番外編・姫君と騎士達
夜会でのクリスティーナ達。
アメリア&アンディVSお姉様達。
解説はやる事の無い白騎士でお送りします。
――夜会にてクリスティーナ達の場合(アルジェント視点)
ミヅキがクラウスと共にグランキン子爵へと足を向けた後。
纏わり付いていた好奇と恐怖を湛えた視線はやや弱まったように思った。
と、言っても姉達が居るのだから完全には消えないのだろうが。
「残念そうね、アル」
やや苦笑しながら姉が尋ねてくる。
それほど顔に出ていたのだろうかと内心驚きつつ、苦笑するに留める。
「それほど表情に出ていましたか?」
「そうね……親しい人なら気付く程度には。だって貴方はいつも『完璧な』笑みを貼り付けているんですもの」
「やはり二人に置いていかれるのは寂しいのですよ」
「ふふ、クラウスに嫉妬すると思わないあたりが貴方よね」
「仕事ですからね」
いや、実際は仕事でなくとも嫉妬などしない。寧ろクラウスが一緒に居るならば安心するだろう。
それはセイルであろうとも同じであるし、二人も同じ答えを返しそうだと思う。
「彼女は自分の事など全く気にしませんから。今も出来る限りの事はしていますし」
それは全てクリスティーナを守る為である。貴族社会において尤も恐ろしい噂という『化物』に対しての。
自分とてかなりの迷惑を被ったのだ……子爵家、しかも漸く大人になり始めた少女にとってどれだけ恐ろしいものか。
尤も今は表立って口にすることなどできはしない。
ミヅキが報復として実力行使することも、姉達やブロンデル公爵夫人が味方に付いていることも周囲に知らしめたのだから。
好奇の視線ばかりはどうしようもないが、必要があればミヅキは再び目立つ行動をとって周囲の注目を集めるくらいするだろう。
「そうねぇ、でもミヅキ様は弱くはないわよ?」
「……放置されたまま忘れられそうな気がするのですよ。我々が」
「ああ……確かに」
ありえそうね! と言いながらも楽しげな姉に少々恨めしげな視線を向ける。
やはり姉の目から見てもそう思えるのか。
「執着は貴方達の一方通行ですものね。……三人がかりで引き止めているから貴方達は仲が良いのかしら」
……事実ではあるが、ざっくり胸を抉る言葉だ。姉は本当に容赦が無い。
「そこは一途な愛と言って欲しいものです」
「あら、似たようなものよ。それに貴方達が綺麗なだけの感情を向けているなんて思えないもの」
「おや、精一杯誠実であると思うのですが」
「確かに誠実ね、自分に対して」
「……」
本当にこの姉は厄介だ。貴族としての自分を知るだけに簡単に騙されてはくれない。
物語のように憧れをもって民間に伝えられる話が都合のいいように歪められた物だと知っているのだから当然か。
……『美しく優しい姫・王子様』『素敵な騎士』など物語の中にしかいないのだから。
最終的な結果はどうであれ周囲を押さえ込むだけの手腕と立ち回りができなければ利用されるだけである。
結果を出したからこそ国に名を響かせ慕われるような存在となりうるのだ。
顔と家柄さえ己の武器……政略結婚が当たり前の世界で何を夢見ているのか。
「でも自分に素直な人は他にも居るみたいね。……アル」
「判っていますよ。私はクリスティーナ嬢の傍に」
「今回は私達に譲ってね?」
「……ある程度は」
二人揃って向けた視線の先には見覚えのある少女と赤毛の青年。
と言っても、青年の方は乗り気ではないようだ。
先日の件と現状を見れば近寄るなどとは思わない筈なのだが……やはり何らかの契約があるのだろうか。
近づいて来る二人のうち一人は遠目にも判るほど不機嫌だった。クリスティーナの現状が予想外だったことが原因だろう。
――本当に……自分に正直で、自分を世界の中心だと疑っていなくて。呆れるほど愚かな人ですね。
ひっそりと溜息を吐いてしまったのは仕方のない事だろう。
※※※※※※※※※
「クリスティーナ様、来ますわよ」
ひっそりと姉が告げれば僅かに表情を強張らせるクリスティーナ。
自分に向けられた悪意を知っているならば当然の反応だろう。嫌がらせ程度の可愛らしいものではなく性質が悪い犯罪の標的にされたのだから、実際に被害に遭っていなくとも恐怖は覚えるだろう。
「御安心を、姫様。我等が居りますわ」
「ええ。滅多な事では負けませんわよ」
