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魔導師は平凡を望む  作者: 広瀬煉
全ての始まり
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始まりの記憶と現在の心境

暇潰しに読んでいただければ幸いです。

 人生にはアクシデントがつきものである。

 今日まで平穏だからといって明日もそうだとは限らない。

 ……そんなわけで。




 気が付いたらファンタジーな世界に居ました♪




 簡単に済ますなと言わないでくださいな。だって立眩みして次に目を開けたら異世界です。

 召喚された形跡も神様(元凶)との対話なんてものもなく森の中。

『テ……テレポート? 超常現象か!?』なんて思ったのは一瞬でした。

 上を向いたら太陽らしきものが二個あるんだもの。地球じゃねえよ、明らかに。


 呆然とする

   ↓

 現実逃避してみる

   ↓

 地面にしゃがみ込みのの字を書いて落ち込む


 以上、こちらに来てからの私の行動。

 人間、想定外の事態に陥るとよく判らない行動をするものだ。

 無情に時を刻む腕時計が妙に現実的。


 とりあえず流行の『異世界トリップ』というやつじゃないかと自分を無理矢理納得させました。

 オタクとしてネット小説を読み漁り、ある程度の理解があるからこその認識です。

 何の知識も無く我が身に起これば普通はパニック起こすんだろうな……さっさと正気に返って今後を考えてるあたり私もどうかと思うけど。

 無駄に冷静な自分に可愛げのなさを感じ遠い目になったのは秘密。

 夢見る乙女じゃなくてごめんよ、異世界。

 オタクな若いお嬢さんなら異世界トリップに心躍らせてくれたかもしれないね。



 さようなら、文明生活。できれば近いうちに帰りたい。


 まずは割り切って生きることに専念しよう。永住する気は全然無いけど。


 この際、お約束な逆ハー要素やチート設定なんてものが出てきても理解を示そうじゃないか。そんなものがあるならば、ですが。




「とりあえず人の居る所を目指しますか」


 幸い近くに道らしきものが見える。辿っていけば村や町に着けるだろう。

 そう決めると私は生きるべく行動を開始した。さすがにこの状況で野宿は遠慮したい。

 無駄に現実逃避してても事態は変わらないしね? とりあえずは行動ですよ。

 その後すぐに通りかかった馬車に拾われたのは幸運だった。

 ……迷子と勘違いされたのだとしても。





















 そんな風に思っていた時期もありました。

 今現在――異世界滞在三ヶ月目に突入――はそんなこと欠片も思っちゃいませんが。

 幸いにも魔力持ちだったので知識を活かして魔導師になりました。人生何があるか判らんね。



 結論から言えば……異世界トリップのお約束設定は一通りあった。

 見付けてないのは最重要の帰還方法だけ。まあ、簡単な筈は無い。

 あ、チート能力は『この世界にあるどんな言語も理解できること』みたいですよ。

 自動翻訳されるので意思の疎通に不自由は無いし、読むこともできます。書けないけど。

 最大の強みが『この世界以外の知識を持っていること』なので基本的に自分の実力勝負。

 要は自分の知識をどう活かすかにかかっているんだな、これが。

 小説みたいに『何もしなくても凄い力を秘めている』なんて甘いことはないようです。

 現実は厳しいな! いや、普通に考えれば当然なんだけど。


 問題は『お約束要素』が実在したことだった。

 すなわち『異世界でチート能力使って逆ハー状態』。

 面倒です、物凄く。全力で拒否いたします!



 何故かって?



 それらはあくまでも『物語』であるからこその素敵な設定なのですよ。

 普通に考えて現実では起こり得ないからね?

『読み手』から『物語の登場人物』になった時点でそれは現実なのです、お嬢様方。


 騎士様も王子様も勿論いらっしゃいますよ?

 日本にも皇族や自衛隊が居る如くファンタジー世界では当たり前。居なきゃ困る。

 魔法だってありますよ?

 この世界ではそれが『当たり前』なんだから。

 で、一体何が言いたいかと言いますと。



『夢は見るな』



 はい、これに尽きます。

 美形な王子様は居ました――中身が魔王ですが。

 美形な騎士様達も居ました――腹黒かったり変態ですが。

 逆ハー要素も十分です――仕事の都合上野郎ども満載です。命の危機もあるよ♪


 ……羨ましいか、これ?

 ふふ、平凡とか並って素敵な言葉だったんだな。まさか異様に綺麗な顔とか有能さが変人の証明とは思うまい。


 非凡(=天才)+絶世の美貌→壮絶なマイナス要素あり。


 この世界に来て学んだ事の一つですよ、これ。元々この世界の人達って整った顔をしているけど、その中でも極上の類は地雷です。

 いや、いきなり異世界に放り出された身としては生活保証されるだけマシですよ?

 夢見るお年頃じゃない二十代後半としては現実問題として感謝してます!

 だけど……だけど!

 これだけは言いたい!過去のトリップ経験者&今後経験する人達の為に……!




 美形が揃いも揃って関わりたくない性格してるって何の嫌がらせだ、コラァ!

 恋愛要素満載? 見目麗しい男性達との素敵な出会い?

 はっ! 厄介ごとがセットになった美形なんざ観賞用で十分です! 少なくとも私には命懸けで愛でる趣味も貫く愛も無い。

 私は庶民! 民間人!!

 ゲームの世界なら村人Aです。メインキャラとの関わりなんてございません。

 間違っても権力争いだの存亡の危機だのに関わるポジションにはいないのですよ。


 そう、各種フラグ立ちまくり〜な彼等と関わりさえしなければ……!






 ――これは何の役目もなく異世界に辿り着き、これまでの知識をフル活用して障害を取り除こうとする枯れた女性の物語である。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 嬉しいです。パソコン壊れて、ずっと探してた作品に会えました。内容は、覚えていても、どう探して良いかわからなかったので、これから、楽しみに拝読します。(*'▽')
[良い点] 偶然目に止まって読んでみたら鷲掴みにされたww 主人公癖強すぎ(褒め言葉)なので読み進めたいと思います
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