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魔導師は平凡を望む  作者: 広瀬煉
魔導師の受難編
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囮=罠、危機=娯楽

 魔王様と保護者達による伯爵夫妻へのお説教が終わってから、私は執務室へと呼ばれた。

 皆からの情報によるとジークの守護役就任は確定だが、馬鹿騒ぎに王が混じった事でカルロッサへの信用がいまいちとのこと。向こうが私を侮っている可能性もあるとか。

 まあ、カルロッサでは上層部と関わらなかったし、コルベラに来たのは宰相補佐様。……これでは過去の魔導師と比べて侮られるのも仕方がないのかもしれない。破壊や殺戮とは無縁だったもんな。


「ジークフリート殿が守護役になるのは許可しよう。セイルリート将軍もルドルフから言ってもらえば問題はない」

「ああ、セイルはルドルフが言えば従うでしょうね。魔王様が言えばルドルフも特に反対はしないでしょうし」


 常に私の意思を問うことが抜けている気がするが、決定権は魔王様にある。セイルも主の考えには逆らうまい。配下達は大人しく従いますとも。

 それに私個人としてもジークとキースさんは嫌いではない。あの二人は魔導師というよりも『私個人』を見ているのだから。


「だが、守護役は国の決定だ。こちらは妥協できない」


 そう言って魔王様は机の上の手を組む。当事者同士は問題がない、ならば……


「カルロッサが無能ならば君は距離を置く必要がある。それに……君がどういった存在かをカルロッサに教える必要があると思うんだ」


 予想通りのお答えに、内心『カルロッサ信用されてねぇっ!』と突っ込んだ。宰相様達はともかく、最初の時点で王が伯爵の意見に賛同する姿勢を見せてしまったのが拙いらしい。

 うん、あれはね……軽率だと思いますよ。なまじ宰相様が有能みたいだから、余計に目立つ。王の判断能力を疑問に思われたとしても不思議はない。伯爵に押し切られたような感じだし。

 ジーク達にも宰相様にも魔導師を利用する気がなくても、最高権力者が状況によって考えを変えるような人では困る。守護役という繋がりを利用したがる周囲を押さえ込めなければ安心は出来ない。

 それも踏まえて私がどういう存在かを教えて来いと言っているんだろう。万が一、王が抑えきれなくとも私が大人しく利用されない奴だと知られていればブレーキになる。保険ですな、これ。


「丁度いい課題があるから、それを使おうと思う。詳しい話は宰相殿にでも聞きなさい。私の口から言うわけにはいかないから」

「課題扱いですか」

「その程度のことなんだよ。君という投石で容易く事態は動くだろうね」


 魔王様の言葉に私は目を眇めた。随分と楽なことですね?

 そんな私に魔王様は小さく笑う。


「君にも課題を与えよう。『これはカルロッサを見極めるものである』こと、そして『君のやり方を向こうに知らしめることも目的である』。『我が国はどのような結果だろうと一切関与せず』、『最良の決着がどんなものかは君に任せる』」

「……自由度が高いですねぇ」

「うん、王がどれほど駒を揃えているかは知らないしね。逆に言えばいくら君が暴れようとも条件が揃っていなければ、カルロッサが君を巻き込んだことを謝罪して終わるだろう」


 すでにカルロッサへの審査は始まっているらしい。十分な証拠を揃えており、私が加わる事で動く状況を上手く利用できるか……ということが審査の対象か。

 私が無駄な行動をとれば魔導師の評価が落ち、カルロッサ王の難易度も上がる、と。共同作業というより、互いの行動が影響する状態なのか。


「判りました。では早速向かいます」

「気を付けて行きなさい。……ああ、君は『ジークフリート殿が王を通じて乞うた婚約者』ということになっているから。様子見という形でクラウスを護衛に付ける、と言ってある」


 身分のない魔術師がいきなりフェアクロフ一族の婚約者になるというのも妙な話なので、『魔王殿下の配下に一目惚れしたジークが王を通じて話を通してきたので、エルシュオン殿下が保護者代理という意味で護衛に一人付けた』という感じかな?

