また、別れ。
「…ぇ?」
優華の戸惑った声が携帯越しに
聞こえた。
「だから、飽きたってんだろ」
俺は少し荒い言い方をした。
「そんなの…納得出来ないよ。
私…何か唐御くんに何かした??」
優華の泣きそうな声が聞こえた。
本当は嘘だと笑ってやりたい。
そして、今すぐ抱き締めに行きたい。
けれど、俺は心を鬼にして
また優華を傷つける。
「理由なんかねえって。飽きたんだよ。…あ〜、まぢいい加減にしてくれねえ??」
「だって…唐御くんがそんな事言うはずないもの…」
「お前、俺の事どんだけ美化してんの??
俺は、お前が思ってるような
優しい男じゃねーんだっつの。
…じゃ、もう切るから。
電話もメールもしてくんなよ」
そう言って俺は電話を切った。
切る途中、優華の声が聞こえた気がする…。
俺は、溢れそうな涙を天井を
見上げて堪えた。
そこに、桃花が来た。
「ぱ〜ぱ」
「…桃花…」
桃花は絵本を持っている。
「桃花、絵本読んでほしいの??」
すると、桃花は嬉しそうな顔をして
「うん!!」
と、頷いた。
「・・・おいで」
手招きをすると桃花はよちよちと
俺に近寄ってくる。
俺は、絵本のタイトルを見た。
そこには、こう書かれていた。
『人魚姫』
(人魚姫か…
今は、そんな気分じゃねぇや…)
どーせならもっと明るい話を
選んでもらいたかったと少し
心のなかで愚痴をこぼした。
「…人魚姫は海の泡になって
消えてしまいました。
…ん??
桃花??…また寝てるのか。」
俺は絵本を閉じた
そして、目を瞑った。