変わらぬ想い。
「はい、コーヒー」
「あ、サンキュ」
「「・・・・・・・」」
しばらく続いた沈黙に最初に口を開いたのは俺だった。
「何で、ここに住んでんだ?
お前の家、かなり遠いだろ?」
そう、ここは前住んでた土地ではない。
「…私ね、全部聞いたよ、唐御君。
私達が別れた訳もね。」
ギクリ、と俺がしていると優華は話を続けた。
「ごめんね、唐御君」
「…何が?」
俺は眉をしかめて聞いた。
「あの時、すごい唐御君辛かったのに…
私の親が“別れてくれ”って言ったでしょ?
私が、気付いてあげられれば良かったよね」
そう言って優華は目線を床に落とした。
そんな優華の肩に俺は手を置いた。
「お前は…何も悪くねぇよ。」
優華は俺の目を見て
「ありがとう…」
そう言ってコーヒーの入ったカップを手に取った。
「桃花ちゃん…は、どうなったの?」
「あ、あぁ、今は俺が育ててる。
すっげぇ元気でさ、前も遊園地行って…」
(あー…、忘れかけてたのにな)
俺は調子に乗って話していると勇の顔を思い出してしまった。
「そうなんだ…、唐御君の所…。
家はどこにあるの?この近くなの?」
ヤバいと思った俺は話を変えた。
「優華こそ、何でここに来たんだ?
進学か?就職?」
優華は一瞬「あれ?」という顔をしたが話に付いてきた。
「私は…、両親のしたことが許せなくて
高校卒業してすぐに家を出たの。
唐御君に会いたくて、もう一度話がしたくて…
唐御君の、その…お父さんの事を調べたりして
何回か引越ししてここに辿りついたの。
…ごめんね、私ストーカーみたいね」
少し苦笑いをした優華に俺の手は自然と優華の頭へと
向かって行った。
優華の頭を撫でながら、俺は口を開いた。
「いや…、ありがとな。
俺の事、そんなに思ってくれて…」
すると、優華の目からは涙が出て来た。
「あれ?おかしいな…」
そう言って優華は涙を手の甲で拭った。
もう何だか付き合ってた頃の気持ちが
湧きあがってきて俺は優華を引き寄せて抱きしめていた。
間違いない。
俺は今も優華を好きな事を確信した。
俺の気持ちは変わってなかった。
「唐御君…?」
優華の声に俺は力を強くした。
もう離したくなかった。
それに応えるように優華も俺の背中にそっと腕を回した。