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魔導師は平凡を望む  作者: 広瀬煉
サロヴァーラ編

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225/705

魔導師の考察 其の一

 目の前には護衛騎士、そして乱入者。この乱入者は騎士のようだ。年齢は……二十歳くらいか、それ以下ってとこ。

 よしよし、よく来た! お姉さんは大歓迎だぞ?

 ただ……それを素直に態度に出すほど、お馬鹿さんじゃないがね。


「どうしたの? 八つ当たりだって自覚があるくせに、わざわざ来たんだもの。言いたいことがあるなら聞いてあげるわよ?」


 乱入者に鋭い視線を向けている護衛騎士を手で制し、挑発するように笑う。

 騎士は意外そうな顔で私を見るが、これは私達にとってチャンスだ。言い方は悪いが、割と考え無しな行動を取る人物ならば、ぽろっと情報を口にしそうなんだもの。


「……っ」

「遠慮せず、どーぞ♪」


 乱入者は私の態度が予想外だったのか、一瞬呆けたような顔になる。と、同時に少し頭が冷えたらしい。

 唇を噛み締め、相変わらず睨みつけては来るけど、感情のままに怒鳴り散らすことはしなかった。


 うん、それでいい。

 少し落ち着いてくれないと、まともに会話が出来ないもの。


 立ち上がって、乱入者の前に立つ。そんな私の行動を、皆が視線で追っているのを感じつつ……「さあ、どうぞ?」とばかりに乱入者に微笑みかけた。

 馬鹿にされたと思ったのか、乱入者の顔が歪む。


「お前がいなければ、リリアン様とてあのような行動を取らなかった!」

「そうね」

「彼女だって……あんな真似をする必要はなかった!」

「そうかもしれないね」

「なんで……なんで、お前は……」


 さらりと流してばかりな私に、乱入者は酷く表情を歪め。


「なんで、そんなに平気そうにしてるんだよ!? 自分が関わった件で人が死んでるんだぞ!?」


 泣きそうにも見える顔で怒鳴りつけた。

 ふむ、言い分は実に自分勝手だね。確かに私はこの一件に関わっていて、ある意味では元凶とも言えるのだが……『被害者』である。

 繰り返すが、私は被害者。それが判っているだろうにこう言ってくるということは、『異世界人』ということが大きく影響しているのだろう。ぶっちゃけ、この世界の人間以下の認識ってことです。

 この乱入者が日頃からそう思っているかは判らないが、今回のことを八つ当たりする切っ掛けにはなったわけだ。

『異世界人のせいでサロヴァーラは不利な状況になり、侍女は死んだ』と。

 乱入者君――勝手に命名――はそれを『自分の言動を正当化させる理由』にしたいらしい。


 ……間違いなく『建前』ですよ? 彼が本当に憤っているのは、私に対してじゃないだろう。

 無力な自分か、国の対応か。まあ、私が一番八つ当たりしやすくはあるわな。


 アル達もそれを判っているから、特に何もしないのだと思う。本当に私に対して悪意を持っているならば、守護役としてアルが庇うだろう。

 八つ当たりだと判っている上、私がそれに乗っているから邪魔をしないだけだ。ま、乱入者君は私があまりにも平然としているのも気に食わないんだろうけど。

 ムカつく気持ちは判りますよ! 私は理解ある魔導師ですから! ……いつも利用してるからね、先に手を出させるために。

 では、そろそろ動きましょうか。


「平気そうにしている理由? だって、関係ないから」


 そう言った途端、乱入者君は目を見開く。彼だけではなく、護衛騎士まで呆気に取られたような表情になった。


「判りやすく言ってあげる。私はサロヴァーラの人間じゃないから干渉できない。そして被害者という『当事者』だからこそ、事件の捜査に関わるわけにはいかない。第三者として見ることができる人間が捜査しなければ、何らかの感情前提にしか物事を捉えられなくなる可能性があるから」


 今の貴方みたいにね?

