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魔導師は平凡を望む  作者: 広瀬煉
魔導師の受難編
138/696

彼女の罪

 しん、と静まり返った夜会の場には魔王様の楽しげな声だけが響いてゆく。

 だが、実際は『楽しげ』などという表現はできまい。笑みを浮かべてはいるが蒼い瞳はとても冷え切っているのだから。


「君はね、教会派の駒の成り損ないなんだよ。だからこそ『優しいお爺様』とやらに利用された。……魔導師との接点として」


 ちら、と私に視線を向けるとすぐにフェリクスに視線を戻す。

『優しいお爺様』という言葉に反応した人々は教会派の貴族だろうか? だが、彼等にも伯爵に対する仲間意識のようなものは見られなかった。どうやら今回は伯爵の独断だったらしい。

 フェリクス達は……魔王様の言葉を信じられないのか、半信半疑といった微妙な表情だ。


「尤も君に同情などできはしない。君が少しでも王族として相応しい教養と才覚を身に付けていれば防げた事だからね。民間人を招待する為に必要な手筈、招待したことによる影響、国家間の関係……そういったものを全て気にしなければならなかったのに」

「当然だな。私も聞いた時は信じられなかった。だが、お前だからこそ『やりかねん』とも思ったぞ。昔から厳しい教育から逃げ続けていたのだからな、『側室腹だから苛められる』と言って!」


 バラクシン王の顔には怒りと共に深い失望が表れている。フェリクスの行動はどう見ても『甘やかされたお坊ちゃん』なので、相当苦労したんじゃあるまいか。

 そして王の言葉を受けて魔王様は器用に片眉を上げ、次の言葉を口にする。


「苛め? おやおや、おかしな事を言うね。王族の言葉はとても重い。だからこそ幼少から厳しい教育を受けさせるのは当然の事だ。自分を守る為、それ以上に国を守る為に必要なのだから」

「そのとおり。母親が自分の味方であるよう、我々とは極力関わらせないようにした結果だ。尤も厳しい事から逃げるフェリクスがそちらを選んだのだがな」


 魔王様の言葉に溜息を吐きながら続くバラクシン王。ところが、フェリクスは二人を睨みつけながら反論を始めた。


「母上はっ……望まぬ婚姻をさせられた不幸な方です! そのような境遇にありながらも私を慈しんでくださった!」

「だから? 今、王が仰っただろう? 『自分の味方を作る為に王族の君を利用した』って。彼女は母親である以前に側室でしかないんだ、正当な継承権を持った王族の教育に口を出す権利なんて無い。子供だけ取り上げるという事も王族・貴族には珍しくは無いよ」

「それはあまりな言い方ではありませんか!?」

「何が酷いと言うんだい? 個人よりも国や家を重要視するのは当然のことだ。……彼女の我侭が叶えられてきたのはね、『教会派の後押し』と『王子である君の言葉』があったからだよ。だから君の責任でもあるんじゃないか」


 冷めた目で反論を封じる魔王様にフェリクスは言葉に詰まる。

 フェリクスとしては優しい母親を庇いたいのだろうが、私から見た彼女は悪女もいいところだ。そんな言い分が通るなら、政略結婚させられる人々は一体どうなる。

 そもそも魔王様の言葉は間違ってなどいない。もしもおかしな点があるならば、隣に居る王が訂正するだろう。


 醜聞なのだ、はっきり言って。それを受けとめる事が諌めきれなかった『王の贖罪』。


 魔王様はこう言いたいのだろう……『フェリクスの罪は国ではなく、そう育ててきた母親達が背負うべきものである』と。周囲の貴族達はそれが理解できているから何も言わない。

 今、この国はイルフェナという国を侮辱した責任を問われているのだ。下手をすれば国全体が責任を取らされる。

 王が謝罪をしたからこそ、辛うじてそれを免れているに過ぎない。

 だが、魔王様の言葉を肯定すればフェリクス以外は『母親とその実家、婚約者』程度で済む。そうなった『原因』が語られたのだ、つまり明確な抗議対象が存在し彼等が処罰を受けることになる。

 ……イルフェナとて無情ではないのだよ。『国の事情』と『王が何もしてこなかったわけではない』という情報は入手しているのだから。

 教会派としてもわざわざ『教会派云々〜』と口にされては無関係だったという言い訳で済まされる筈は無い。派閥全体で責任を取らされるよりは元凶だけ切り捨てた方がいいのだろう。



 魔王様……全て判っていて、わざわざ口にしましたね?

