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魔導師は平凡を望む  作者: 広瀬煉
ガニア編

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287/705

外出すれば騒動が起こる

 目の前には捕縛された男が三人。一人は魔術師、残りの二人は傭兵とかだろうか。

 現在、お外に来ております。転移法陣を使って、ガニアでは初のお出かけです……!

 青い空、爽やかな風、そして、唐突な襲撃! 

 ……問答無用で〆ました。条件反射なので、私は悪くない。護衛もいたはずなんだけどねぇ……どこに行ったやら? シュアンゼ殿下達、全く慌ててなかったけどさ。


「何ていうか、判りやす過ぎですよね」

「まあ、ねぇ……私が敵対を明確にした以上、来るとは思っていたけれど」


 生温〜い目で三人を眺める私とシュアンゼ殿下。ラフィークさんは人を呼びに行っているため、今は傍に居ない。

 ――この三人、襲撃犯なのである。

 ただし、状況的に『ターゲットがどういった人物なのか知らなかった』と思われた。相手の情報を正しく知っていたら、この人数とか実力ってありえないもの。


「捨て駒にするつもりだったから、部外者を使ったと見るべきだろうね」


 溜息交じりに結論を出すシュアンゼ殿下。


「丁度、私達も外に居ますしね。こういった人達が来ることも予想していたから、意図的に外出を隠しませんでしたけど」


 思わず、馬鹿正直に暴露する私。ただ、襲撃者達は私達の言葉を聞いて状況を察したらしく、怪訝そうな表情になった。……ああ、騙されたんだろうなぁ、この顔を見る限り。


「おい、どういうことだ」

「人に聞く前に、自分のことを話しなさいよ。依頼人を言えとは言わないから、どんな依頼だったかくらいは言ってもいいんじゃない?」


 ほれほれ、と促せば、男達は顔を見合わせた。


「おい、どうする?」

「どうするも何も、この状況じゃあな……」

「……。僕は話してみた方がいいと思います。その、『全てを言え』とか言われない分、あの依頼人よりは信用できませんか? この人の強さも、僕達が聞いたものとは違いますし。他にも……」


 ひそひそと話し合う男達だが、どうも依頼人から聞いた話に疑問を持っている面もあるようだ。気弱そうだが、魔術師の青年はそれなりに賢いらしく、幾つかの矛盾を二人に挙げている。残る二人も納得できる点があるのか、考えながら聞いているようだ。

 やがて、リーダー格らしい青年が代表として口を開いた。


「俺達みたいな生業の奴は、依頼内容や依頼人の情報を漏らしたりはしねぇ。信用問題に関わるからな。あんた達はそれを何とかしてくれるのか?」

「そうだね……内容によりけり、かな。君達が完全に向こうの人間で、わざと捕まって、こちらの懐に入り込もうとしていないとも限らないし」

「まあ、そうだろうな。何だ、貴族の坊ちゃんにしては考えているじゃねぇか」


 暗に『君達が信頼できるか判らない』と言ったシュアンゼ殿下に、意外にもリーダー(仮)は納得する素振りを見せた。思わず、彼らへの評価をひっそりと上げる。

 言い方は悪いが、彼らのような職業の人達は、貴族に対してあまり良い感情を持っていない場合が多い。自分達が使われる側であることも一因だが、自分の強さを商品――こういった言い方はどうかと思うが、ある意味では正しい――にしているからこそ、自信と誇りを持っているからだ。

『貴族階級に生まれただけ』なのに、偉そうに上から目線で蔑まれたら……良い感情は抱かないわな。

 そういったことも経験しているだろうに、シュアンゼ殿下に対する偏見は殆どない。これはシュアンゼ殿下も意外だったのか、軽く目を見開いていた。自分が様々な偏見を受ける側だからこそ、余計にそう思ったのかもしれない。


「じゃあ、こうしましょう。一つそちらが答えるごとに、私達も一つ答える。情報が欲しいのは貴方達も同じでしょ? これ以上話したくないと思ったら、そちらも聞かなければいい」

「へぇ……つまり、自分の情報に見合った情報を得られるってことか」

「くだらないことしか言わないなら、こちらもそれなりのものしか話さない。駆け引きが可能な以上、互いに納得できると思うけど」


 私の言い分に納得したのか、男達はこの提案に乗り気なようだ。『お互いに情報を話す』ということに加え、自分達にもある程度の自由が認められることが高評価だった模様。


 だが、その考えは甘過ぎる。私が温い対応? ないない!


