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出発進行!

朝飯を食べて桃花に仕度をさせた。


この前世亜が桃花に買ったフリフリのワンピ―ス。

入学式に履いてくような可愛い靴。

オシャレな帽子。

それから…


「桃花、髪結ぶからこっち来い。」


「はーい♪」


言い忘れてたけど、

俺は桃花の髪をいじるのが好きだ。

さらさらな髪の毛でやりやすい。


「今日はどんなんがいい?」


「ん~…、かわいいの!」


「はいはい。

じゃあ、ふたつに結ぶか♪」


「うん!」


そして、髪を高い位置でふたつに結び

リボンを付けた。


自分の姿を鏡で見た桃花は


「かわいー!パパありがとー!」


と叫びながらぐるぐる俺の周りを回った。


コンコン


「よっ、仕度出来たか?」


またまた世亜の登場…


「おっ、かわいーじゃんか、桃花。

やっぱその服似合うわ~」


可愛い桃花の姿に世亜も機嫌がいいようだ。


「じゃっ、楽しんでこいよ」


そう言って世亜は部屋から出て行った。


(今日はやけに簡単に出てったな)


とかなんとか思いつつ俺も服を着替えた。

いつもの背広じゃ変だし…


(今日は暑くなりそうだな…)






3台車を使って出発した。

前と後ろは部下。真ん中は俺と桃花と勇。

運転は勇で、俺と桃花は後部座席。


(…気まずい)


俺と勇は口数少なく、桃花ははしゃいでいた。


「パパー、まず何に乗るのー?」


「ん?あぁ、桃花が乗りたいのでいいぞ」


「何があるの?」


目をキラキラさせながら俺に聞いてくる桃花。

…眩しいな、おい。


「なんでもあるからな~」


しかしまぁ…


可愛すぎるだろ、今日の桃花…


誘拐とかされないように気をつけなきゃな…


え?親ばかだって?

いやいやいや、違うって。

桃花、マジで可愛いから。

見せてやりてーくらいだし。


車で2時間ちょっとで無事に遊園地に着いた。

ゲートの前に来たその時の桃花の顔ったら…

目が宝石みたいに輝いて、もう可愛いったらない。


「パパー!勇兄ー!早く早くー!!」


興奮気味の桃花の後に付くように俺と勇は

足を速足にした。





俺は結構ジェットコースタが好きだけど…

当たり前だが桃花の身長では乗れない。


「パパー、桃花あっち行きたーい。」


そう言って桃花が指さす方を見ると…


『お子様ランド』


「…………あ~、あぁ…」


(そっか、そっちか…)


まぁ、今回は桃花が楽しむのが目的だからな…

別に俺が楽しむために来たんじゃねーっつーか、


いやいや、恥ずかしいとかそんなんじゃなくて

ちょっーと俺には向いてねーってゆーか…


そんな事を黙々と考えていると

俺の様子に気づいた勇が


「唐御様、宜しかったら私が桃花様を見てましょうか?」


と、案を出した。


正直そうして欲しいが俺だって桃花といたい。


でもやっぱり…



「どうしますか?」


「いや、いい」


「え?」


「俺が桃花見てるわ…」


俺は苦渋の決断をした。

ぶっちゃけ恥ずかしいが桃花の為なら…



そんなこんなでお子様ランドの門をくぐる俺達…

いかつい男が5人でこんな小さくて可愛い女の子を

連れているのを見て周りはヒソヒソと呟きだした。


いや、分かってたけどよ

やっぱり気分良くはねーわな…


それを察知した勇が部下達に

少し離れて歩くように言ってくれた。


俺と桃花は手を繋いで歩き、

その少し後ろで勇達が付いてくる感じになった。


勇は鋭い。


まるで、読心術でもあるんじゃね?って時には思うほどだ。

あいつの苦労がそれと同じような能力をもたらしたのかもしれない。


「パパ!桃花あれ乗る!」


桃花の声に我に戻って桃花の指の先を見る。


「え…、あれ…?」


(マジか…)


指の先にあったのはメリーゴーランドだった…

メルヘンチックだな、おい。


「じゃ、じゃあ乗ってくるわ、俺…」


あまりの恥ずかしさに声を震わせながら

勇に伝える俺。


「かしこまりました。」


(いや、大丈夫だ俺。

桃花の為桃花の為桃花の…)


そんな事を延々と呪文のように心の中で唱え続ける俺…。


そんなこんなで番が来て、桃花はお決まりの馬に、

俺は…馬車が限界だった。


後日談…あの時俺は死んだ魚のような目だったとか…。


終わったあと、桃花は満足そうな顔で勇の所に駆け寄った。


「勇兄ー!写真撮った?」


(…写真?)


俺はそこでハッ!と気付いた。


(あれ?デジカメ忘れたし…)


最悪。

部下には何も言ってねーし、完全にダメじゃん。

桃花の笑顔撮ろうと思ってたのに…


「はい、撮りましたよ」


と、話す勇の手元を見るとそこにはしっかりデジカメが…


(あいつ、抜け目ねーな…)


助かったような、ちょっと悔しいような…


「パパ~?」


「ん?」


「桃花、ソフトクリーム食べてもいい?」


桃花の向こう側を見ると小さい売店で

ソフトクリームを売ってるのが見えた。


「あぁ、あそこで売ってるやつな。いいぜ。

じゃ、勇。俺が買いに行くから桃花の事頼むぜ」


「私が行っても構いませんが…」


「いーって、ちょっと待ってろ!」


さっきの名誉挽回の為俺は売店に向かった。


しかし…



(…げっ、やば)


さっきは気付かなかったが近付くと

その売店前には結構な人が並んでいた…


「…最悪」


思わずそんな言葉が口に出た。



仕方なく俺は列に並んだ…。

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