 王からフェリクス達がこうなった理由を語らせておいて、その上で教会派からの助け手も断ちますか。



 惨酷なように見えるが犠牲を最も少なくする方法だ。状況をよく知らない教会派が要らん欲を出してフェリクスを庇った日には、教会派に属する貴族全てがイルフェナの敵確定なのだから。

 そういった事態を避ける為にも若干の脅迫と共に『イルフェナが問題視してるのは今のところ元凶だけ』と暗に伝えている。教会派を根こそぎ潰せば間違いなく国が傾くだろうし。

 フェリクスは母親に対する暴言と取ったようだが、誰からも反論は無い。それこそ教会派が彼等の価値をどの程度と見ているかのバロメーターなのだけど。


 ちなみに私達にもしっかり恩恵があったりする。

 王が口にした事を当事者のフェリクス以外が反論してこない。つまり教会派からも『王の言葉は正しいです』というお墨付きを貰ったも同然。

 これで王に許しを得た報復対象がフェリクスとサンドラ、『優しいお爺様』の三人から母親の側室とその実家にまで拡大。見せしめとしてもまずまずの範囲だろう。

 今後、貴族達が報復を考えなければ今回の件は一応終わる。この結果は王が謝罪したお陰でもあるので、王家に報復する馬鹿も居ないだろう。

 尤も……彼等の末路を見てそんな気を起こすか非常に疑問だが。


「……さて、いつまで黙っている気だ? カトリーナ」


 王がある方向に向けて問い掛けると、皆も一斉にそちらへと注意を向ける。

 そこに居たのはフェリクスとよく似た面差しの女性だった。三十過ぎくらいに見える容姿なのに、その表情は青褪め微かに震えている。


「母、上……」


 フェリクスの呼びかけに女性は近くまで歩み寄ると、息子を庇うように王に問い掛ける。


「陛下、この子とて貴方様の息子ではありませんか。この子に向ける情はないのですか!?」

「……。お前は一体何を聞いていた? 王の子、王子だからこそフェリクスがやらかした愚かさのつけを国が負うことになっているのだぞ?」

「ですが!」

「煩いよ、君が元凶だろうに」


 必死に言い募る女性に魔王様が向ける視線は厳しい。外見こそ御伽噺に出てきそうな王子様だが、魔王様は愛国者であり王族としての自覚も十分。そんな人からすればこの母親は嫌悪すべき対象以外何物でもない。


「君達はずっと『冷遇されている』と言っていたのだろう? ならば何故、助けてもらえると思うのかな?」

「え……そ、それは父親として……」

「ふざけるんじゃないよ、自分以外の家族を認めさせなかったくせに」

「!?」


 びくり、とカトリーナは大きく肩を跳ねさせた。自分がこれまで言い訳にしてきた事を庇わぬ理由にされたのだ、反論するならば彼女達の言葉は嘘だということになる。

 おそらく……彼女はその意味に気付いていない。『側室ごときが王に逆らい、偽りを吹聴する』という行為が齎すものを。

 震えるばかりのカトリーナに魔王様は笑みを深めて言葉を続ける。彼女からの戯言など意味を持たない、そう見せつけるように。


「私から……というより他国の王族からすれば君が生きている方が不思議だよ。王族は国を最上位に定めねばならない、だから君のような『出来損ないの側室』は闇に葬られるのが常なのだから」

