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魔導師は平凡を望む  作者: 広瀬煉
サロヴァーラ編
192/697

罠に絡め取られたのは

 囮作戦から二日後――


「よっしゃぁぁぁっっ! 釣れた! 決戦は明日に決定ーっ!」

「おめでとうございます! お嬢様!」

「やりましたね! お見事です!」


 騎士団長さんの館にて呑気にお茶をしていた――ここを窺っている輩が発見されたらしく、待機命令が出た――私は、クリスティーナからの連絡に歓声を上げた。


 あの日の夜に送られてきた、クリスティーナからの控えめな報告に添えられていた『第三者から見た見解』。

 執事さんは大変お怒りのご様子でした。やはり病み上がりのお嬢様を一切気にしない、情報収集のためのマシンガントークは腹に据えかねたのだろう。

 メイベル嬢が帰った後のクリスティーナは当然疲れ果てていたらしいが、置いてきた異世界スイーツに喜んでいたようだ。

 うんうん、サプライズですものね。ひっそり料理長さんにフルーツを使ったクレープを作るよう指示しておきましたからね! 

 焼いたクレープとカスタード、ベリーのソースを持ち込んで一度作って見せれば、大切なお嬢様のために可愛く盛り付けてくれますもの。癒されたようで何よりだ。

 あと、魔王様の許可が出たらプリンのレシピが進呈される予定です。次は一緒に誘拐されるかもしれないから、それくらいは許されるだろう。

 なお、釣り成功のお祝いの言葉と拍手は給仕をしてくれていた侍女さん、団長さんへの連絡を請負ってくれる執事さんである。

 そして彼らは私の護衛でもあるそうな。騎士団長の家ともなれば狙われる可能性を考慮し、使用人全員が戦えるようになってるんだとさ。

 団長さんからの信頼もある彼らは様々な意味で『主不在の家を守る人』らしい。


「それでは旦那様に連絡を入れませんと」

「うん、お願い。ああ、この手紙も一緒に送って。その方がいいでしょう」

「承知いたしました」


 クリスティーナからの手紙には『メイベル様からお茶会に誘われました。セレネ様も御一緒に、とのことです』と書かれている。メイベル嬢が関与した証拠の一つとして騎士団に渡しておいた方がいいだろう。

