事実のあとに。
俺は部屋に戻り昼寝中の桃花の横に
腰かけて桃花を見つめた。
「父親…か。」
俺はそう言って溜め息をついた。
(俺、この先どうなるんだろう。
勇と今まで通り接せられるのか?
桃花と勇が喋ってるだけで
ギクシャクしちまいそうだ…)
ガチャ
その時扉がノックもなしに開いた。
俺は勇かと思いビクッとして
扉の方を振り向いた。
「ハロー、桃…なんだよ、お前いたのかよ」
…世亜だった。
「いちゃ悪いっすかね?」
「誰も悪いも良いも言ってないけど?」
相変わらずなウザさだ。
マジむかつく。
「お前さぁ・・・」
「はい?なんすか?」
「さっき勇と話してたろ?
聞いたのか?」
俺は再びギクッとなった。
「な、何を…ですか?」
ぎこちない喋り方だ。
もろバレじゃん、俺。
「別にいいんだけどさ~…後悔したろ?」
世亜は扉を閉め、扉に寄りかかりながら
話を始めた。
「あいつが捨てられてたのは聞いたろ?
まだ勇には話してねぇけどよ
その時勇と一緒に紙が置いてあったんだ。
…何て書いてあったと思う?」
「…何て?」
「『この子はいらない子です。
殺してください』だとよ。」
俺は信じられなかった。
そこまでする人間がいるのかと。
「…まるで悪魔みたいっすね。」
「しかもまだへその緒まで付いててよ、
もう生まれてからすぐって感じでな…。
あまりにも可哀想だったよ。」
俺は何も言えなかった。
「じゃ、俺行くわ。
桃花起きたら伝えにこいや」
そう言って世亜は俺に背を向けた。
「…桃花は、本当に俺でいいんかな。」
そう呟いて桃花の髪を触った。