「な、なんて恐ろしいことを……!」

「恐ろしい? 王族の常識だよ、常識。ああ、公表される理由は病死とかにされてるから気付かないのかもしれないけどね。で、話を戻そう。君がこれまでしてきた事は反逆罪に該当する。フェリクス殿下が我が国に喧嘩を売ったからこそ、隠しとおすことはできない」


 魔王様の言った事が理解できなかったのか、カトリーナは呆けたような表情になる。

 『反逆罪』。下手をすれば一族郎党処刑とかじゃなかっただろうか。

 本来ならば王の意向に逆らった段階で、不敬罪から隔離などをされていても不思議は無い。それが注意するだけに終わってきた結果が今回の事なのだ、フェリクスの事も含めこれまでの彼女の言動も当然問題視される。

 そうなると不敬罪程度では済まないのだろう。王に逆らい国を不利な状況に陥れたのだから反逆とも言える。

 それに。

 普通ならばこの母子のような状態は許される筈は無いのだ、だから『側室にされた事を逆恨みして王家に仇を成そうと計画した』と言われても反論できまい。

 フェリクス達の愚かさは王家にとっても切り札だったのだろう。見捨てる、という選択をした場合に限り。


「な、ぜ……そのようなっ。私はこの子の母親としてっ」

「王に逆らう事など許されるはずは無いだろう? 君達がこれまで生かされていることからも冷遇なんて誰も認めない。これまで王の恩情で生かされておきながら何かあれば責任を押し付ける? 恥知らずが!」


 彼女は首を横に振り混乱しているようだった。気遣うフェリクスの声も聞こえてはいないだろう。

 これまでも遠回しに今の立場が首の皮一枚で繋がっているような危うい状態だと伝えられていたはずだ。それを理解せず、フェリクスと教会派の守りに甘えて現実を見なかった。

 だが、今回はさすがに王とて見逃すわけにはいかない。目を逸らせる時間は終わりを告げた。

 他国の王族の前なのだ、国として何らかの処罰をしなければ今後に響く。何より王自身が彼女のこれまでの行動を暴露しているのだ、逃げ道など無い。


「私、は……私は! 側室になどなりたくはなかった! いつか想う方を見つけて幸せな婚姻を……」


 どうにもならないと理解したのだろう。カトリーナは髪を振り乱して王を睨みつける。

 その姿に、その言葉に周囲は嫌悪を浮かべて彼女を見つめた。

 ……だが。


「本当にお気の毒ね」


 私の声に周囲の視線が集中した。


「え、ええ! 貴女は判ってくださるのね!?」

「本当にお気の毒だわ……バラクシン王が」

「え?」


 味方を得たと思ったのか、一瞬浮かんだ喜びは続いた台詞に即座に消える。

 彼女を含め人々は怪訝そうに私の様子を窺った。

 

「だって、王には正妃様も御子息もいて……何の問題もなかったのに。貴族ですら必要としない女を無理矢理押し付けられて本当にお気の毒じゃありませんか。望まぬ婚姻をさせられた貴女にならば判るでしょう?」


 にこりと笑ってカトリーナに話を振れば、彼女は王にもその言い分が当て嵌まると気付いたらしい。それでもまだ被害者意識が強いのか、私を睨み付けて来る。


「誤解しないでくださいな。貴女を無理矢理側室に押し込んだのは貴女の父親。王もまた被害者です。王族の皆様を加害者に仕立て上げようとした事も問題なのに自分勝手に振舞った挙句、責任は王に押し付けようとするなんて。本当に最悪!」

