絶望を抱き、希望を願う。
…水価家…
由来の姉がぼそりと呟いた。
「やっぱり…
桃花を小林さんに
引き取ってもらった方がいいのかしら…」
その言葉に由来が噛み付く。
「お姉ちゃん!しっかりして!
やっとの思いで家を出てきたんじゃない!
桃花ちゃんだって、
そのうち私たちが本物の家族だって
解ってくれるはずよ!
あんな…
あんな奴の所に桃花ちゃんを
引き取ってもらったらそれこそ地獄だわ!」
由来は何が何でも
桃花を唐御に渡そうとしなかった。
「・・・。」
由来姉は黙り込んだ。
その時だった
電話が鳴った。
「誰かしら?」
「私が出るわ」
由来はそう言って受話器を
手に取った。
「もしもし、水価です
・・・え?
わ、解りました!
すぐ行きます!」
ガチャン!
「お姉ちゃん!大変!
桃花…桃花ちゃんが…!」
電話の主は桃花の入院してる
病院からだった。
内容は、桃花が暴れている
と、いうものだった。
二人は病院へ駆けつけた。
そして桃花の病室に行くと…
そこには、手足を拘束された桃花の姿…
二人は驚いて声も出なかった。
随分暴れたのだろう。
病室のガラスが椅子を投げた事によって
割れていた。
床にガラスの破片が散らばっている。
「…どうして…」
由来姉は嘆いた。
(私じゃダメなの?
私は、あなたを産んだのよ?
それを、あんな不良の家に
引き取られたと聞いて…
その事をどれだけ、私が…)
由来姉はその場に泣き崩れた。
それでもベッドの上で手足を拘束
された桃花はなおも暴れようとしていた。