 執事さんもそれが判ったのか、即座に頷き手紙を預かってくれた。これで囮作戦の第一段階は終了だ。

 ちなみに私が直接連絡をしないのにも理由がある。

 この家を監視しているらしい不審者のこともあるが、騎士寮に帰らないこと、そして魔王様に連絡を取らないことも『向こうの思い通りにさせないため』には必要なのだよ。

 執事さんは団長さん不在時に家の管理を任されている人なので、何かがあれば当然団長さんへと連絡をする。今回ならば『不審者が目撃されています』といったところだろうか。

 自分の家からの連絡ならば不自然に思われないからね。あくまでも『団長さんが留守の間、家を守っている人物からの連絡』なのです。

 そこに『お預かりしたお嬢様の様子云々』などと書いておけば、知り合いの娘が確かに滞在していたという証拠になるだろう。当然、魔導師なんて言葉は欠片もないわけで。


 これで囮作戦が決行されようとも、報告書には『知り合いの娘が例の誘拐犯に攫われた』となる。


 向こうの狙いがイルフェナを貶めることならば、それに対抗すべく功績は騎士団へ。魔導師の介入を極力明記しない方法が取られているのだ。

 ぶっちゃけると一般的に魔導師のインパクトが強過ぎて、関わっただけで魔導師の功績にされかねない。それこそ事件が解決しても、向こうの思惑通りの展開になってしまう。

 そして、この『非常に嫌な予想』は私を含めた関係者一同に黒幕の存在を確信させた。


『ただの誘拐ならば普通はここまで考えまい。ブレイン、絶対いるだろ!?』と。


 力業で仕掛けてくるとかではなく本来の目的を隠した上で、『最終的に望んだ結果に持って行く』という方法が取られているのだ。疑うなという方が無理だろう。

 これ、普通に誘拐事件を解決してたらどこからともなく『騎士団だけでは対処できず、魔導師に縋った』という噂でも流されたんじゃなかろうか。

 一応、それを警戒して商人の小父さん達――キヴェラでお世話になった人達ですな――が酒場といった人の多い場所で情報収集と監視をしているらしい。

 ちなみに私に関しても『魔導師は現在ゼブレストにいる』となっている。

 ルドルフの全面協力により『魔導師はカエルと戯れるためにゼブレストに来た。カエル達も喜んでいてな……邪魔をしたら殺されるぞ』という噂が流されているそうな。勿論、一番の協力者はカエル達。

 まるでカエル達が加害者になるみたいな言い方じゃん! と簡易版の転移法陣で返したら、何故か事態の深刻さが窺える文面の手紙で肯定された。

 賢いにも程がある、とは宰相様のお言葉だそうな。何か思うことがあるのか微妙に暈して言うあたり、非常に意味深な台詞である。

 ……。

 タマちゃん……君達は日頃から一体何をしているのかね? いくらカエルに対して苦手意識があるといっても、普通はそこまで怖がらないと思うんだが。

 ま、まあ、毎回頼もしい限りなので別にいいけどさ。あの子達がルドルフ達に迷惑をかけるとは思えないし。


 そんな感じでイルフェナも動いているのだったり。ゆえに私は現在、『知り合いの娘さん』として団長さんの所でお世話になっているのだ。


「ふふ……さあ、精一杯『おめかし』しなくっちゃ」

「その意気ですわ、お嬢様! 旦那様方の敵など許してはいけません!」

「勿論!」


 大変ノリの良い侍女さん――たぶん、本心――にも笑顔でお返事。

 お世話になってほんの数日。使用人の皆さんがこういう思考の人達なので、非常に楽しく過ごしております。

 


 そして、その報告が騎士団へと伝えられた翌日――


「いってらっしゃいませ、セレネ様」

「ええ。宜しくお願いしますね、クリスティーナ様」

「はい。それではメイベル様の元へと参りましょうか」


 事前に用意してあったドレスに身を包み、クリスティーナと戦場……もといメイベル嬢の元へ。

 身に着けたイヤリングとペンダントにはそれぞれ結界と治癒の魔法が込められている。 


 当たり前だがフェイクである。取り上げられること前提です。


 本命はドレスに着けられているボタンなのだ。術式を込めた魔石を使った包みボタンにしてあるの。

 普通の令嬢ならばボタンが取れたドレスなんて着ていられないだろうが、私は平気。布をたっぷり使ったりレースが多いのも、色々と誤魔化すためだしな。

 日頃から気楽な服装で過ごしている私としては身軽な方がいいのだが、色々と隠すには全円のペチコートとかスカートは非常に都合がいいのだ。


 だって、まず女性が足を出す発想がないもの! 普通は捲らん。


 犯人だってまさか令嬢が足に括りつけて隠し持っていたり、足を出して平然と動き回るなんて思うまい。こういった『この世界の常識前提の思い込み』は是非活用させていただこう。