「ふふ、本当ならば話し掛ける事さえできないのですけど」
次々に美女達から掛けられる言葉は表情とは裏腹に非常に恐ろしい。
先程姉が言った『綺麗なだけではない』という言葉は社交界の華と呼ばれる存在にも当て嵌まるのだ。
逃げ道はあった。だが、アメリア自身がそれに見向きもせず破滅へと向かっているのだからどうしようもない。
アンディの方も己の言動が考えているものより更に悪い事態を招くものだと気付いていないのだろう。
気付いていれば絶対にアメリアを止める筈だ。
尤もそれを態々教えてやる気も無いので、ここは姉達に譲って沈黙すべきだろう。
自分の役割は『クリスティーナ嬢のエスコート』であって彼等への攻撃ではないのだから。
そんな事を考えている間に二人はこちらへとやって来たようだ。周囲も興味深げな視線を向けている。
「ごきげんよう、クリスティーナ」
表面上は笑みを浮かべ従姉妹に挨拶をしているように見えるが、その瞳は憎悪に満ちている。
何一つ自分の思い通りにならなかった事への苛立ちがそのまま現れているようだ。
少しでも隙を見せれば大喜びで攻撃してくるのだろう。
「ごきげんよう、アメリア」
「貴女もドレスを新調したのね。私もよ……どう、似合っているでしょう?」
そう言って自慢げに見せる淡いピンクのドレスは本来クリスティーナが着る筈だったものだ。
その所為だろうか……アメリアの言動もあって少々子供っぽく映る。
顔立ちも雰囲気も違うのだから本来ならば自分に合ったものにすべきだろうに、嫌がらせを優先させたのか。
その行動が事情を知る者達にはどう映るのかを考えていないあたり、思考も子供なのだが。
「本当に素敵ね……そのドレス」
「なっ!」
「商人に手を回して生地を押さえ込んだ挙句、デザインさえ自分のものにするなんて。絶対に真似できませんわ」
「な……何故、それを……」
「あら、どう思われるかを理解して身に纏っているのでしょう?」
「それに私達が目に入らなかったのかしらね? 貴女は身分をどういうものと思ってらっしゃるの」
「やめてあげなさいな。まだまだ理解できていない『お子様』なのですわ」
……早くも姉達が動いたようだ。唖然とするクリスティーナを軽く引き、少々後ろに下がらせ距離をとる。
この光景が注目されぬ筈はない。毒は遠ざけて……いや、彼女達から隔離させておくべきだろう。
素敵なお姉様達と思い込んでいるクリスティーナには今夜だけでも夢を見ていてもらいたい。
どうせ本性は近いうちにバレるのだから。
それに普通ならば自分より高位の令嬢達と話しているクリスティーナに声を掛けるなどという真似はしない。
親しければ別だが、間違いなく令嬢達の不興を買う。アンディもまさかアメリアが令嬢達に挨拶もせず話し始めるなどとは思っていなかったのだろう。哀れだ。
「御存知? グランキン子爵に手を貸した商人は公爵家直々に注意を受けたそうですわ」
「ブロンデル公爵夫人は大層お怒りだったとか」
「当然ですわね。信頼のない商人など居ても困りますもの」
次々に向けられる言葉にアンディは顔を青褪めさせる。……知らなかったのだろうか。
しかもアメリアは悔しそうに唇を噛むばかりで状況に気付いていない。
嘘でも噂でもなく事実なのだ、しかも主犯の一人なのだから否定はできまい。
微かに聞こえる周囲の声はアメリアを批難するものが大半だ。尤もそれは娯楽のような扱いなのだろうが。
「ああ、それからそちらの方? 確かアンディ様でしたわね? バクスター伯爵家の」
いきなり話を振られたアンディはビク! と肩を竦ませた。彼の性格上ある程度は女性の扱いに慣れている筈なのだが、姉を相手にそれは通用しない。
「……ええ。アンディ・バクスターと申します」
「そう。確かクリスティーナ様のエスコートを申し出ておきながら家の都合でお断りした、ということだったかしら」
「そのとおりです。クリスティーナ嬢には大変申し訳ないことをしました」
申し訳なさそうな顔で軽く俯く様は一見誠実そうに見える。
整った顔立ちもあり、彼に好意を抱く女性ならばそれだけで信じてしまうだろう。
……実際には全て最初から仕組まれていた事だったが。
それを知っている筈の姉が敢えて『家の都合』などという言い方をするとは一体?