 そう暗に伝えれば、乱入者君は俯いた。彼とて『異世界人』や『魔導師』といったフィルター越しに事件を見て、私に八つ当たりしたじゃないか。これがイルフェナ勢の誰かなら多分、来なかったと思う。


「そもそも、これはサロヴァーラが調査してイルフェナに誠意を見せなければならないこと。だから私は『捜査に関係ない立場』であり、……それ以上に『興味を持たず、干渉しない』。私が真相に辿り着いたら、サロヴァーラの面目丸潰れでしょうが」

「……」


 そこまで言えば、さすがに理解できたのだろう。乱入者君は完全に俯いてしまった。僅かに体が震えているので、泣いているのかもしれない。


「魔導師殿、それが貴女がただ静観する理由なのですか?」

「そうだよ? 私だけじゃなく、イルフェナもね」


 護衛騎士も納得してくれたらしい。

 私が言ったことを意訳するなら、『サロヴァーラの見せ場を横から掻っ攫うってどうよ?』になる。さすがに拙いと、嫌でも理解できてしまったのだろう。この後、見せ場がない可能性もあるもの。


 まあ、乱入者君を利用しないとは言っていないのだが。


「判ったなら、突撃してきたことを謝罪なさいね」

「そうだな、お前の態度は許せるものではない。サロヴァーラの恥と言われたくなければ、魔導師殿達に非礼を詫びろ」


 ほらほら、と促せば、護衛騎士も同調して乱入者君に促す。

 年齢的に先輩にあたる人物、しかも公爵子息のお言葉だ。乱入者君も無視はできないと思ったのか、ゆっくりだが素直に跪く。

 そして。


「……申し訳ございませっ……!?」


 下げられたその頭を、私は盛大に踏みつけた。護衛の騎士がぎょっとして私をガン見するが、無視だ、無視。

 実はこれ、物凄く重要な行為だったりする。つーか、これをやっておかないと乱入者君の命が危うい。


「ま、魔導師殿!? そ、その、お怒りはごもっともなのですが、それはあまりにも……っ」


 慌てて取り成そうとする護衛騎士を無視し、私はレックバリ侯爵の方を向く。レックバリ侯爵は私の行動の意味が判っているのか、やや苦い顔だ。


「ミヅキ……お前さんなぁ……」

「ふふ。勿論、私の意図は判っていますよね?」

「……」

「判っています、よね?」


 にこにこと確認する――頷くまで止めない――私に、レックバリ侯爵は諦めた顔で頷いた。よし、承諾は得た!

 それを確認してから、改めて踏みつけたままの乱入者君に目を向ける。割と本気で踏みつけているのだが、乱入者君は抵抗しなかった。やはり、自分が悪いという自覚があるのだろう。


「貴方のしたことは問題だけど、私の態度も問題よね? 『誠実に謝罪する騎士の頭を踏みつける』なんて、礼儀知らずもいいところ。当然、『謝罪』と『それに見合う対応が必要になる』」

「い、いいえ、私が一方的に悪……」

「はい、黙れ。余計なことは言わんで宜しい!」

「ぐ……」


 ちょっとばかり体重をかけてみました。さすがに苦しそうです。

 駄目だなー、そこは黙って受け入れろ。乱入者君へ向けたイルフェナ勢――約一名は除く――の視線が哀れみに満ちたものになっているじゃないか。それを利用せんかい。

 まあ、奴らは私が彼を利用すると判っているから、犠牲者という認識で見ていると思うが。

 それでも助けないあたり、大変理解のある皆様です。私の言動に慣れたせいとも言うが、サロヴァーラはそんなことなど知らない。

 よって、外道は私一人である。私は異世界人なので、イルフェナの騎士の評価に響くことはない。


 ここは私が悪役でいいの。それしか手がないの!


