桃花の想い。
俺はあれからいくつかバイトの面接を受けた。
その内受かったのは3つ・・・。
社会は厳しい事を知った17の俺。
それからはめまぐるしい日が続いた。
早朝コンビ二でバイトして一回家に帰って
桃花に飯作ってファミレスで昼バイト、
夜はクラブで・・・。
桃花の顔もろくに見れない位だった。
桃花がどんなに寂しい想いをしたのかなんて
考える余裕もなかった。
もう家に帰って風呂入るだけで精一杯…
その日も俺は朝方に帰って来た。
「・・・ん??」
俺はリビングの電気が点いてるのに気付き
ダルイ体を引きずってドアを開けた。
すると、ソファに桃花が寝てるのを
発見した。
「・・・・・・。」
俺は寝ている桃花にそろそろと近づいた。
しゃがんで桃花の顔を見ると桃花の顔には
涙の痕があった。
そこで俺はやっと気付いた。
桃花に寂しい想いさせてたのかも・・・って
きっと夜遅くまで待ってたんだろう
何か言いたい事があったのかもしれない
なのに,目が覚めると俺はもういない。
寂しかっただろうに
辛かっただろうに
悲しかっただろうに…
何で気付かなかったんだろう
忙しいを理由にして桃花をちゃんと
見てなかった。
「・・・・」
起きても寝てもいつも1人。
たまの休みもあんまり構ってくれない。
毎日作り置きのご飯。
外にも行けないから友達もいない。
普通の子供の生活じゃねーよな・・・
でも,今は俺はこんな事しか出来ない。
もっと安いアパートにでも引っ越せば
いいのかもしれない。
けど,そんな暇はないし
何より桃花の生活環境を大きくは
変えたくなかった。
俺の我が儘かもしれない。
「・・・はぁ」
俺は溜め息を吐いてもう一度
桃花の顔を見て頭を撫でた。
「・・・桃花,ゴメン」
そう言って桃花を抱っこして
ベッドへと運んだ。