 ふふ、スカート内部のパーツを表面のボタンに引っ掛ければ即席スリットの出来上がりだ。動きやすさもできる範囲で追求されていますとも。

 それ以外にも太ももには伸縮できる指示棒(自主制作・強化済み)が括り付けられ、特別に作られたドレスのポケットには中身入りのアトマイザー。

 加えてドレスに使われているリボンは強化されており、外せば捕縛用の紐となる。縛るだけじゃなく人も吊るせる素敵アイテム、下手な縄より丈夫だと言ったのはクラウスだ。

 ……アイデアは私ですが、相変わらず器用なことで。

 そんな感じで秘密が一杯の『おめかし』なのだ。なに、ちょっと頑張った方向が違うだけだ。


「セレネ様、本当に大丈夫ですか?」


 クリスティーナが心配そうに聞いて来る。

 彼女のボタンも治癒と解毒、結界あたりが込められた魔道具だ。こういったものも一緒に誘拐されることを前提として、事前にクリスティーナに渡されていた。

 ただし彼女はこういった場など知らぬ、ごく普通の令嬢。クラウス達はそういった気遣いがすこーんと抜けているので、必要最低限の説明しかしなかったのだろう。

 そう思って口を開きかけ……彼女の様子にどうやら私を案じているのだと気づいた。怖いのは自分だろうに、メインの囮となる私の方が心配らしい。



 え、私はフル装備で乗り込む囮として殺る気満々なんですが……?



 私の性格に馴染んだ連中は誰一人としてそんな心配はしなかった。騎士sでさえ平常運転である。

 というか、今更過ぎて誰もこの程度で私がどうにかなるとは思っていない模様。

 日頃の行ないって大事ですね……! いや、ここは理解ある人々とでも言うべきなのだろうか。

 それ以前に私自身に『怯える』という選択肢が存在しない。殺るか殺られるかの状況だろうと、最後に笑うのが私であることは決定事項。そこは譲らん。

 

 そうか、可憐な乙女とはこういった心配を向けられる令嬢のことなのですね?

 皆も私には『そんな真似は無理だ』と、信じて疑っていないのですね……?


 ええ、功績を騎士団に回すならやり過ぎるなとしか言われませんでしたが、何か? 

 それが日常ですが、何か問題が?

 虚しくなんてありませんよ、連中の仲間として認められている証ですもの!

