二人の父親。
―次の日―
「パパ、おはよー!」
「…はよ。」
当たり前だが、あんな会話しといて
熟睡なんか出来るはずがない。
俺って意外にデリケートだな。
「パパ、おめめ赤いよ?」
桃花が首を傾げてそう言った。
「あぁ、ちょっと寝れなくてな~」
そう言いながら俺はベッドから体を起こした。
桃花はそれを見て、ベッドから降りて
(俺の部屋の中にある)洗面所に向かって行き
「パパー、歯磨くでしょ~?」
と、水に濡らした歯ブラシを持ってきた。
「ありがと」
歯ブラシを受け取り桃花と歯を磨いた。
それから朝飯を食べに部屋を出ると
勇とかち会った。
「勇兄ー!おはよー!」
何も知らない桃花は元気にあいさつをした。
「おはようございます」
勇もまた挨拶をすると桃花はまた口を開いて
「あれ~?勇兄もおめめ真っ赤~」
「「・・・・・・・・・・・」」
(お前もか…)
俺と勇は無言で互いの目を見合った。
そして苦笑い…。
「パパ、勇兄、桃花先行っちゃうよ~」
そんな事をしてると桃花が小走りで食堂に向かって行った。
そんな娘を見つめる父親2人…。
これからどうなる?
これからどうする?
俺と勇はお互いに同じ事を考えているのが分かった。
そして食堂に着くと、世亜が1番奥の席に座っていた。
桃花はそんな世亜の横に座って俺らを待っていたようだ。
すると世亜があくびをしながら
「はよ。…何お前ら、いつの間に仲良くなったんだ?」
と言ったので、俺らは少し距離を離しながら
席へと向かった。
俺が座ると桃花はその隣にストン、と座った。
「パパー、桃花ね、夢見たのよ~」
「夢?」
「うん!」
桃花の話に付き合い始めると、世亜が勇に話しかける様子が
視界に移った。
ぼそぼそと小声で何かを話していた。
「?」
不思議には思ったが、厄介なことだと困るので
俺は桃花と話を続けた。
そして、朝食が運ばれてきたので
勇も席へと戻り、朝食を食べ始めた。