巻き戻し。
1年後…
「唐御さん、こいつどうしますか?」
背広を着たゴツイ男が
唐御に問い掛ける。
「しらね、お前らの好きにしろや。
まぁでも…」
「?はい?」
「生かしてはおくなよ?」
ニヤニヤと笑いながら
煙草を加えながら唐御は車に乗り込み
去って行った。
「おい、すげぇよな。」
「あぁ…、たった1年でここまで
人って変われるんだな」
「しかもあの風格…
世亜様にそっくりだよな」
残された唐御の部下達は
口々に唐御への尊敬の言葉を漏らす。
そう…、そこには
すっかり変わり果てた唐御の姿があった。
背広を着て、煙草を加え、
後部座席にドカッと座っているのは
まぎれもない、唐御だ。
世亜の部屋ー
「-で?
あの裏切り野郎はどーしたって?」
世亜が俺に話し掛ける。
俺はダルそうに答えた。
「部下に任せました。
俺が出る幕って感じでもなかったんで」
「ふーん、
まぁ、あいつらなら心配ねぇか。
…ところで唐御。」
「?なんですか?」
「お前さぁ、女連れ込むはいいけど
ほどほどにしろよ。
病気になるぞ(笑)」
「ははっ、
そこまで馬鹿じゃないんで」
俺は苦笑いしながら話を合わせた。
「はっ、
あぁ、もう行っていいぞ」
その言葉を聞くと
俺はドアに向かい
「失礼します」
と、頭を下げて部屋を後にした。
「お疲れ様です、唐御様」
勇が俺に話し掛ける。
「あぁ」
俺も軽く返事を返す。
「この後のご予定は?」
「女と約束してるから」
「かしこまりました。」
唐御の眉間には1年前では
考えられない程のしわがたくさんあった。
おかげで、何もしていなくても
怒っているようだ。
バタン!
俺は自室の部屋のドアを
思い切り閉めた。
「あっ、唐御さ~ん」
女が一人、ベッドの上で待っていた。
「あぁ、お前か」
俺は、そう言うと背広の上着を脱ぎ
ネクタイを緩めた。
「さっそくなのぉ?」
女がわざとらしい声で
俺に問い掛ける。
「何か悪いか?」
俺は女をギラリと睨んだ。
…もうそこに1年前までの
唐御の面影はなく、
唐御は、女・酒・金 に溺れていた。
桃花との過去を捨てていた。
『あの時の俺は馬鹿だった』
そう思うようになっていた…。
『時間が戻っただけさ』
そう言い聞かせて
俺は激しく腰を振った…。