撃で主人公の周囲を攻撃して主人公を逃がす・または突破口を開くといった連携が得意。
※「なぜ異端者扱いされていたのか」という設定が生み出せます、書かなくても恐らく問題なし。
・女僧侶
旅の途中で仲間にした僧侶、主人公一目ぼれ。
宗教団体の高位にいたが、神の啓示に従い主人公を待っていた。
回復・補助魔法が得意。
全員に補助魔法→主人公に防御魔法と回復魔法、というのがもっぱらの行動。
※「どんな宗教団体なのか」「神様ってそもそもいるの?」という設定が生み出せます、書かなくても恐らく問題なし。
・武器防具
かつて陰陽のバランスが崩れた(主に人間が負けそうになった)際に、神が人間側に与えた武器防具。
聖域と呼ばれる場所でドラゴンが守っていた。
光の力を増幅し、闇の力を減少させる効果を持っている。
※「なんで人間が負けそうになったの」「なんでドラゴンが守ってたの」という設定が生み出せます、書かなくても恐らく問題なし。
・ラストバトルで覚醒するスキル
主人公が編み出した光の剣。
伝説の武器が主人公の光魔法を極限まで増幅し、主人公のこの世界を守ろうとする意思と仲間の世界を救ってほしいという希望が集約された力。
一時的に世界の陰の力の最大値を超え、陰の存在である魔王を消滅させるほどの威力を持つ
※「このスキルを編み出した切欠」「仲間たちは主人公に希望を託している」という設定を生み出せます、書かなくても恐らく問題は無い……が、見せ場につながる話だと思うので書いておくといいかなと。
・帰還手段
魔王が守る「全ての陰の力の源」と、人間が持つ「全ての陽の力の源」を反応させることで生まれる世界創造にも近い膨大なエネルギーを使い、時空の門を無理矢理こじ開けて元の世界と連結する手段。
「全ての陽の力の源」だけでも時空の門を開くことはできるが、転移先の指定等は一切できないため、二つ揃うことが帰還するための唯一の手段。
さらに勇者を帰還させた後は、永久機関となった陰陽装置から生まれるエネルギーを魔力等に転換し、豊かで陰と陽が調和した争いの無い世界の礎となる。
※「陰陽の装置ってそもそも何」「永久機関になったなら主人公は自由に行き来できるのでは?」等と言った設定が生み出せます、すでにエピローグ部分なので書かなくても恐らく問題なし。
ここまでが大まかな設定になります。
4・設定を元に話を作っていく
ここまで作りこんで話が書けない人もそんなにはいないと思うので、あらすじ風に。
【あらすじ】
主人公「○○ ××」はある日、突然現れた光り輝く魔方陣に吸い込まれ、異世界に召喚された。
テンプレよろしく美人の王女様から言われた「この世界を救ってください!」の言葉。
聞けばこの世界は陰陽よろしく遥か太古の時代から魔族と人間・亜人族が争っており、そして今の時代は強力な魔王に押されて人間側が苦境に立たされているとか。
このままではそう遠くないうちに人間が滅んでしまうと思われた中、人類側は最後の手段として「勇者召喚」を実行したのだという。
そんな話を聞かされては、正義感の強い主人公はいてもたってもいられず、自身に異世界転移にありがちなチート性能を持っていることもあって世界を救うことを決意する。
しかし魔王の力は強大であり、伝説の武器を手に入れなければ恐らく魔王は討てないだろう。
国一番の剣士である「△△△」と共に、主人公は伝説の武器を求めて旅を始めるのであった。
これは異世界から呼び出された主人公と、その仲間が織り成す異世界ファンタジー冒険物語である!
……こんな感じになります。
文才については何も言わないでください、うん、わかってる、わかってるから……
誰が読むんだよこんな話とか、思ったけど、思ったけどさ!
とりあえず、こんな感じです。
エンディングを決めただけで、導入部分までサクッと決まりましたね。
ここからは後はそれぞれの作者様次第です。
例えば主人公を大剣じゃなくて魔法使いとか、銃使いにしてもいいですし。
仲間とかいなくて、ソロでぼっちな旅をしてもいいですし。
伝説の武器とか存在しなくて、伝説の魔法でもいいですし。
そもそも魔王は敵じゃなくて、真の敵は味方だった! ナ、ナンダッテー! な展開でもいいですし。
途中の設定を考えているうちに、エンディングが変化することもあるでしょう。
でも別にそれはそれでいいんです、問題ありません。
エンディングの光景がしっかりと頭に浮かんでいるのであれば。
書いている途中で様々な設定が思い浮かんできて、ABCDで終わらせるはずがEもFもGも……あれ、最終話がZまで伸びちった、テヘ♪ なんてことになることもあるでしょう。
別にそれはそれでいいのです、だって終着点は決まっているんですもの、寄り道したくなるのが人間というものです。
それで話の内容が当初から大幅に変わっていたとしても、問題とは言えないはずです。
何故なら最後の大目標が変わっていなければ、その話は全てそこに集約していくためのお話なはずですから。
むしろ変化することを楽しんでいるのであれば、それはモチベーションの維持につながります。
結果的に作品を作る楽しさを味わえ、しかも完結まで持っていける。
なんならそのまま外伝とかも思い浮かんでくるでしょう。
そうやって話を作っているうちに、たくさんのお話を作るかもしれません。
それがどこかの出版社の目にとまったり、あるいは自分で応募してみたりして、作家デビューなんてこともあるかもしれません。
「小説家になろう」のサイト名らしく、ね。
「まずはエンディングを考えろ」
これからなろうを利用しようとしている作者様方へ、この言葉の意味が少しでも参考になればと思います。
このようなつまらない話に最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
※……ここまで書いておいてなんですが
ぶっちゃけた話、完結させてない作品を持ってる私が書く内容じゃないですよね!