 ……嘘は言っていない。護衛というより御目付役で、婚約の意味を当のジーク含めて誰も普通に捉えていなかったという補足は付くが。 

 どちらかと言えば『英雄の家系からの唐突なお誘いにイルフェナが訝しんだ』という方向に解釈される。私の心配じゃなくてカルロッサの思惑が気になるの、みたいな?

 そんなことを考えていると、魔王様はにこりと美しく微笑んだ。


「だから、おかしな魔法を覚えてこないようにね」

「……」


 何故バレる。いいじゃん! 『おまじない』の一つや二つ!


※※※※※※※※※


「済みませんね、こんなことになって」

「いえ、お気になさらず」


 クラウスを連れてさっさとカルロッサへ。そして宰相様の自宅にお邪魔し、直接状況を聞く。

 この人は私達に聞かせてもいい範囲だけを情報として教えてくれる。全てではなくともそれを踏まえて行動せよ、というのが私に与えられた課題です。

 宰相様もまさか私が魔王様に協力を提示されるとは思っていなかったのか、何だかすまなそうな表情だ。

 そんな宰相様に笑って首を振る。気にしないでくださいな、宰相様。私は貴方達に同情しております。


 だって聞かされた『問題』ってすっげぇ馬鹿っぽいもの!

 こんなことで煩わされたくないわな、普通。しかもイルフェナにバレてたし!


 簡単に言うとジークに恋する女性騎士がライバルを蹴落としているという、『お約束』な展開。これだけなら女同士の喧嘩でも勃発してるのかと思うのだが、状況が悪過ぎた。

 彼女自身は貴族令嬢ながら努力によって騎士となったらしい。そこまでなら良い話だ。

 問題は彼女に騎士の取り巻き達がおり、騎士以外にも信者多数。多少自信家な面もあるが、美しく有能な女性騎士として一部には憧れの存在になっているということ。

 本人が最初からお馬鹿なら周囲の評価もそれなりなのだろうが、問題が出たのがジークに恋してから。

 と言うか、恋心と周囲の影響で令嬢としての我侭な部分が出てきたと推測されているらしい。プライドが高かったことも影響したのだろう、と。


「彼女は貴族令嬢として何不自由なく……望んだものは何でも手に入る環境でした。騎士になったからといっても幼い頃から根付いたものはそう簡単には消えません。特に今は周囲がご機嫌取りに動くという状態でもありますしね」

「物語にあるような『周囲の所為で思い上がった果てに堕落する人』、もしくは取り巻きを引き連れている貴族令嬢みたいですが」


 派閥というか、夜会を思い出す。トップが有能であれば取り巻き達にどれほど持ち上げられようとも変わらない――周囲からの評価を落とさない的な意味で――だろうが、簡単に影響されるような人だと増長するだろう。

 そういった意味を込めて感想を述べると宰相様は頷いた。


「まさにそんな感じです。甘やかされた令嬢ならばよくあることですが、彼女の立場は騎士……組織として成り立っている以上、見逃すわけにはいきません」


 そりゃそうか。所謂『憧れの存在』みたいになってる上に本人もその扱いに満更ではないから、自分以外がジークに選ばれる事が許せないのだろう。自分が努力したことも事実だから余計に。

 想い人に相手にされない状況に彼女のプライドはズタズタです。その苛立ちが恋敵に向いたのか。

 ……。

 あら、何だか楽しそう。私、ヒロインポジションですか!?


 健気路線で行くなら『苛めに耐え頑張るヒロインの姿に絆されるヒーロー』な展開を狙い。

 コメディ路線なら『完膚なきまでに敵を叩きのめしたら実力を認めたヒーローに気に入られた』な方向へ。


 私とジークでは間違っても恋愛方向にはならんが、周囲は勝手に勘違いして踊ってくれそうな気がする。魔王様に報告をすることを踏まえても娯楽要素は多い方が良い。

 彼女、完全に立場より女としての感情を優先しているもの。きっと乗ってくれる! いや、仕立て上げてみせる!