 呆気に取られている護衛騎士を視線のみで黙らせ、私は更なる解説を。

 ……あの、レックバリ侯爵? 私の意図が判っているくせに、『普通は思いつかん手よの。さすが、鬼畜』とはどういうことだ? 本気でこの乱入者君を哀れんでない?

 ジト目で睨むも、「さっさとやれ」とジェスチャーで返される。いいけどね、別に。


「さて、私は貴方に償わなければならない。そうね、例えば……貴方の非礼を帳消しにする、とか」

「な!?」


 予想外のことだったのか、護衛騎士が声を上げた。彼に微笑みかけると、即座にレックバリ侯爵の方を向き。


「と、いうわけです。私達の代表者である貴方の言葉が欲しいなぁ?」

「はぁ……お前さん、初めからそれを狙っておったじゃろうが。相談する前に行動されて、他に何を言えと?」

「あら、私が問題児なのはいつものことじゃないですか。それに事後報告でも、事後相談でもないです。選べる選択肢を一つだけに絞って提示すれば、嫌でも自分の思い通りになりますよね」


 からからと笑う私に、レックバリ侯爵は深々と溜息を吐いた。はは……嫌ですね、狸様。貴方相手に正攻法など取っていられるものか。

 やがて、レックバリ侯爵は諦めきった表情で頷いた。私が折れる気がないと悟ったらしい。


「まったく、可愛げのない……。ああ、聞いていたとおりだが、一応言葉にしよう。イルフェナから来た者の代表として、ミヅキの非礼を詫びよう。申し訳ない、躾のなっていない馬鹿猫が迷惑をかけた」


 ……一言多いぞ、狸。


「詫びと言ってはなんだが、貴方のしたことを不問にさせていただきたい。受けてくれまいか? ……これ、ミヅキ! いつまで踏んでおる! さっさと足を退けんか!」

「はーい」


 大人しく足を退けると、乱入者君が困惑を浮かべた表情のまま頭を上げる。その顔は『何故、助ける?』と言っていた。

 うん、意味が判らんよね。私は君を利用する気満々だが、彼から見れば救済だ。ゆえに困惑しきりなのだろう。

 そのまま騙されているがいい。そして私に都合よく働け。


「……。はい、お受けします。こちらこそ、申し訳ございませんでした」


 レックバリ侯爵にそう返し、再び頭を下げる乱入者君。これで、この件は終了。

 じゃ、ネタばらしいこうか。


「困惑してるねー。じゃあ、こうした理由を説明してあげよう。ほれ、座れ……でも、その前に」

「え? ……痛っ!?」

「簡単に誘導されるんじゃない! この、お馬鹿!」


 ペシッと片手で乱入者君の頭を叩く。なお、この『誘導された』は私がしたことではない。この部屋に突撃したことに対してだ。


「黒幕に都合よく動いてるんじゃないわよ! 自分の行動がどんな結果をもたらすのか考えてこそ、騎士ってものでしょ。ここで私が庇わなかったら、今回の件は迷宮入りのまま終了だろうが」

「は、え、ええと、その……黒幕? って何のことですか?」


 意味が判らないとばかりに、きょとんとする乱入者君。叩かれたダメージはそれほどではないらしく、浮かぶのは困惑だけだった。


「それを今から説明してあげる。だから、座れ」

「で、ですが!」

「侍女の敵を討ちたいんでしょ? 私に情報をもたらすことで辿り着けるかもしれないわよ? ……選びなさいな。『サロヴァーラが混乱するかもしれないけど、真相に辿り着く』か。それとも『沈黙したままここを去って、全てを忘れる』か。どちらでもいいよ」


