「水価 由来」という女。
俺は保健室に桃香を置いた。
「桃香、ちょっとだけここに居てなぁ?兄ちゃん野球やってくるから。」
桃香は少し悲しい顔をしたが保健室にあるものに目を奪われて遊んでいたので俺もまぁ、いっかと思い桃香を後にした。
だが、これがいけなかった。もう少し桃香の傍にいればこんな事には・・・。
この出来事には5年経った今でも後悔してる。
ガラッ
「あいたたた・・先生、急に生理が始まっちゃって・・・ナプキンあります?ってあれ?いないのぉ・・?まぁ、いいや、ナプキンの場所分かるし・・・えっと確かここ・・・「うー?」
「・・・・・・・・・・・え?何今の声・・・」
登校した女子生徒は急に生理に見舞われたらしい。
女子生徒は助けを保健の先生に求めたのだが・・・
「っきゃ――――――――――――!!!!!何これ!?人形!?」
ナプキンを探していたところ桃香を見つけた。
そして、嬉しい悲鳴をあげた。
「イヤー――――!!!可愛い!!!どうしたの!?迷子なの!?」
そう、この会話で多少は分かるだろう。
彼女は“子供好き”である。
彼女は桃香に頬ずりをしながら桃香を抱き寄せた。
その頃、野球部で・・・・。
「な、なんだ?今の悲鳴・・?」
「こば、今の保健室からじゃあ・・・」
唐御はそれを聞くと居てもたっても居られなくなり保健室へと走った。
「桃香!?どうした!?・・・・・・・あ゛!?」
彼がこんな声を上げるのも無理はないだろう。
最愛の妹が、見知らぬ女に抱かれているのだから・・・。
「「・・・・・・・・・・・・・・・。」」
「な、何よあんた。」
第一声をあげたのは女子生徒だった。
「あ、あんたこそ・・・誰だよ・・・。」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」
再び、沈黙・・・・。
「あ!あんた、同じクラスの小林 唐御ね!」
「は?俺のこと知ってんの?てか・・・誰?」
「ひっどい、同じクラスなのに!!」
「あ、俺人の名前覚えんの苦手だから・・・・。」
「はぁ、・・・水価由来よ。よく覚えときなさいよ?」
「水価・・・・・じゃねぇ!!俺の妹離せ!!」
唐御は彼女の名前を口に出したところで現状に気が付いた。
見知らぬ女に妹を抱かれているという現状を・・・。
「あ、あんたの妹?嘘つきなさいよ!こーんなに可愛い赤ちゃんがあんたの妹の訳ないでしょ!?」
「正真正銘おれの妹だっつーの!!!」
「嘘!!」
「嘘じゃねぇ!!!」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」
この二人はどうやら相性が悪い様子・・・。
「あんたが、実の兄だっていうんならねぇ・・・証拠を見せなさいよ!!」
「へっ、そんなもの楽勝!!・・・・・・桃香〜?」
唐御は優しく桃香の名前を呼んだ。
「たぁい?」
すると桃香が返事をした。
「ほらな?分かったろ俺は「キャー――――!!!かわいー――!!!」」
「人の話を聞け―――!!!」
「こば、一体何があった!?」
「小林、どうした!?」
やっと、先輩&先生たちが来た。
俺は現状を話した。
桃香はさっきから続く雄叫びにとうとう泣き出してしまった。
さっきまで泣かなかった方が可笑しいが・・・・。
「あ、あれ?どうしたの〜?えーと、桃香・・・ちゃん??」
由来と名乗る女子生徒は桃香をなだめるが桃香は泣き止まない。
「・・・・・・・・貸せっ。」
俺は見てられなくなっって桃香をそいつから取り上げた。
「よーしよーし、桃香〜。ごめんな〜。さっきからうるさかったんだな〜?」
「ひっく・・・ふっ・・・・」
俺がなだめはじめると桃香は徐々に泣き止んできた。
そして―――、
「すー、すー・・・。」
眠った・・・。
「・・・・・・あ、あの・・・。」
由来が下を向きながら俺に話し掛ける。
「ご、ごめんなさい・・・疑ったりして・・・。」
「別に・・・・・。」
俺はそう答えた。
他になんかいい言葉が見つからなかったからこう答えるしかなかった。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・。」」
「あ、あたし子供好きで、それでその子見た瞬間ときめいちゃって・・・。」
由来は必死に桃香を見た時の事を話し始めた。
「・・・あ!!!!!」
由来がいきなり声をあげる。
「ご、ごめん・・・。あたしちょっとトイレ・・・。」
「?」
由来はコソコソと保健室を出て行った。
「・・・あの日だな。」
誰かがボソリと呟いた。
純情な野球少年達は顔を真っ赤にしましたとさ☆
俺は、そんな事大丈夫だけど・・・。
これからあいつ使えるかもしんねぇ・・・と思った。
もしかしたら・・・・。
今回はこれからのキーになる人物を出しました、なっちゃんです。
この由来がこれからどんな風に使われるのでしょう?
想像して待っててくださいな。