 寧ろ絶賛される点です。この時点で『素敵な騎士様方』が己が好みに何を重視するか知れよう。


「大丈夫だよ、クリスティーナ!」

「ぅきゃっ!?」


 ふにっと軽くクリスティーナの鼻を摘まむと、私の唐突な行動に驚いたのか小さく声が上がる。

 その驚いた顔と憂いの消えた様子に笑いながら、私はクリスティーナの顔を覗き込む。


「大丈夫だって! 前も大丈夫だったでしょう?」


 くすくす笑いながら自信たっぷりに言えば、摘まれた鼻を軽く擦っていたクリスティーナはぱちくりと瞬きし。

 ……しっかりと頷き微笑んだ。


「はい……はい、そうでした。きっと今回も大丈夫ですね」

「うん、信じなさい。二人で皆を……アーシェ嬢を助けましょ?」

「はい!」


 その表情から先ほどまでの暗さは消えている。いや、安堵したのか。

 不安……だったのだろう、クリスティーナは。騎士達は『事件を解決するため』に動いているのであって、どうしてもアーシェ嬢個人のことは忘れられがちだったから。

 友人としては案じぬはずはない。彼女のこういった面は好ましく思う。


「さあ、メイベル様。化かし合いを始めましょうか」


 仕掛けたのは私、貴女の誘いに乗ったのも私。

 だけどそれは貴女も同じこと……先にアーシェ嬢に仕掛けたのも、私の策に乗ったのも貴女なのですから。

 楽しくやりましょうよ、どうせ負けた方に未来なんてないのだから。


※※※※※※※※※


 そして訪れたメイベル嬢の屋敷、案内された離れの部屋は。

 かなり奥の方にあることに加え、窓から見える庭も少々隔離された状態になっていた。

 ああ、これは上手い場所だな。正面玄関から誰か来ても室内が見えにくいもの。しかも……裏から出られるっぽいなぁ、ここ。


「ふふ、ちょっとした秘密の場所みたいでしょう?」


 興味深げに眺めている私に、メイベル嬢が少々得意げに言う。いや、得意げじゃない……『嬉しそう』だな。期待に満ちているというか、そんな感じ。


「そうですね……ここだけお屋敷から隔離されているような感じで、秘密の部屋という言い方が合いそうです」


 寧ろそれを狙って作られたんだろうなぁ、とも思います。愛人囲ったり、病人を隔離したり、ちょっと公にできない秘密のお付き合いに使ったり。

 そういった目的には最適に見えますな、ここ。


「素敵でしょう!」


 私の言い方を良い意味で受け取ったのか、メイベル嬢は上機嫌。賞賛は素直に嬉しいのか満足げだ。

 個人的にここを気に入っている、もしくは……犯行に有利な場所に誘い込めたという達成感からだろうか。

 嬉しそうな姿に良くも悪くもメイベル嬢が『素直』なのだと知る。ええ、自分に素直でしょうとも。やらかしてることは犯罪だけどさ。

 ……。



 何故だろう、悪役な彼女より私の方が穢れてるような気がするのは。



 裏の意味しか考えず『おお、ここが本日の犯行現場か!』なんて思ってるなんざ、間違っても口にできない雰囲気だ。

 彼女と私の間には様々な意味で溝がありますね。主に方向性というか、感性の差が。

 ディルクさんもばっちり私側の人なので、こんなことがなくとも彼女が振り向いてもらえる可能性はゼロだろう。

 限りなくない、なんて希望を持たせるようなことは言いません。ゼロです、ゼロ。

 そんなことを考えていた私は、ふとメイベル嬢の態度にひっそり不審を抱く。 


 随分と余裕じゃねーか、お嬢様。


 そして奇妙な点がもう一つ。

 お茶会とのことだったが、用意が全くされていない。侍女が運んで来る気配もないってのはどういうことだ?

 クリスティーナも訝しげにメイベル嬢に視線を向けている。そんな私達にメイベル嬢は笑みを深めた。


「うふふ……愚かな人達。ああ、セレネ様は今起きている誘拐事件をご存知ないのかしら?」


 僻地にお住まいですものね! と馬鹿にした口調で話すメイベル嬢。どうやら『偽りの婚約者作戦』は想像以上に彼女を憤らせたらしい。

 クリスティーナは表情を強張らせ、私に寄り添った。

 

「そういえば小父様もそのようなことを言ってらしたわね。まさか……貴女が犯人なのでしょうか」

「いいえ? 私は……そうね、ほんの少し知り合った方に部屋を貸しただけ。その程度よ、誘拐された子達がどこに居るかなんて知らないわ」


 クリスティーナを庇いつつメイベル嬢に対峙する。硬い表情の私達に圧倒的優位を実感しているのか、メイベル嬢はかなり饒舌だった。

 まあ、そう思っても仕方はない。普通はそうだと思うし、クリスティーナはまさにメイベル嬢の思っているとおりの反応をしている。

 でも、私は違うわけで。


『自白してやがる! 馬鹿だ、馬鹿がいる、追及される前から自分の悪事を暴露する悪役って実在するんだ? 珍しいものを見た!』


 内心きゃっきゃとフィーバー中だったりします。素直過ぎるのも問題ですな。

 ああ、この会話もボタン型魔道具を介して愛しのディルク様が聞いてますから。っていうか、犯人確保に燃える騎士達全員がスタンバイしつつ聞いてます。

 多分、皆さんの目は据わってると思いますが。だってこれ、ある意味『国を裏切りました』ってことだからねぇ……犯人に協力とか駄目だろ、普通。


「前は薬で眠らせたのだけど、セレネ様がいる以上は確実な方法を取りたいらしいの。魔道具を身に着けてらっしゃるなら薬など意味ないでしょう?」

「ええ、そうね。小父様から身に着けておけと言われていますもの」

「だからね……自主的に付いて行ってもらおうと思うの」


 メイベル嬢はパチン、と手にしていた扇子を閉じて音を鳴らす。すると隣の部屋に居たらしき男達――服装は商人を装ったものなようだ――が現れ、私とクリスティーナを拘束した。


「……お願いね? その銀髪の子が貴方達が必要としている子よ」


 男達は何も答えない。ただ、小さく頷くのみ。メイベル嬢も答えを特に求めてはいないらしい。

 ふうん? まあ、予想された手ではあるけどね。確かに魔道具がある以上は薬を使うなんて意味がないわな。アーシェ嬢に関しては解毒の魔道具を持っていないと知っていたのか。


