危険。
あれから優華は
親には内緒にして桃花の面倒を
見てくれた。
桃花はまた優華に会えた事が
嬉しくて嬉しくて堪らないようだった。
俺もまた、頑張れる気がした。
優華は学校が終わった6時から
うちにすっ飛んできてくれて
夜の8時半まで桃花をみていてくれた。
ご飯を作ってくれたり
洗濯物をたたんでくれたり
桃花をお風呂にも入れてくれた。
それが、どんなに助かったか…。
俺も安心して仕事に行ける。
桃花も喜ぶ。
優華も、俺たちの役に立てて
嬉しいと微笑んでいた。
なのに、
なんでだよ。
なんなんだよ。
俺に恨みでもあるんかよ、
おい、そんなに俺が憎いんかよ?
なぁ、聞いてんのかよ
神様?
それは、優華がうちに来るようになって
2週間経った頃だった。
俺は、夜の仕事に行っていて
優華は夜ご飯の片付けをしていた。
ピンポーン..
チャイムが鳴った。
「はーい」
優華は、手を軽く拭いて
玄関に向かい、そして…何の疑いもなく
ドアを開けた。
優華は、目の前の人物を見て
目を少し細めた。
そこには一目見ただけでも
“危険”
と、解る雰囲気を纏った男が立っていた。
優華は少し後ろに引いて
「どちら様ですか?」
と、尋ねた。
男は、優華の問いには答えなかった。
「唐御はどこにいんだ?
ねーちゃん」
男は一層危険な雰囲気を強くした。
優華はやばいと本能で思った。
「と、唐御君は、今いません。
御用なら私が承ります。」
早く帰そうと必死だったのだろう。
優華は少し早口に言葉を喋った。
それを聞いて、男はハッと笑って
口を開いた。
「おいおい、
彼氏の父親に失礼な態度だなぁ?」
男はそう言って優華の顎を掴んだ。
優華は男が何を言っているのか
解らなかった。
(父親・・・?
何を言ってるの、この人・・・)
「普通は、中に入れて茶でも
出してくれるのが普通だと思うんだけど?
なぁ、お嬢さん」
男は優華に少し体をぶつけた。
優華はよろけ、その隙を狙って
男は玄関に無理矢理入り込んで来た。