 ……実のところ、こちらが私&シュアンゼ殿下という組み合わせなので、不利になる可能性はゼロに等しい。それに対して、彼らの状況は悪過ぎた。

 情報がなくとも問題ない私達と違って、彼らの方は死活問題。『この提案に乗らなきゃならない』のだよ、どうしても。今の自分達の状況を知る上でも、情報収集は必要なのだから。


「まず、確認。あんた達に依頼したのは貴族? ……これは具体的に言う必要はない。あんた達から見て、貴族の依頼だったかどうかってこと」

「はっきりとは言えねぇが……貴族、だと思う。『主人の使い』と言っていたこともあるが、俺達を見下していたからな。金持ち連中は俺達を護衛に雇うこともあるから、あからさまな態度はとらねぇ。俺達独自の情報網があると知っているからな」

「なるほど」


 それならば、依頼主は貴族で確定と見るべきだろう。裕福な家という線も捨てきれないが、私達の状況に当て嵌めると不自然だ。


「次は俺達だな。あんた達は貴族かい?」

「私は民間人だよ。こっちは……聞かない方がいいと思う」

「はぁ? そりゃ、どういうことだ?」

「聞きたければ、次の質問でどーぞ! ただし、後悔しても知らない。忠告はした」

「……チッ、まあいいか。全く答えなかったわけじゃねぇし」


 不満そうな声を上げるリーダーに対し、ささやかな警告を。私の立場は答えたので、ルール破りには当たらない。


「依頼内容はどんなもの? 殺せ、捕獲しろ、攫え……という感じに、断片的でいいよ」

「……。あんた達を『襲え』だ。殺さなくていいとは言っていた」

「あら、そこまで話してもいいの?」


 意外そうに聞けば、リーダーはどこかしてやったりといった感じに笑った。


「俺達の今後がどうなるか判らない以上、あんた達を巻き込んでおくのも手だろ? それにな、次の質問には同じだけのものを求めることができるじゃねぇか」

「あら、このルールの醍醐味に気づいてたのね」


 おお! 意外とよく考えているじゃないか! 全く動じない私にリーダーはやや不満そうだが、私にとっては喜ぶべきことだ。これならば、こちらから交渉を持ちかけたとしても、メリットとデメリットを天秤にかけ、応じてくれるかもしれない。

 扱いやすい奴ならば、持っている情報もそれなりだ。目の前にニンジンをぶら下げれば動くので、必要最低限の情報だけでいい。

 逆に、疑い深い奴ならば……後のことも踏まえ、独自に情報収集をしている可能性がある。危ない橋を渡るための保険になるような情報ならば、こちらにとっても価値があるものじゃないか。

  

「随分と落ち着いているな?」

「交渉ごとも、言葉遊びも嫌いじゃないよ。私だって、情報が強みになることを知っている……『貴方が持っている情報に価値があるならば、私にとっても良いこと』じゃない?」

「……遣りにくい相手だな、あんた」

「主に頭脳労働で乗り切ってますから!」

「そ、そうか」


 マジである。交渉する場合、相手にも見返りがなければ動いてはくれまい。言葉遊びに紛れて提示された情報をどう活かせるか? ということが重要なのです。私の場合、その場でいきなり答えを求められるしな!


「よく判らんが、何だか苦労しているみたいだな、あんた。俺が言うのもなんだけど、頑張れや」


 ……哀れみを向けられました。労りに満ちた眼差しというか、気の毒な人を見る目で見られています。

 ま、まあ、私のことはいいんだ。次いこ、次!