 今から暫くは『お茶会が行なわれた』ということにしておくのだろう。で、日が暮れたら馬車を出して襲われた風に装う、と。

 

 どうやら私の予想は当たっていたらしい。特に『誘拐された時刻』に差があったことが目撃情報のなさに直結したのか。

 加えて『馬車を襲った人物』も襲うだけなら個人で十分……令嬢の誘拐とは思うまい。不審な馬車を見たという情報がないのは『そんな馬車など存在しなかったから』。

 ああ、これ誘拐犯がイルフェナへ来たっていう目撃証言もわざわざ見られるようにしたっぽいな。

 人の印象に残るような見た目の馬車を走らせ、目撃証言が出た後に廃棄すれば『誘拐犯の証拠とも言える馬車など所持していません』という言い逃れも可能だし。


「大丈夫ですわ、クリスティーナ様」


 安心させるように微笑み、メイベル嬢へと顔を向け。


「だって、兄様達は必ず見つけてくださいますもの。この国の近衛騎士としても、私達の兄様としても約束を違えることなどありませんわ」

「っ……! 煩いわね!」

「……っ」

「セレネ様!」


 自信満々に言い切った私に怒りを募らせたのか、メイベル嬢が持っていた扇子で私の頬を叩く。

 一瞬言葉に詰まるも笑みは崩さない。そんな私にクリスティーナは心配そうな視線を向け、メイベル嬢は眦を吊り上げた。

『兄様達への揺るがぬ信頼』を見せつけられるのは、さぞ不愉快だったことだろう。メイベル嬢には欠片も興味示してなかったからね、ディルクさん。

 ついでに言うとクリスティーナにも『ある意味最強』なリアル兄様達がついている。彼らがこちら側である限り、イルフェナを貶めるような罠は全回避だ。


 よっしゃ! 先に手を出したのは『犯人側』。これで『私個人』の参戦理由ができた!

 誘拐犯と共犯になったお嬢様方? 覚悟はいいだろうなぁ?


 メイベル嬢は私の頬を打っただけで、それ以上は何も言わなかった。迂闊に口を開けば益々自分の惨めな状況を突きつけられると思ったのかもしれない。

 その後……さすがにそのまま所持させる気はないらしく、装飾品は取り上げられた。そして私とクリスティーナは隣の部屋にあった衣装ケースのような箱にそれぞれ入れられ、鍵をかけられる。

 見た目的には商人の荷物といったところだろう。底が二重になっているので、開けられても上の荷物が見えるだけ。中身を全て出さない限り二重底だとは気づきにくい。

 これが令嬢達の運搬方法なのだろう。暗い閉鎖空間だろうと、薬で眠らされていたならば騒ぐこともあるまい。


 ああ、順調過ぎて今更ながらに笑みが浮かぶのを堪えきれません。ここが隔離された場所で本当に良かった! 隠れ家に運ばれるまではバレるわけにはいかないし。


 魔道具と化したボタンの一つが発信機紛いとなっているので、騎士達も動きやすかろう。私達はただ運ばれて行けばいいのだ、本番は向こうに着いてからですよ!

 ひりひりとした痛みはもうほとんどない。メイベル嬢の一撃は治癒魔法がなければ十分顔を腫らすだろうが、私にとっては大した痛みもない『お嬢様の八つ当たり』程度。

 はっきり言って騎士寮面子との手合わせの方がダメージでかくて危険です。メイベル嬢の一撃なんざ、所詮は女同士の喧嘩レベル。

 ああ、だけど――

 私は十倍返しが礼儀だと思っているんだよ、メイベル嬢。そのツラ、盛大に腫れさせてやろうじゃないか。


 覚 え て や が れ。 近 い う ち に 泣 か す … … !


主人公はウキウキと心の中でドナドナ(替え歌可)を熱唱中。

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ふと思い立って読み返し中 このドナドナ絶対長調アレンジの陽気な曲調でしょ…
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