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世亜。



桃花、


お前が見てきた世界は

素晴らしい世界だったか?


もし、そうだったなら

俺は幸せ者だな。






俺は、ドアを叩いた。


ガチャ…



中から出てきたのは

執事のような男で

俺を見て口を開いた。


「お待ちしておりました。


世亜よあ様がお待ちです。」



「よあ…?」


俺は男が言った人物が誰か解らなかった。


「唐御様の父の名前です」


(あいつ…


世亜っていうんだ)


初めて聞いた父親の名前は

随分と変わった名前だった。



「て、いうかあんたは?


なんかヤクザにしては

やけに上品そうな感じだけど?」


俺はさっきから気になっていた事を

男に問い掛けた。



「ここは、唐御様が想像するヤクザとは

全く違います。


御了承下さいませ。


では、中へどうぞ。」


男は俺の問いに

ちゃんとした答えをくれず

俺を中へ通した。






「すっげぇ…


なんだここ?


本当にヤクザがいんのか?」



組の建物の中は地下に繋がっていて

まるでそこは、マンガに出てくるような

豪邸だった。


「驚かれましたか?」


案内している男が

またもや丁寧な言葉で

俺に話しかける。



「…」


俺は何も答えなかった。


しばらく歩くと

廊下の果てが見えてきた。


そこには豪華なドアがあった。


広く長い廊下の奥のドアを

男は開けた。


「!」


その中は、

中世ヨーロッパの城のような

部屋だった。


その部屋の奥には…


(…世亜…)


俺の父親がにやにやしながら

椅子に座っていた…



「はろー」


世亜はそのにやにやした顔のまま

口を開いた。


まるで俺をからかっているかのような

適当な挨拶。


俺はその態度にイラッとしながらも

平静を装った。


「よぉ、

これで満足か?」


俺もまた、

奴をからかうように言葉を発した。


「満足?


バカ言え。」


世亜のにやにやした顔が

不気味なにやにやとした顔になった。


「俺の目的はてめぇを仲間にする事じゃねぇ。


もっと大きな目的がある。」



「…?」


俺が不思議そうな顔をしていると


「まぁ、この話は後々解るだろうよ。」


そう呟いた。


俺はその言葉が気になったものの

一番大事な事を聞いた。


「優華はどこだ?」


「優華?


あぁ、あの嬢ちゃんか。


心配しなくても生きてるっつーの。

お前が契約書にサインしたら

すぐ解放するさ。」



そして、

奴は少し真面目な顔になり


「あー…


よーこそ、小林組へ。


お前の人生はこれからだ。


おい、勇!」


「はい」


返事をしたのは

さっきまで俺を案内していた

執事のような男だった。


「唐御を部屋へ案内しろ。」


「かしこまりました」


勇という男は

深く頭を下げ


「唐御様、こちらへ」


そう言ってドアを開けた。


「部屋…?」


と、俺が言うと


「部屋がなきゃどこで寝るんだよ」


世亜が苦笑いをした。


…少しイラッとした。





バタンと、音を立てて

ドアが閉まった。








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