 煽れば黒幕な姿を晒してくれるかもしれないじゃないか、『お約束な展開』への期待にわくわくが止まりません!

 ただ、問題の彼女をジークが『ライバルの女』として認識するかは怪しい。騎士としての認識も微妙みたいだし扱いは『興味のないその他大勢』だな、きっと。何より彼に恋愛方面を期待してはいけない。


「それに加えてジークとは身分も釣り合ってしまうから周囲が応援してしまうのよ。だけどジークが求めるのは『女性騎士として優秀』程度じゃないでしょ。しかもジークは本能で彼女の隠された部分を察してしまうから……」

「興味を示さない……いや、下手をすると嫌うかな? 騎士として認識していれば同僚扱いはすると思いますけど、単純に『自分を所有したい令嬢』みたいに捉えていたら……」

「そのとおり。どちらかと言えば嫌っていたわね、今は嫌悪しているけど」


 私の期待に気付かないまま宰相補佐様は溜息を吐いた。問題の彼女もジークがそういった裏を本能で見抜くとは思わなかったのだろう。勝手な理由で人を貶める女が彼に好かれるはずはない。

 ……が。

 何て言うか……これ、ジークが女の扱いをある程度心得ていたら回避できていたんじゃね? アルやセイルは上手くかわしてるんだしさ。

 適度に機嫌をとってやれば彼女のプライドは保たれたんじゃなかろうか。少なくとも、彼女がライバルを貶めるという愚行に走ることはなかった気がしてならない。

 『自分は女性の中で一番ジークに近い』的な満足感を与えてやれば大人しかったとか? ジークのその他大勢扱いに焦れた気がするもの、彼女。貴族令嬢なら婚期だって気にするかもしれん。


 ただし婚姻は絶対に無理だと思うがな!


 ジークが政略的というか人間関係のバランスを考慮するような性格なら可能だったかもしれないが、残念なことに彼は自分に素直だ。しかも英雄の家系、感情優先の女は家が却下するだろう。


「そういえば、どうしてこれまで野放しだったんです?」


 ふと当たり前の疑問を口にすると、宰相様達は揃って苦虫を噛み潰したような顔になる。


「まず本人とその取り巻きの実家が彼女達を庇うこと。次に彼女の願いを知っている取り巻き達が勝手に動くこと。これでは本人まで咎められませんし、行動した者を彼女が庇えば美しい友情に仕立て上げられるでしょう。彼女はそう利用します」

「悪知恵は働くんですね。いや、貴族としての嗜み、かな?」

「おそらくは。人を使い、噂を使う……彼女の心奉者ともいうべき者達は彼女とその取り巻きが流した被害者の醜聞を事実と信じて余計に被害者を追い詰めていましたし」


 被害者の証言だけで重い処罰は厳しい、加えて彼女を素晴らしい人と信じている連中からの抗議は必至ってことか。影響力がある人物、しかも高い評価を得ているなら周囲も彼女の罪に半信半疑。

 そうなると処罰を強行した場合は上層部に対し不満を抱く奴も出てくるだろうな、彼女自身もそう誘導しそうだ。

 これは確かに私が適任だ。ジークは『お気に入り』な感情を隠さないもの、今までにないくらい殺意を抱かれるから囮としては十分。しかも私は『敵』に容赦はしないから、泣き寝入りは絶対にない。


「確実なのが囮を用意して現場を取り押さえるという手なのよ。だけど彼女自身が食いついてくるか判らないし、何より囮役が被害者になる可能性もあるから躊躇していたのよね」

「まさか貴女がエルシュオン殿下から貸し出されるとは思いませんでした。確かに貴女を害すれば国として対処しなければならない状況にはできますけど」


 二人は揃って気の毒そうに私を見た。その哀れみの籠った視線に心に何かが突き刺さる。

 ええと……気にしないでください。魔王様はそういった意味でこの仕事を与えてませんから。そもそも貴方達も今回のことに納得してますよね?