「ではバクスター家もグランキン子爵の一味ということですのね。御子息本人が肯定しましたもの」
「な……そんなことはっ!」
「あら、たった今そう仰ったじゃありませんか。ねえ、皆様?」
「ええ、確かに聞きましたわ」
「バクスター家がグランキン子爵と繋がりがあるなんて……!」
なるほど。『家の事情』を言い訳にするなら『個人』ではなく『家』をグランキン子爵一派だと吹聴する気なのか。
実際にバクスター家が関わっていたかどうかは不明だが、アンディ本人がそう言ったことで事実と周囲に認識されてしまっている。
バクスター家にとってグランキン子爵との繋がりなど悪評以外の何物でもあるまい。噂を否定する為には息子に対し何らかの処置を取る以外はないだろう。
どうやら相手に吼えさせて叩き落すという作戦らしい。噂を操る術に長けた女性達は密かに周囲の反応に気を配りつつ、笑みを浮かべたままだ。
そして『本日は騎士になりますわ!』と言い出す姉がここで追及の手を緩めるなんて生温い筈はない。
「そういえば……貴方は私の弟と敵対したと聞きました。確かに弟は公爵子息であり、本人の身分は騎士ですが……貴方も伯爵子息でしかありませんよね? 侮辱される謂れはありませんわよ?」
それとも弟は騎士として貴方に劣るというのかしら――と付け加えた言葉に反論の声は挙がらなかった。
アメリアは何か言いたそうだが、当のアンディは顔面蒼白のまま言葉も無い。
当たり前である。翼の名を持つ騎士の隊長が近衛に成り立ての騎士より劣るなど絶対にありえない。
そんなことは貴族ならば誰でも知っている。
そして捉え方によっては『バクスター家がバシュレ家を見下している』と言っているように聞こえる。
『身分的な意味でも騎士としても劣る』という現実を突きつけられアンディは頭を垂れた。
もう彼に反論は出来ないだろう。この会話も周囲に聞かれているのだ、バクスター家を巻き込んでアンディの未来は暗い。
と、その時。
「え!? ミヅキ様!?」
クリスティーナの声にミヅキ達の方へ視線を向けるとミヅキとクラウスがグラスの中身を頭にぶちまけている。
ざわめく声の多さに周囲の関心の高さを知るが、距離がある為何があったかは不明だ。
それに私の役割は彼等を補佐することではない。
「大丈夫ですよ」
「で……でも」
「ミヅキとクラウスですよ? あの二人が考えも無しにやると思いますか」
「……いいえ」
「では、今は気にするべきではありません」
判りますね? と暗に言い含めれば完全に納得は出来ないものの落ち着いたようだ。
逆にアメリアは喜色を浮かべる。
「まあ! 何てみっともない! 下賎な庶民が口答えなどするからですわ」
先程までの報復とばかりにミヅキを貶める姿に姉達は嫌悪をあからさまにする。勿論、私も。
そうなった原因は一体誰なのか。
お前如きが下賎などという言葉を使うのか。
そんな言葉が聞こえて来そうなほど冷たい目で見られていることが未だ理解できないのか。
「下らない人ですね」
「え?」
ぽつりと呟いた言葉は意外と響いたようだ。アメリアがきょとんと視線をこちらに向ける。
ああ、本当に何て価値のない生き物。
「下らない人だと言ったのです。貴女の頭は飾り物でしょうか」
「な、ア、アルジェント様!?」
「気安く名を呼ばないで戴けますか、汚らわしい。人を貶め人を見下す事しかできない罪人如きが一体何様のつもりなのでしょうね?」
次々とぶつける言葉にアメリアの表情が驚愕から絶望へと染まっていく。