「貴女に何が判るのよ!」


 ヒステリックに叫ぶカトリーナは相変らず状況を正しく理解できていない。フェリクスが押さえていなければ今にも掴みかかってきそうな形相だ。


「判りません。私は選ばれる側でしたから」

「……え?」


 私の言葉と共にアルは私の手を取り手の甲に口付け、何時の間にか傍に来ていたクラウスは私の腰に片手を回す。

 大切な御話をしていたというのに突如イチャつく我等三人。周囲は私(=魔導師)の意図が判らず無言。

 状況を考えると突っ込み所満載な光景なのだが、カトリーナは気付いていないようだ。

 ……あの、魔王様? その『何やってるんだい』とばかりの生温い視線やめて。


「家柄、能力、顔、それ以外に欲する『何か』。何らかの理由がある事が選ばれる女の条件ですわ。御伽噺とて酷い目に遭いながらも美しい心を失わぬ娘とか選ばれてるじゃないですか。それ、『誰かを憎む事無く常に美しい心を保てるよう努力した』ということですよね?」


 判り易いように御伽噺を例に出して言えば、カトリーナは悔しそうに唇を噛む。

 ……単にアル達が引っ付いてる事に対する嫉妬の所為、という気がしなくもない。今の私の状態は彼女が望んでいた『素敵な男性に愛を乞われる立場』とやらに見えるのだろう。


「魔導師だから! 異世界人だからでしょう!? 守護役ならばその態度も当然……」

「違います」


 ヒステリックな反論もアルに一刀両断。……いや、半分くらい正解じゃね!?

 そう思うのだが、アル達は彼女を徹底的に追い詰める気らしかった。

 カトリーナ的には『そんな女が白馬の王子様(笑)に迎えに来てもらえる筈ないじゃない!』ということなのだろう。


 ……が。


 違うぞ、カトリーナ。私の場合は捕獲の上、ドナドナだ。

 哀愁漂うBGMをバックに担がれて連行です。誘い文句は「お仕事しましょうね」あたりじゃないかね? 

 私の守護役達に対等だと認めさせるには『無能である事』が絶対に許されない。努力じゃ駄目なの、結果を出すまで。自分に自信を持っているからこそ、相手にも同じ働きを求めます。

 間違っても恋に生きる御伽噺の王子様にはなれん連中なのだ。どちらかと言えば戦場の絆的信頼関係。

 嗚呼、私と彼女の認識には深過ぎて埋められない溝が……! 


「我々は彼女の婚約者という立場を得る為に守護役となりました。平民だろうと異世界人だろうと。彼女自身に価値があるのですよ」

「魔法が無い世界の者が魔法を習得することは非常に難しい。それを超えて魔導師となった者を欲することに何か疑問があるのか」

「女としては必要としていないじゃない!」


 カトリーナの言い分、ご尤も! それはよく憐れまれている。頷いちゃうぞ。

 だが、アル達は嫌な感じに笑みを深めて首を横に振った。……私の態度がお気に召さなかったようだ。


「何を言っているのやら。王族・貴族の婚姻とて同じではありませんか。恋に生き無能な伴侶を迎えるならば自分だけではなく家が迷惑を被ります」

「そんな夢を語るのは幼い子供くらいだぞ? ……ああ、自分の事しか考えないから誰からも必要とされなかったのか」

「それに婚姻されたり婚約者がいらっしゃる女性、もしくは男性は皆この『選ばれる価値があった者』に当て嵌まります。選ばれるよう自分を磨く努力をなさってきたのですよ」

「宝石とて磨かねば原石のまま、大した価値はない。そう言えば判り易いか?」


 アルの『貴族の常識』とクラウスの正直過ぎる言葉に、カトリーナは押し黙る。……求婚者が居なかったというのは事実だったのだろうか。思いっきり顔色変わってますけど。


「あ〜……、とにかく。彼等が私を欲する理由と政略結婚は非常に似ているのですよ。私達の場合は信頼できる駒、友人、仲間という認識ですが。ところで、王。一つ伺いたいのですが」

「ふむ、なんだ?」

「側室の下賜って可能ですか? 王が与えるのではなく、功績を上げた者が望むという状況で。その方は『側室にならなければ自分は選ばれる筈だった』と思っているようですが、そんな人が居たのかと」


 物語には英雄とかが王に『願いを叶える』とか言われて、王の娘を望む展開があるじゃないか。彼女に自分で言うほどの価値があれば功績を立てて欲してくれる人がいたかもしれないし。