 多分、扱いは娯楽。気晴らしついでに遊んで来い、みたいな?



 そもそもこれは『カルロッサに対する見極め』であって、たまたまカルロッサが抱えていた案件が利用されただけである。しかも魔王様は私がどんな性格かを最も理解している一人。

 踏み台にする気満々です、我が上司。彼女が問題のある人物だろうと、魔王様にとっては『ちょっと利用価値が出た小物』。

 イルフェナなら速攻で潰され性格矯正コースなので認識は間違っていないのかもしれないが、今回は明らかに普通に潰すよりも重罰になるだろう。相手が他国だし。

 何より成功すればカルロッサは厄介者を排除でき、私は恐怖の代名詞として認識される。王も私も周囲から一目置かれることは確実だ。そのための哀れな生贄が彼女達。


「王族の怖さを理解すべきでしたよね、彼女達は」


 思わずそう呟き遠い目になったのは……仕方がないことだろう。同情はしないけどね。


※※※※※※※※※


 そして数日間、こちらに有利な展開にすべく精一杯の裏工作を頑張った。

 といっても疚しいものではない。城だけではなく、町のいたる所でジーク共々姿を見せただけである。ただし、見た目はクールなジークが笑みを浮かべて好意を隠さないので衝撃的ではあったようだ。

 クラウスを連れている事も含めて目立つ、超目立つ! 何もせずとも勝手に印象に残るだろう。

 それ以外にも町の人と会話したり、孤児院で子供達と遊んだり、治癒魔法を使って医師のお手伝いに勤しんだりと好感度を上げるよう努力した。その甲斐あって『ジーク様が幸せそう』という感じで受け入れられている。


 これ、重要です。向こうが『素敵な女性騎士』としてのイメージを前面に出してくると、処罰の段階で見た目に騙され信じない奴が絶対に出るから。他国の魔術師よりも自国の素敵な女性騎士だろうよ。


 だから直に接してジークの婚約者がどんな人物か、またジークがどう接しているかを印象付けておく必要があった。噂より自分で得た情報の方が強い。貴族連中が情報収集をすることを踏まえても意味がある。

 キースさん含むジークの味方な皆様――放っておけばジークが拒絶できないような状態にするんじゃないかと危惧していたらしい――が噂をばら撒いてくれたことも大きい。

 お陰で今の私は『ジーク様に溺愛されている婚約者』『魔術師というだけではなく、女性として彼女が大事』といった認識だ。勿論、認めたくない人は除く。

 ……好意的な視線に罪悪感が湧くのは気のせい。敵意の視線の方が納得できるのは何故だろう。


「……で、着々と状況は整ってきているんだが。お嬢ちゃんは本当に大丈夫なのか? 連中が動くことが必要ってのは判っているんだがな」


 キースさんが複雑そうに言う。現在、宰相様の館の一室にて状況を確認中。私やジーク、クラウスは勿論、宰相補佐様やジークの隊の人達――あの村にいた部隊です――が集っている。

 

