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2人の息子


全てを、終わらせるのは…


俺の『役目』だから…




それは午前2時を過ぎた頃。


世亜は車を走らせていた。


暗い道を何か大事なことを決心した瞳で、落ち着いた態度で。


狭い路地に入り込んでブレーキを掛けた。


怪しい廃墟。

そこを見つめて車から、降りる。


バタン、と静かにドアを閉めて世亜は心の中で祈った…




廃墟の中に足を踏み入れた…


それは“はじまり”?“終わり”?





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


何だか寝付けない。


そう思いベッドに入りながらも目を開けているのは勇だ。


世亜様の言葉が離れない。


『お前がこの先、どう生きたいのか』


考えた事もなかった。

自分の人生など…、ただ言われたことをやるだけ。


それしかないと思っていた。

なのに、自分の発した言葉が今でも信じられない。


『私は…人間です…』


不意に、思った。


世亜様がいなくなったら、自分はどうなるのだろう?


依存、しているのかもしれない。


心で失笑して、ベッドから出て外で月でも見ようと女々しい事を思った。

ロマンティックもたまにはいいじゃないか…


軽く上着を羽織って、地上に出る階段を上り扉を開けた。


一面に広がる星と輝く月。


それをこんな清々しい気持ちで眺めたのは生まれて初めてかもしれない。


「…ん?」


私はある事に気付いた。

いつもあるはずの、あの車がない。

月明かりに照らされて見えた駐車場に、世亜様の車が見当たらない。


心が一瞬ザワッと動いた気がした。


「世亜様…」


そう呟いて辺りを見渡す。


『お前が



この先



どう



生きたいか』



あの言葉が頭の中で何度も何度もループされている。



まさか。


まさかまさかまさかまさか...



まさか!!!!!




急いで地下へ戻って世亜様の部屋へ走った。

あの豪華な扉が寂しそうに見えた。


ドンドンドン!!!


「世亜様!世亜様!いらっしゃいますか!?世亜様!!!」


呼んでも返事がない。

急いで鍵を探しに行こうと思ったが、そんな暇はないと

ピストルを鍵穴に向けた。


ドゥゥン!と銃声が響いた。


鍵穴に穴が開いたのを確認して扉を勢いよく開けた。


「世亜さ…!!!」


そこは、もぬけの殻だった。

茫然…と、した。





「世亜…様…」



ふ、と目線を落とすと世亜様の机に手紙…


ふらふらと近付き、手に取る。



『愛すべき息子たちへ』



…息子、たち…?


私は自分に向けられた手紙ではないと思ったが

封を、開けた…




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