「次は俺達だな、遠慮なくいくぜ。詳細までは求めねぇが……俺達が情報を提供した場合、あんた達は俺達の今後を約束できるのか?」


 答えようにも、これは私では不可能な分野が関わっている。視線を向けると、察したシュアンゼ殿下が応じてくれた。


「それはどういう意味での保障かな? 私達とて、できないことがある。君達が指名手配中の罪人だった場合は、処罰に干渉することになるからね。さすがに、そこまでの苦労に見合った情報を得ているとは思えない」

「ほぉ? つまり、『そんな状況でも不可能じゃない』ってことだな。随分と教えてくれるじゃねぇか」

「君と彼女の交渉は中々に面白いからね。しかも、君の強かさは自分と仲間を守るために発揮されている。嫌いじゃないよ、そういう人は」


 疑いの眼差しを向けるリーダーに対し、にっこり笑って返すシュアンゼ殿下。その表情と言葉に、リーダーは呆気に取られ――


「まったく、調子が狂う奴らだぜ!」


 照れたのか、がしがしと乱暴に頭を掻いた。他の二人も呆気に取られたようだが、自分達のリーダーが認められたことが嬉しいのか、表情を緩めている。

 そんな中、魔術師が声を上げた。


「あの、次は僕が尋ねてもいいですか?」

「あん? ああ、構わねぇよ。おい、次の質問はこいつからだ」

「あれ、まだはっきりとした答えを返していないけど、いいの?」


 シュアンゼ殿下は未だ、明確な答えを返していない。男達もそれを不思議に思っているようだが、魔術師を止めようとはしなかった。彼らなりに、この気弱そうな青年を認めているのだろう。


「僕の質問も、それに連動するものなので。というか、こちらが先に聞かなければならないことなんです。貴方達にとっても、不利益にはならないかと」

「あら、随分と強気ね?」


 意外、と暗に言えば、魔術師は穏やかに微笑んだ。


「僕もこの二人の仲間です。僕を認めて仲間に入れてくれた人達が助かる道を探すならば、僕だって同じ選択をするのが当然なんですよ。貴方達の話を聞く限り、僕達は捨て駒扱いをされたんでしょう。ならば、僕がすべきことは『自分達の今後への確約』」

「そうねぇ、貴方達には二つの選択肢があるものね? 一つは依頼人を守る、もう一つは自分達を守る。大きく分けてこの二つでしょう」


 頷きながら二つの選択肢を提示すれば、魔術師もその通りだというように頷いた。


「これが普通の依頼ならば、僕達は貴方達と交渉すべきじゃない。だけど、何らかの目的の犠牲となることまでは承諾していないんです。契約違反、ですよね? これ。だったら、新たに貴方達と契約を結ぶことはできるはずです。違いますか?」


 窺うように、けれどこちらの肯定を望むような表情で、問い掛けてくる魔術師。問い掛けにはなっているが、彼は私達へと交渉を仕掛けてきているのだろう。

 上手い言い方をする魔術師に、シュアンゼ殿下も私と同じく面白そうな顔になった。私達はこれに『答えなければならない』。それも、『彼らからの情報に見合う形』で!

 彼らを縛るのは、『依頼という名の契約』。それを破ることは彼らの評価を落とし、今後の仕事に多大な影響を及ぼすだろう。

 だが、『依頼人が先に偽りを告げ、依頼内容すら引き受けたものと違う』ならば、従う義理はない。抜け道と言えばそれまでだが、騙した相手に義理立てする必要などないじゃないか。

 ただ、それを勝手にやらかすと拙いため、私達という保険をかけたのだろう。私達にも利があるならば、悪いようにはすまい、と。


「契約違反に該当するでしょうね。それを確認するためには、貴方達の引き受けた任務の詳細を提示してもらわなきゃならないけど」

「勿論です。僕達は貴方達の立場を知らない……それによって、僕達への依頼は全く違った見方になってくるのにも拘わらず。『貴方達から見て、僕達が受けた依頼の達成は可能か』、そして『それを引き受けた場合、引き受けた仕事だけで済むのか』。この二点を僕達に教えてください。依頼内容は僕が……」