「動いてくれなきゃ困るし、私には薬も毒も効かないよ。あと、万能結界あるから即死するような一撃でも来ない限りは大丈夫」


 そう返すもキースさん達の表情は晴れない。楽観視していると判断されたのか、宰相補佐様が見兼ねたように口を開く。


「あのね、小娘。貴族の婚約者……特に女性にその資格を失わせる方法って知ってる? 言いたくないけど、その方法を使われた被害者だっているのよ」

「ああ、男に襲わせでもしたんですか? 依頼したのか勝手に信者が動いたのか判りませんけど」

「……。ええ、そうよ。しかもその後は被害者が誘ったように噂を流してね。身分に関係無くそんな噂を流されたらどうなるか判るでしょ?」


 ジークの好みが強者である以上、ライバルは彼に憧れる女性騎士が多いだろう。同じ女性騎士が加害者を正しいと擁護する……被害者は泣き寝入りだな。

 令嬢だった場合は家の権力、それでも聞かないなら実力行使ってとこか。


「判り易いというか……随分とえげつない方法を取っていますね。なら私もそれに見合った報復にしましょうか」


 恐れるどころか楽しげな私にクラウスとジーク以外が怪訝そうな顔になる。


「魔王様からの課題もあるもの。騎士として、個人として、女性としても貶めてみよっか?」

「お前に方法も決着も一任されているから、いいんじゃないか?」


 ね、とクラウスを仰げば無表情のままに頷いた。そこには少しも焦りや心配など浮かんではいない。ジークはどことなく楽しそうな表情で私達を眺めている。


「ちょ、ちょっと、小娘! アンタ、自分の心配はしないの!?」

「別に? って言うか、以前もそれを狙った奴がいたなと思い出す程度ですね。私は敗者になる気はありませんよ」


 慌てる宰相補佐様にもさらっとお返事。キースさん達は絶句している。

 それにしてもグランキン子爵ほどの王道三流悪役ではないだろうが、お嬢様の思いつく策などこの程度か。そう考えるとゼブレストの側室達は割と気合の入った奴がいた気がする。


 だって、この方法って誰でも思いつくしバレたら後がないからね。

 

 確かに効果的だが、証拠を押さえられた日には周囲にどんな目で見られるかは推して知るべし。似たような事がある度に犯人ではないかと疑われるのは確実だ。

 被害者が名乗り出にくいからこそ、今後の被害を防ぐ意味で重罰となる可能性がある……と考えないあたり『お嬢様』なのだろうね、彼女は。

 女性騎士といっても実家の力で過酷な任務とかは免除されてそう。ジャネットさん達やセシルを知っているからこそ、彼女が素敵な女性騎士には思えん。

 

「ジーク! お前、お嬢ちゃんが心配じゃないのか!?」


 キースさんは我に返るとジークに詰め寄った。……が、ジークは僅かに首を傾げるだけ。


「何か心配する必要があるのか? ミヅキは敗者になる気はないと言ったじゃないか、その言葉で結果は見えているだろう? それに……望んだ結果をもたらす為に被害を受けたというなら俺のミヅキに対する評価は下がるどころか上がるが」

「なんだと?」


 思わぬ言葉にキースさんどころか聞き耳を立てていた人々が唖然とした表情になる。


「ミヅキもイルフェナも『そういうもの』だろう、キース。だから畏怖される。敗者にはならず無能であるはずもなく、望まれた結果を主に差し出す。エルシュオン殿下が望んだならば必ず果たされるだろう」

「そうそう、私もあの騎士寮面子もそんな感じ」

「本能で察するというのも恐ろしいな。実に的確だ」


 ジークの発言を支持する私に、頷いて同意するクラウス。周囲はイルフェナという国を思い出したのか、何とも言えない表情になった。

 さすが、脳筋。本能であの国や騎士寮面子の本質を見抜いていたらしい。考えることなく本能的に理解したのか。

 『エルシュオン殿下が望むなら』。あそこに暮らす人達にとってはそれが全て。勿論、魔王様が個人ではなく王族として国を第一に考えていると知っているからだけど。

 私も雑用兼飼い猫として全力を尽くす所存です。だから私はあの人達に受け入れられている。

 まあ、何だかんだで過保護にされてるけどさ。その筆頭が魔王様だし。


「なんでアンタまでその思考に染まっているのかしらねぇ、小娘ぇ……」


 宰相補佐様の妙に呆れた視線と台詞は無視させていただきます。……親猫様に懐いてるんだから、いーじゃない! 

 それに。魔導師を名乗る以上は何があっても勝ちを狙うくらいじゃないと情けないでしょ?

主人公は『彼女で』遊ぶ気満々、相変らず斜め上思考。

悪役の方が獲物認定されるという事態に味方は困惑中。(約二名除く)

親猫は子猫を理解してました。

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