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魔導師は平凡を望む  作者: 広瀬煉
ゼブレスト編
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黒騎士さんは器用な人

沢山のお気に入り登録ありがとうございます!

暇潰しに読んでいただければ幸いです。

「十日後にゼブレストから迎えが来るから後宮破壊しておいで♪」

「……は?」

「そうそう、表向きの立場は側室だけど我が国の後見がつくから権力的に側室筆頭だよ」


 王子様は天使の笑みを更に輝かせて問題発言しやがりました。

 ……何故いきなり側室にならにゃいかんのですか? 魔王様。

 いや、それ以前にね?

 後宮破壊って……早速世界征服の足掛かりにでもするおつもりで?




※※※※※




 衝撃の対面後。

 とりあえず自己紹介とこれまでのことを話し、ついでに白騎士何とかしろやと御願いをしてみたのですが。


「じゃあ、こちらの御願いも聞いてほしいかな」


となったのです。

 うん、それは理解できますよ。

 ですが、私に犯罪者になれと?

 国を傾かせて来いと?

 明らかに処刑が待ってますよね?それ。

 そんな空気を読んだのか王子様は更なる爆弾発言をなさいました。


「ああ! 大丈夫だよ。だって依頼者兼共犯はゼブレストの王と宰相だからね!」


 ……。

 他国には自国を貶めたい願望を持った王様がいるんでしょうか。

 いや、魔王様が王子をやってる……逆だ、王子様が魔王な国はあるみたいですけどね?


「先代が無能過ぎてね、思い上がった貴族連中が娘を無理矢理押し付けたんだよ」

「後宮閉鎖は駄目ですか」

「やろうにも貴族達の反発が凄いらしい。正妃もまだなのにってね」

「じゃ、さくっと毒殺……」

「バレたら貴族連中が煩いよ?」

「人として駄目という理由じゃないんですね」

「うん。気にする価値がない人達だから」


 私も酷いが王子様も十分酷いですな。

 貴方も似たような立場なんだし、少しは理解を示す気は……無いんだろうね。

 清々しい笑顔ですよ、良心の呵責は欠片もありません。

 黒騎士さんも頷いてるあたり何かあったのか?

 私の視線に気が付いた黒騎士さんは無表情のまま口を開いた。


「……あそこの女どもが王妃になったら国が終わる」


 終わる!?


「自分が勝つことしか考えていない。雌の集まりだ」


……人としても扱いたくないんですか。


「クラウスには潜入して様子見してもらったし、情報を集めてもらったからね」

「情報収集? もしやさっきの盗聴……」

「うん、黒騎士はそういった仕事が専門だよ? 音だけでなく映像もあるし」


 全部黒騎士達のお手製なんだよ! と魔王様は楽しそうに言った。

 凄い技術ですねー、魔法を組み込んだ道具もあるんですか。

 ……ん?

 まて。おい、今何て言った?

 映像……隠しカメラみたいなもの?

 それ、盗聴と覗き?

 犯罪だろ!?


「それが仕事だ」

「堂々と口に出せることじゃないでしょ!?」

「ちなみに趣味も兼ねてる」

「なお悪いわっ!!」


 わー……さすが魔王の僕ですね。

 趣味と実益を兼ねて堂々と犯罪行為ですか。

 クールな雰囲気台無しですよ? ほら、自分を見つめなおせ?


「ちなみに詳細な報告はここまで可能だ」


 ぴら、と何やらびっちり書き込んである紙を渡される。

 えーと……え゛……?


『0700 起床 随分と機嫌が悪い。侍女に八つ当たり』

『0730 着替え 赤をメインにしたドレスを選択、相変わらず濃い目の化粧』

『0800 朝食 メニューはパンとスープと果物』


 ……。

 ……。

 ストーカーの活動報告書か何かでしょうか、これ?

 しかも随分と詳しいですね? その場にいたんですか?


「……犯罪者だ、ストーカーモドキが居る」

「行動を把握し詳細な情報を纏めただけだが」

「限度を知れ。人間、自分がやられて嫌なことはしちゃいけない!」


 力一杯主張する私にクラウスさんは軽く首を傾げ。


「別に。自衛できなかった己の技量不足だろう?」

「駄目だ、自分が基準だこの人! アルさん、魔王様に何か言ってやってください!」


 出会って数分、すでに王子の呼び方が魔王様で定着中。


「黒騎士は有能だからねぇ、仕事を趣味にしてるのは些細なことだよ♪」

「クラウスは幼い頃からこうでしたから……私達の行動はいつも把握してましたし」


 仕事で済ますな! 一見まともに聞こえるだろうが!

 昔からって……おかしいと思えよ、そんな子供!!

 ん……? 『幼い頃から』?


「もしかして三人とも幼馴染ですか……?」

「うん」

「そうですよ」

「二十年以上の付き合いだな」


 嗚呼……変人三人組に誰も口を挟めなかったんですね……!

 矯正されること無く、すくすく成長したなれの果てがこれなのですね……!


「今何か凄く失礼なこと考えなかった?」

「気の所為です。悲しい現実なら思い浮かべましたが」

「そう」


 先生が宮廷医師やめて村に引き篭もったのは変人どもに疲れたからじゃあるまいな?

 白騎士は変態、王子様は魔王、黒騎士は犯罪者紛い……。


「黒騎士……一人居たら三十人は居そうですね、どこにでも湧きそう」


 そう、某Gの生物のように。

 実力者って事はきっと生命力も強い。


「へぇ……?」

「おや……」

「な!?」


 思わず駄々漏れた本音に三人の表情が変わる。

 あれ、声に出てた?

 意味解っちゃった??

 クラウスさん、初めて表情が変わりましたねー。

 些細なことですが一矢報いた心境です。勿論、謝りません。

 あれ、天使の笑顔な魔王様、上機嫌ですね?


「うん、君みたいに賢くて楽しい子が来てくれた事が嬉しいんだよ♪」


 ……。

 ……。

 魔力が強いと感情読めたりするんでしたっけ……。

 え、私早くも死亡フラグですか?

 葬り去られちゃいますか?


「だから御願い聞いてね?」


 笑顔で脅迫された私に抗う術はありません。

……とりあえず頷いておきます。

どうなっても知らんぞ……?



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