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再度。


ドアの前に着くとタイミング良くケータイが振動し始めた。


世亜だ。


「はい。」


素直に出ると世亜は間髪入れずに喋り出した。


「着いたか?」


「あ、はい。着きました。」


「じゃあ、暗証番号教えるわ。

暗証番号はお前と桃花の生まれ月を足したやつだから。


お前が10月、桃花が3月で足して1003。」


言われた通りに番号を押し、カードキーを通すと

ガチャッと音がした。


開錠の合図だ。


「開いたか?」


「大丈夫ッス、開きました。」


「オッケー、とりあえず先日同様、そこで大人しくしてろ。

俺から連絡があるまで、な。


ああ、でも桃花と何処かに遊び行ったりするのは

構わないから。


それから勇から連絡が来ても絶対に出るな。

知らない番号も絶対に出るなよ。」


注意事項の様にどんどん出てくる世亜の発言を

要領の悪い頭に必死に詰め込む。


覚えておかなければ、何か大変な事が起きる気がしたから…


「そーだ、最後に言っとくわ。」


「何すか?」


「…桃花の、傍にいてやれ。


大事にしてやれ。死ぬほど愛してやれ。


それがきっと、お前と桃花の…何でもねぇ。


じゃあな、また連絡する。」


電話は切れた。


(お前と桃花の…?


何だ?何が言いたかったんだ、世亜は?)


考え込んでいると、桃花が服の裾をツンツンと引っ張った。


「ん?」


と、振り向くと桃花はキラキラした目で口を開いた。


「ねーねー!このおもちゃで桃花遊んでもいいの!?」


「え…?」


俺は桃花の視線の先を見た。


そこには…


大量のおもちゃがあった。



世亜がやったんだろうか?


「ああ、多分大丈夫だろ。」


すると桃花は一目散におもちゃの山へと走って行った。


そんな桃花を瞳に映しながら、近くにあったソファに腰掛けた。


その瞬間、俺の目に涙が少し溜まった。

視界が少しウルウルしやがる…



…バッカみてえ。


本当にバカだ、俺は。




何をしてるんだろう…、俺。


ふいに自分のしてる事が分からなくなった。



(・・・まただ。)


また、あの時と同じ感じ…


ビールを片手に握りぶしたあの日の


『死にたい』


と生まれて初めて感じたあの感覚が俺を襲った。




桃花のせいじゃない。


だけど…自分でも分からないけど…

いつも桃花が居る時のような気がする。


不安や、悲しみのマイナスの気持ちを感じるのは…。




桃花を再度瞳に映した。



…なあ、何なんだ。


お前は一体、何なんだ…?



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