どうせ理解など出来てはいまい。精々、憧れの騎士に嫌われた事に傷ついているだけだろう。
「そんな……酷いです! 私は、貴方のことが」
「酷い? 貴女がクリスティーナ嬢にしようとしたことは何なのです? 幸い防ぐことができましたが実行されていれば傷つくどころではない! それとも自分の思い通りにならなければ陥れて蔑めと育てられましたか」
恐らくグランキン子爵も得意げに犯罪を暴露しているのだろう。
だが、それが恐れるようなものではないと自分達は知っている。何せ私もミヅキの計画に協力した一人であり、グランキン子爵邸へ嘘の報告に行かせた時の監視役なのだから。
一時クリスティーナへと視線が注がれようとも無事である事は幾らでも証明できるのだ。
だからクリスティーナ。貴女は堂々としていればいい。恥ずべき事など何も無い。
アメリアも周囲から聞こえる声とグランキン子爵の様子に計画の失敗を悟ったらしい。
もはや視線はアメリアにも注がれ始めている。……これまでの彼女の行動を見ていれば当然だろう。
「な……のよ」
悔しげなアメリアの口から微かに言葉が漏れる。
「何で、あんたばっかり! 皆に……アルジェント様に守ってもらえるのよ……!」
その顔に浮かぶのは憎悪。相変らず反省や謝罪といったものが思い浮かばないらしい。
何よりアメリアは根本的な思い違いをしているのだが。
それに気付いているクリスティーナがアメリアの前に進み出る。その表情はやや硬いがしっかりと前を向いていた。
「アメリア。貴女は思い違いをしているわ。人脈でも立場でもない、最も簡単な事を」
「思い、違い……?」
「私はデビュタントに向けて努力したわ。まだ拙いけれど家の名を貶めぬよう、家族に恥ずかしい思いをさせないよう多くを学んだの。貴女が努力したことは違うでしょう?」
やや幼い声だが服装の所為もあり、アメリアより年上に見える。
睨み付ける事などせずとも彼女はアメリアを圧倒した。
「手を差しのべてくれる方達は沢山居たわ。皆さんこう言ってくださったの……『自分も越えて来た道なのだから努力する姿を見れば応援したくなる』って。それは私だけに当て嵌まるものじゃないでしょう?」
「私には……居なかったわ。誰も、誰も!」
未だ人の所為にしてはいるがクリスティーナへの一方的な憎悪は幾分和らいでいる。
あの親が原因なのだ、そんな生き方しか知らずとも仕方がないのかもしれない。
と言っても周囲の言葉に一切耳を傾けなかった彼女にも十分非はあるのだが。
そろそろいいかと思い、私も口を挟む。
「当たり前じゃないですか。貴女が努力したのは嫌がらせなんですから。誰が悪事に手を貸したいと思うのです?」
「え?」
「誰だって犯罪者になどなりたくはない。目先の利益に釣られる者ならばともかく、家の名を貶める行為に手を貸す愚か者はいませんね」
クリスティーナの纏う色は母の思い出、ドレスは母親代わりのブロンデル夫人が見立ててくれたもの。
装飾はミヅキを筆頭に騎士達から贈られ、礼儀作法やダンスは姉達に教えを受けた。
そして彼女の性格は家族と家族に等しい者達が共に作り上げた。
対してアメリアはどうだったろうか。
親からの愛情は与えられたが、その教育はあまりにも愚か過ぎた。
見下せば反感を買う、陥れれば憎悪を向けられる。
きっとそんな事も思い至らないに違いない。
いや、人に言われたとしても素直に受け入れる事などしなかっただろう……自分が被害者になったことなどないのだから。
「アメリア。私の事はどう言っても構わないわ。だけど私に手を差し伸べてくれた方達を侮辱するのは許さない」
