あの子は目を反らさずに。
「パパ・・・・??」
俺は其の言葉にハッと目を覚ます。
「も・・・もも・・・か??」
慌てて優華から体を離し桃香の方へ向かう。
「どうした?起きたのか?」
俺は何も無かったのかのように
桃香の顔を覗き込んだ。
桃香は目を反らさなかった。
その異変に気付いた俺は
眉を潜めた。
「桃香「パパ。」
「!」
桃香のその目は・・・
“今,ゆうねえと何してたの?”
そう聞いている。
「・・・・っ。」
俺は視線を下に向けて
言葉を詰まらせた。
そのことに気付いた優華が
桃香に近づいた。
「桃香ちゃん,今日はご飯
ゆうねえの家で食べようか?」
桃香はその言葉を聞くと
うん,と言って頷いた。
「一緒に行こっか。」
優華はそう言って桃香の手を引っ張った。
桃香は優華に連れられてテチテチと歩く。
「・・・・・・・・・」
俺の心は
後悔の気持ちでいっぱいになっていた。
(・・・なんであんな事を・・・)
その時,優華が俺の方を
申し訳なさそうにチラッと見た。
俺は優華に申し訳なさそうな
瞳を向けた。
「ただいま〜。」
俺は眠った桃香をおんぶして
10時半に家に帰ってきた。
桃香を部屋のベットに
寝かせると
俺は溜息を吐いた。
そして
桃香の頭を優しく撫でた。
まるで
さっきの事を忘れさせる
魔法をかけるかのように・・・。
「・・・風呂,入ってくるか」