 だが、王の答えは無情だった。


「カトリーナならばいつでも望む者にくれてやったのだが……望む者が居なくてな」


 王様、地味に酷いです。クリティカルヒットじゃないでしょうか、それ。


「王子を産んだと言ってもそれだけで、王妃の仕事を手伝うわけでもない。他の王族と親しいわけでもないし、内部に食い込んでくる人脈も無いしな……」


 屈辱ゆえか肩を震わせるカトリーナだが、王の言葉が事実なのか反論は無い。

 ああ、そりゃ無理だ。『王子を生んでるし、王家と繋がりのある女ならば価値あるじゃーん!』とか思った私が馬鹿だった。

 本当に何もしてこなかったんだな、この人。顔・年齢なんて些細な事と言えるくらい価値のある女になる可能性があったのに。

 コルベラやキヴェラの側室達は皆、王妃の仕事を手伝っていた。こういった立場の人が敵に回ると非常に困るのだ、内部に何らかの影響力があったり情報を持っていたりするから。

 カトリーナの場合は第四といえども王子の母親なことに加え、真面目に側室として王家に貢献していればかなりの価値を期待できただろう。 

 ……が、実際には人脈すら築かずに王族とも疎遠。これまでの不敬も含めてマイナスにしかなるまい。


「貴方達はっ! どこまで母上を傷つければ気が済むのですか!?」


 フェリクスがカトリーナを支えながら私達を睨みつけるが、詳しく状況説明された所為かサンドラ嬢は複雑そうだ。他国の王族からの言葉という意味も大きいのだろう……これまで信じてきた事が覆されたようなものなのだから。


「これまで王族達を散々悪者に仕立て上げて傷つけてきて今更何を? 都合の悪い事は全て苛めだとでも言うのかな?」

「しかし! これではあまりにも……っ」

「……。今後一番彼女を警戒しなければならないのはサンドラ嬢でしょう?」


 何を言っているやら、と呆れながら突っ込めば周囲の視線は私に向いた。

 魔王様に食って掛かっていたフェリクスは訝しそうにしながらも睨む事をやめない。私はすっかり敵認定されたらしい。めでたいことだ。


「どういうことだ?」

「どうって……サンドラ嬢は彼女が羨ましくて仕方が無い『王子様に選ばれた女性』じゃないですか」

「あ……!」


 小さくサンドラ嬢が声を上げる。


「これまでは王族の皆様を悪者に仕立てたりヒルダ嬢を悪役にしていたみたいですけど、今後はそうもいきません。常に人の所為にしてきた人が身近にいる『自分の欲しかった場所に居る女』を僻まないとでも?」

「な……そんな、ことは」


 サンドラ嬢だけではなくフェリクスも驚愕を露にしているが、即座に否定の言葉は飛んで来なかった。

 母親の『素敵な男性に選ばれる』という夢に対する執着を知っているのだ、しかもフェリクス達は政略ではなく恋愛感情によって婚約者となっている。

 僻む要素満載です。『絶対に和解はありえない嫁姑戦争』が間違いなく起こる。少なくともカトリーナに王子様(笑)が現れるまでは続くな。


「で、そうなった時に貴方はどちらの味方をするんです? 優しい母親? それとも妻?」


 縋るように見つめてくる母親か、それとも実家から縁切りされ自分の隣しか居場所が無い妻か。

 カトリーナの処罰によっては二度と会うことは無いのかもしれないが、そこまで母親が大事ならば皆の前で答えていただこうじゃないか。

 答えを返せぬフェリクスに、やや怯えた目でカトリーナを見るサンドラ嬢、そしてカトリーナ。

 ……現実を知った今、彼等三人の関係は確実に変化したらしい。

彼女にとって最も効果的な攻撃は『目の前で自分以外の誰かが素敵な人に選ばれること』。

ただし、実際は彼女の理想とは大きくズレがあります。

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