裏切り者の発見と条件変更。
あれから1週間…
色々な考えが頭を駆け巡った。
(とりあえず、裏切り者を探さねぇとな…
勇の事はそのあとでも…)
俺は部下に聞きまわって情報収集を始めた。
仲間内に怪しい電話、発言、行動はなかったか、、、
1週間経過して、やっと裏切り者の尻尾が出てきた。
一瞬、耳を疑った。
そいつは、世亜が勇の次に信頼している男だった。
世亜と同じ歳で、話も合い、勇が右腕ならそいつは世亜の左腕。
でも、そいつは世亜の左腕ではなかった。
そいつは、狙っていたんだ、きっと。
世亜に隙が出来るのを…
ずっとずっと…
世亜を、殺す為に。
俺は世亜に報告しようと世亜の部屋へと向かった。
コンコン…
「入れ」
低い声が聞こえたのを確認して、俺はドアを開けた。
「失礼します。」
「…ああ、来たか」
世亜はいつもと違う顔をして、俺を迎えた。
何て言うのか…
何かを決めかねているような、そんな顔だった。
いつも即決型の世亜がするような顔ではなかった。
「…分かったか?」
「はい…、その、裏切り者がいました。」
「名前は?」
「…島田でした。」
少し重苦しい空気の中、俺はそいつの名を少し小さな声で
けれどはっきりと言った。
すると世亜は頭を抱えた。
「あ~あ、あいつか~。
あ~、マジでだりぃ。」
と、高校生のような言葉を口に出しながら俺を見た。
そして…
「唐御、前の条件は撤回だ。
今すぐ桃花とここを出ろ。」
そう言って、世亜は少し不思議な笑みを浮かべた。