世界で一番可愛い子。
俺はトボトボと
優華の家への道のりを
歩いていた。
優華の家に着いた。
俺は小さな溜息を吐いて
インターホンを押した。
「・…唐御君??」
優華の声が聞こえた。
「優華?桃香,連れてきた…。」
「う…うん。」
優華はそう言うと
玄関の扉を開けた。
「お・・おはよう」
「…あぁ…はよ。」
俺の異変に気付いた優華が
俺に問い掛けた。
「…何かあったの??」
俺は優華に変な心配を掛けたくなくて
何でもねぇ,と言った。
そんな空気を破るように
桃香が大きな声で
「ゆうねえ!あーよ!!(おはよ)」
と,叫んだ。
「え・・・・?も・・桃香チャン??」
「む?」
桃香は小さな首を傾げた。
「!…あ,そだ!優華,桃香が今朝起きたら
笑ってて…それで俺ビックリして
お前に電話かけたら切られて…」
俺は今朝の出来事を
説明しようとした。
けど,いざとなると
上手く話せない。
それでも優華は真剣な目をして
聞いていた。
「桃香…ちゃん…。」
優華はしゃがみ込んで
桃香を見た。
「ん?」
桃香は可愛らしく
また首を傾げた。
「…ゆうねえ?」
優華は涙を流していた。
「良かった・・・良かった…」
優華にギュッと抱きしめられた
桃香は意味不明そうに
おとなしくしていた。
そして優華の肩をポンポンと叩いて
「よしよし。」
俺はその言葉に
吹き出してしまった。
それに気付いた優華が俺を睨んだ。
(ヤベ…)
俺は苦笑いをした。
優華は「もうっ」と言って
立ち上がった。