 乱入者君は暫し、迷っているようだった。普通に考えれば、私を信頼しろという方が無理だろう。

 だが、今のサロヴァーラには彼の味方がいない。そうでなければ、直談判などするはずがない。それを踏まえての提案である。

 第一王女が黒幕だった場合は彼が第一王女を裏切ったような形になるので、勝手な真似をした彼は国から何らかの処罰を受けるかもしれない。

 それでも選ぶか? ということだ。沈黙したのは、朧気にサロヴァーラを裏切ることになるかもしれないと理解できているからだろう。

 だって、侍女を殺したのはサロヴァーラの誰か……それも身分のある人の可能性が高いもの。


「貴女は真相に辿り着いてくれるのか?」


 暫しの葛藤の後、真剣な顔をしながら乱入者君が聞いてきた。護衛騎士が批難するような視線を向けているが、それは『国を裏切るかもしれない』ということに対してのみ。

 彼とて、当事者の一人なのだ。情報を王に伝えるという意味では、真相を知りたいに違いない。


「できる限り、努力しましょう」

「キヴェラを敗北させた魔導師として、最善を尽くすと?」

「負けっぱなしのまま大人しくするほど、優しくはないんでね」


 言葉遊びのような遣り取りの後、乱入者君は頷いた。私も笑みを深める。


「じゃあ、座って」


 促すと、さすがに覚悟を決めたのか、大人しく従う。護衛騎士も言いたいことを飲み込んで、私の言葉を待っているようだった。

 私も座っていた場所に戻る。ちらりと視線を向けた先のレックバリ侯爵もこの状況に文句はないのか、静観する姿勢だ。


「まず、侍女の件。これについて仕掛けた……いや、侍女を動かした奴を黒幕とする。これが前提」


 ここまではこの二人も理解できているのだろう。侍女が単独で事を成すには少々、無理があるのだ。


「で、貴方は侍女と親しい人間なのかな?」

「はい。彼女の方が年上ですが、幼馴染です。リリアン様の味方だと常に口にしていましたから、今回のことも……」


 乱入者君も落ち着いたのか、素直に答えてくれる。俯きがちになりながらも話す内容に、彼がかなり侍女と親しいのだと知れた。

 ふむ、ならば彼の口から侍女の性格などを聞いておこうか。


「あの侍女ってさ。本当にリリアン様の味方だった? 好意的であることと、忠誠を誓っていることは別だからね?」

「どういうことでしょうか?」

「私から見て、彼女の行動が『忠誠心ある侍女』には見えないから。普通は止めるでしょ? リリアン様を諌めるでしょ? ああ、今回のことだけじゃなくて日頃からって意味で」


 乱入者君は訝しそうな視線を向けてくるが、これは誰でも考えると思う。


「言い方は悪いけど、『できの悪い王女様の味方である自分』に酔っていなかった? もしくは、それによって自分の評価を上げていた」

「それ、は……」


 乱入者君は否定の言葉を紡ごうとし、それでも何か心当たりがあるのか沈黙する。ほほう、その片鱗はあったってことかい。

 やがて、乱入者君は諦めたような顔で話し始めた。


「リリアン様の味方であったことは本当です。俺がリリアン様を、その、悪く言う度に否定していましたから。ですが、周囲の目を気にしていなかったかと言えば……否定できません。彼女への褒め言葉の中に『リリアン様の侍女を務めていられる』というものもありました」