「待て。それを言うのは、俺の役目だ。お前は黙って引っ込んでな!」

「え、ちょ、ちょっと! これは僕の独断ですよ! 貴方は関係な……」

「煩ぇ! お前は黙って、俺の言う通りにしてればいいんだよ」


 依頼内容を話し出そうとした魔術師は、リーダーの男によって後ろに追いやられた。言葉こそ乱暴だが、リーダーの男は自分がその責任を負うつもりなのだろう。

 ……それが不器用な優しさだと判っているのか、魔術師もそれ以上は騒がなかった。ただ、心配そうな目でリーダーを眺めてはいるが。


「俺達の受けた依頼は『ある貴族の愛人の子を痛い目に遭わせろ』ってやつだ。何でも、『正妻である奥様が酷く疎んでいるから、目障りな愛人の子に立場を判らせるため』とか言ってたな。まあ、そういった依頼がないわけじゃない。女なら政略結婚の駒になるだろうが、男の場合は正妻の子を押し退けて跡取りになる可能性があるからな」


 そこでリーダーは私に視線を向け。


「そこのお嬢ちゃんは愛人の子の恋人だと言ってたな。愛人の子の存在が正妻にとって都合が悪い以上、子供ができると拙いってのは判るんだが……」


 そう言いつつも、リーダの目は明らかに疑っていた。もしかしなくても、私とシュアンゼ殿下が恋人同士に見えなかったことが、彼らが依頼に疑問を持った原因なのか。

 ただ……別の意味では、大変拙いことになった気がする。


「「……」」


 私とシュアンゼ殿下はお互い無言。いつの間にか、事実と掠りもしない物語が展開されていた模様。シュアンゼ殿下は表舞台に立たなかったから、民間に顔を知られていないことも都合が良かったのだろう。

 はは、そっかー。私がシュアンゼ殿下の恋人とかぬかしやがったのかー。確かに、シュアンゼ殿下の周囲には人が少ない。『見捨てられていない愛人の子』くらいには見えるだろう。

 ……。


 私は魔王様に報告の義務があるんですけど!?


「まず、君達の間違いを訂正しよう。私は愛人の子ではない。多少複雑な立場ではあるが、直系の従弟がいる以上、家を継ぐことはない」


 微妙に暈しつつ、シュアンゼ殿下が訂正する。彼らはシュアンゼ殿下が愛人の子ではないことを知って蒼褪めていた。おそらく、お家騒動の片棒を担がされたとでも思っているんだろう。捨て駒扱いされたことも、そう思わせる一因だ。

 愛人の子でなくとも、依頼者にとって『邪魔者』ということもある。その場合は貴族のご子息にやらかしたことになるため、重い処罰になる可能性が高い。彼らが貴族でない以上、どうしても身分差が存在するからだ。

 愛人の子ならば、まだ救いはあった。父親に認知されていなければ、庶民のままだしね。


「次に。彼女は私の友人であり、護衛のような存在だよ。ただ……」

「ただ?」

「彼女の保護者は過保護な人でね? 命の危険はともかく、『恋人扱いされた』という点が壮絶に拙い」

「はぁ? なんだ、そりゃ? 普通は命の危機の方が慌てるだろ?」


 リーダーは速攻で疑問の声を上げる。素直だな、リーダー。だが、私の場合は『恋人同士だと認識されるように見えていた』とも受け取られてしまうため、立派に説教案件だ。

 それだけでも憂鬱なのだが……私が異世界人である以上、守護役達が存在する。建前的なものだろうとも、国が推した婚約者がいるということだ。何も言わずに恋人作るとか、問題だろ。


