決断の時。
優華が去ったあと、桃花は状況が読み込めず
呆然としていた。
「パパぁ…」
桃花は、涙を流しながら唐御を呼んだ。
「あ~、疲れた。」
朝方になり、俺は帰宅。
「ただいまっと」
俺は靴を脱ぎ、家に入った。
桃花の寝顔を見ようと、寝室に入ったが
桃花はいなかった。
「あれ?」
俺は、そう呟いてリビングに向かった。
「桃花ー?もも・・・・」
桃花はリビングにいた。
「桃花?」
桃花は放心状態だった。
「桃花!?
どうした!?」
俺は、桃花の体を揺さぶった。
すると桃花は、はっと目を覚ました。
そして、俺に抱きつき体を震わせた。
「桃花…?」
何があった・・・?
俺が桃花をなだめていたら
携帯が鳴った。
優華からだった。
「もしもし…?」
電話に出たものの
声の主は優華ではなかった。
「よぉ、唐御」
それは俺の父親。
「てめっ…
何で優華の携帯を?」
「はぁ?
よく考えれば解るだろ?
お前が散々してきた事だろ?
ゆ・う・か・い。」
「なっ…!」
俺が動揺していると
父親が喋りかけてきた。
「なぁ、俺はちゃぁんと条件を
のんでくれたら悪いようにはしねぇよ?」
「…条件?」
俺は息を飲んだ。
「お前がそのクソガキを手放して
俺の跡を継いでくれるなら…な」
「…俺にヤクザになれってか?」
「あぁ、そうしたら
大切な彼女とガキには手なんて
出さねぇよ?
ただし、ならねえってんなら…」
「………」
「彼女も、ガキも、お前も
殺すまでだ。」
「…!」
「決意が固まったら、明日俺の組へ来い。
来なかったら…解ってるな?」
「!
おい!ちょっと、まっ…ツーツー
…切られた。
(悪夢だ、
これは悪夢だ・・・
早く覚めてくれ、
頼む、頼む…!)
ふ、と胸に温もりを感じた。
「…もも、か」
スースー…
温もりの犯人は
さっき放心状態だった時に
抱きしめた桃花だった。
俺が帰って来て安心したのだろうか?
「寝てる…のか?」
返事はない。
俺は、桃花をとりあえず
ベッドへ運んだ。
そして、桃花の顔を見ながら泣いた。
声を押し殺して、泣いた…
何も、出来ない…
無力すぎて
「くっ…くっ…ふっ…」
辛い…辛い…
…苦しい…
どうすればいい?
今、俺には何が出来る?
ヤクザになって跡を継げば
桃花と優華は助かる。
でも、多分それを選んだら
桃花達には2度と会えないのだろう。
だったら、3人一緒に…
…!!
何を考えてるんだ?
馬鹿にも程がある…
心中でもするってか?
あほ、死ぬなら自分だけで死ねよ。
……
俺は一晩…
一晩ずっと桃花の顔を見ながら考えた。
今夜は、短すぎる
こんな事簡単に決めれる訳ない。
そして…、朝日が昇り始めた…。