「出来が悪く、第一王女様のように期待されていない姫なのに、献身的に仕えているって?」


 ズバリと言ってやれば、乱入者君は沈黙し。それでもゆっくり頷いた。

 彼とて幼馴染を悪く言いたくはないのだろうが、彼の目的は『幼馴染を死に追いやった者への報復』。私と手を組んだ方が叶うと、そう判断したんだろう。だから、偽らない。


「つまり、美味い餌をちらつかせれば飛びつく可能性があったってことね。仲が良かったのは本当だろうけど、同時に利用できる存在と認識していた」

「それならば、今回の件も納得できるの。どう考えても、リリアン様には不利にしかならん。『姫のために行動した』とは『姫のせい』とも言えるからの」


 レックバリ侯爵も頷いている。侍女の行動の不自然さも、これで納得できた。

 罪が許されたとしても、リリアンの立場は悪くなる。忠誠心のある侍女ならば、黒幕の誘いに乗るまい。


「うん、判った。とりあえず、私の見解を話そうか。まずは貴方の行動について」


 まず一つ、と指を立てる。


「サロヴァーラはこれ以上、失態は犯せない。特にあんなことがあった以上、安全面は重視される。……貴方は誰かに止められなかった?」

「え、いいえ。誰も居ませんでし……た」


 言いながらも、奇妙だと思ったのだろう。乱入者君の顔色が悪い。護衛騎士も視線を鋭くさせている。


「次。貴方がこの部屋へと突撃して暴言を吐いた場合、当然処罰されるよね? サロヴァーラはこれ以上、イルフェナの印象を悪くしたくないだろうから、厳しく処罰されるでしょう。これが黒幕の狙いじゃないかと思う」


 私に皆の視線が集中する。誰もが『何故?』といった感じだ。

 この乱入者君、実はか〜な〜り重要なポジションだと私は睨んでいる。これまでの情報を聞く限り、これは正しいと確信できるほどに。


「貴方は『本性を含めて、侍女の性格を知っている』。そんな貴方だからこそ、『侍女は殺されたのだと確信している』。忠誠ゆえの自殺はどう考えても無理があるものね。貴方はそれを否定する鍵」

「鍵、ですか?」

「ええ、そう。誰もが侍女の忠誠を信じるかと言えば……貴方の様に『リリアン様を利用して自分の評価を上げていた』と知っている者だっているはず。疑問を抱く人はいるんだよ。だけど、声を上げるのは貴方くらい。その貴方が処罰されたら? 疑惑を抱いた人達は厳しい処罰にこうは思わないかな? 『声を上げれば殺される』ってね!」

「な……」


 私の推測に、乱入者君は絶句した。まさか、自分の行動がそう受け取られるとは思わなかったらしい。だが、これはかなりの確率で起こると思う。 

 今の段階では『リリアン様のために行動し、自害』という意見と、『誰かの思惑どおりに動いて殺された』という二パターンが考えられている。


 で、この乱入者君が『誰かの思惑どおりに動いて殺された』という意見を持つ者達への見せしめとなったら、どうなるか?


 侍女の死に対して疑問を持っていた人々は、間違いなく口を噤む。声を上げれば、今度は自分の番なのだから。

 そうなると、必然的に『リリアン様のために行動し、自害』という意見が多くなる。自己保身の意味でも、そちらの意見への支持者が増えるだろう。

 この国は宮廷魔術師でさえ、自分の利を最上位に定めていた。真実を追及して殺されるより、自己保身を選ぶ人が多いとは考えられないだろうか。


「この国ってさ、忠誠よりも自己の利を選ぶ人が多そうじゃない? 言いたくないけど、侍女が死んだ以上は『魔導師を害した犯人』は死んでるのよ。だからその死に疑問を持たない限り、それで決着される可能性が高い」

「俺は利用されたと?」

「何の障害もなくここに来れた以上、その可能性が高いね。その対処法がさっきの茶番なのよ。部屋への突撃をイルフェナ側から許されていなければ、処罰と称して消される可能性があるもの」


 あれです、謝罪中の騎士の頭を踏みつけたやつ。レックバリ侯爵の方から不問にすることを提案してるから、この一件で乱入者君への処罰は不要。私にも非があるしね。

 理解できたのか、サロヴァーラ組――二人の騎士をセットにしてみた――の顔色が悪い。全て黒幕の掌の上だったと理解し、初めてその脅威を知ったのだ。


「では、続きまして。黒幕への考察にいってみようか♪」


 足を組み、場違いなほど楽しげに告げる。

 この展開は予想外だが、黒幕への反撃の一手になりそうだ。そんな期待を胸に抱きながら。

※活動報告に魔導師10巻のお知らせを載せました。

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