「命の危機は自己責任。つーか、私は返り討ちにできるから、そこまで心配されてない」

「確かに強いよな、あんた」


 返り討ちにしたのが私なので、彼らは素直に納得してくれた。恋人よりも、護衛と言われた方が納得できるのだろう。

 実際には、『シュアンゼ殿下の傍に居るから』というのが、心配されない主な理由だ。シュアンゼ殿下が王族であり、日頃から王城で暮らしている以上、滅多なことでは危険な目に遭うはずがない。


「だけど、私には婚約者がいるんだよねぇ。あんた達の話を報告して、『恋人同士のように見えたのか?』とか言われた場合、厄介なことになるのが確定なんだけど。その場合、ガニアという国に対して不信感を持たれることになる。ちなみに、報告の義務があるから、黙秘も不可」

「「「え゛」」」

「君達に依頼を受けさせるための嘘だろうけど、私は彼女の保護者に抗議されるだろうね。『護衛として派遣しただけだ!』って」


 僅かに顔を引き攣らせつつ、嫌な発想をするシュアンゼ殿下。厄介事に巻き込まれたと感じ、襲撃者達は慌てているが……多分、『殺しに来た』とか言ったほうがマシだと思う。立場上、そうなっても不思議はないもの。

 ただ、起きてしまった以上は仕方ない。私達が即座に回避行動に移るのは、当然のことだった。


「だからね、その厄介事を避ける……恋人云々が依頼を受けさせるための嘘だと証明させるためにも、あんた達を手放すわけにはいかないのよ」

「そうだね、君達が唯一の証人だ。こちらの手に落ちてくれるなら、君達の今後は保証しようじゃないか」

「寧ろ、それ以外に今後は約束できません。証拠隠滅を狙った依頼主に殺されるか、私達の手駒になって事態の好転を図るか。好きな方を選べ、選択によっては速攻で隠蔽工作(意訳)に動くから」


 目が笑っていない笑顔のまま、私とシュアンゼ殿下は襲撃者達に迫った。……ただの脅しじゃないぞ、私が異世界人の魔導師だからこそ、様々な意味で拙い。

 シュアンゼ殿下に対する不敬も十分拙いが、それはまだガニア内部のこと。『後見人を無視し、守護役達も出し抜いて、ガニアの一人勝ち!』なんて思われることに比べれば、無視していい案件である。

 異世界人の婚姻=相手の国の民となること。私に限って言えば、魔導師の独占と等しい状況になってしまうため、そう簡単に許されるはずはない。

 そもそも、複数の守護役がつくこと自体、『一国に異世界人の知識を独占させない』という意味も兼ねている。異世界人に逃げ場所を与える意味もあるけど、この世界側の事情というものもあるのだよ。


「とりあえず私達の立場を明かしておくね。私はイルフェナに保護されている異世界人で、魔導師だよ。こっちは王弟の一人息子のシュアンゼ殿下」

「お、王族に、魔導師!?」

「マジか!?」

「うん、マジ♪」


 事情説明に必要なため、私達の身分を明かす。予想通り、悲鳴にも似た声を上げるリーダーともう一人。若干、涙目になっているのは気のせいではないだろう。

 ただ、どこにも例外はいるもので。


「ほ、本当に魔導師様なんですか!? ぜ、是非、ご指導をっ! いえ、せめてお話を!」


 魔術師は一人、目を輝かせていた。大人しそうな姿が嘘のような興奮ぶりに、お仲間達が微妙に引いている。

 好奇心と憧れは全てを凌駕するものらしい。中々に大物になりそうだねぇ、君。

うっかり、恋人云々の噂が流れた場合、

魔王殿下「お泊りさせただけで、里子に出したつもりはない!」

他国の人々「ガニアが魔導師を独占しようと画策した?」

という感じになります。

事実とは思っていないけど、ガニアが主人公を無視して外堀を埋めようとしている

ようにしか見えませんし。

魔王殿下は単純に、『うちの子をあげるなんて言ってない!』となるでしょう。

すっかり愛猫扱いが定着しています。

※魔導師16巻のお知らせを活動報告に載せました。

 今回は書き下ろしが沢山です♪

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