「許さない……? 生意気なのよ、アンタ「お黙りなさい!」」
アメリアの発言を遮り姉が冷たい目を向けた。同時にクリスティーナを後ろに下がらせ背に庇う。
「どこまでも人を見下す姿勢を変えないのですね。いいわ、貴女達のやり方で我がバシュレ家がお相手しましょう」
「あら……」
「まあ、シャルリーヌ様。そんな価値はありませんわよ?」
「姉上……理解できぬ者に時間を割くだけ無駄ではないかと」
口々に掛けられる言葉は決してアメリアを労わるものではない。
『そんな価値などない』、そうはっきり言っているのだ。確かに公爵家が出るまでもないと思う。
「人脈を使い、手を回して、グランキン子爵家を潰してあげますわ。ああ、でも貴方達と違って犯罪者になるつもりはありません。貴方達の犯した罪を徹底的に洗って糾弾するだけです」
貴方達のような反省する事さえ知らぬ罪人など我が国には必要ありませんものね! と楽しげに告げる姉の目は全く笑っていない。
グランキン子爵家は貴族をただの特権階級の様に思っているようだが、我が国においては同じだけの責任を求められる。
公爵家ともなれば責任の重さは桁違いである。跡取でなくともその家に生まれた以上は背負うものがあるのだ。
そもそも姉が婿をとったのも公爵家の人間として国に貢献しているからである。
そんな姉を怒らせるとは。大変勇気のある、無謀な行為をしたと言えるだろう。
……まあ、アメリアの場合は礼儀を無視した挙句個人的に怒らせたので自業自得だが。
それにグランキン子爵家は公爵家が動かずとも間違いなく潰れる。
ただ自分達が妥当とする以上に罪は重くなる可能性がでてきただけだ。大した差はない。
「貴女が納得できるだけの罪状を突きつけて差し上げますわ。楽しみになさっていて」
「わ……私が悪いというの!? だって、クリスティーナがっ」
震えながらも非を認めないアメリアの姿に周囲の視線は嫌悪と同情が入り混じったものになりつつあった。
あの親にずっとそうあるよう教育されてきた――彼女にとってはそれが正しいのだ。
そう簡単に理解出来るものではないのだろう。
「これ以上の話は無駄ですわね。アンディ様? しっかりエスコートなさってくださいな」
「ま……待って!」
恐らく初めて誰かに糾弾されるという立場に立ったアメリアを気の毒と思わないではないが。
「いい加減口を閉じてくれませんか。耳が穢れます」
思った以上に冷たい声にアメリアは身を竦ませると押し黙る。同情できる期間は過ぎているのだ、それに私は『誰にでも優しい騎士様』などではない。
今回、私達も随分と不快な思いをしているのだ。
加えて本人が言い出した身代わりとはいえ、婚約者を傷物にしようとした輩に向ける優しさなど無いわけで。
「アルジェント様……もしかして、怒ってらっしゃいます?」
「ミヅキを巻き込む羽目になった我が身の不甲斐無さに怒りを覚えているだけですよ」
「確かに。ミヅキ様は何の関係もありませんでしたもの」
「我々が不甲斐無かっただけですので、御気になさらず」
そういうことにしておいてください、クリスティーナ嬢。
あの親に育てられたアメリアはそう簡単に改心できません。
彼女にとっては今までが『当然』でしたから。
アンディは事態の深刻さはともかく、一応理解できています。
お姉様達→大はしゃぎ・でも逃げ道は用意
クリスティーナ→ちょっぴり成長。
白騎士→殆ど出番無し。役目は理解していても気持ち的には置いていかれた犬。若干拗ねてます。