マモちゃんの夢
そして,桃香は退院した。
・・俺にも優華にも
看護師にも,笑顔を見せることなく・・・。
あれからと言うもの
あいつらからの連絡は来なくなり,
俺とマモちゃんは元の生活に戻る事が
出来た。
「こば,マジで良かったよな〜。
先輩達からメールも電話も来なくなってさ!」
マモちゃんは清々しい顔で俺に言ってきた。
「・・・マモちゃん,俺さ・・・」
「ん?どした,こば。」
「・・・・・もうどうしたらいいのかわかんねぇ。」
俺は眉をハノ字にして情けない顔になった。
「ど・・・どうしたんだよ!こば!
ほら,話なら聞くから!!」
「本とか?」
「ホントだって!」
俺はマモちゃんに全てを話した。
「・・・そんなこと・・・本当にあったのか?」
「・・・・あった・・・。」
マモちゃんは目を見開いて呆然としていた。
「つか・・・お前に妹・・・。」
「・・・前から言ってんじゃん。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
マモちゃんは桃香の存在をようやく
認めたらしい。
「・・・そっか。・・・あのさ,こば。」
「・・・なに。」
「俺の夢・・・知らねぇよな?」
「知るわけ無いじゃん。」
「だよな・・・。あのさ,俺・・・保育士になりてぇんだ。」
「・・・・・・・はぁ!!???」
俺が教室の皆に振り向かれたのは言うまでも無い。
「こば・・・ちょいこっち来い。(怒)」
マモちゃんは黒い笑みを浮かべて,
俺の腕を引っ張った。
=====屋上=====
「マモちゃん・・・保育士って・・マジ!?」
「大マジだよ。・・・そんなに可笑しいか?」
マモちゃんは俺を睨みつけた。
「ちーがう,ちーがーうって!!
すげぇなって思ったんだよ!!!」
「・・・すごい??」
「そうだよ!男が保育士になりたいとか・・・
そうそう言えるもんじゃねぇもん!!」
「・・・・・・・・・こば。」
そう言うとマモちゃんは泣き出した。
「わっ,わっ。どうしたんだよ!?マモちゃん!」
「家族も・・・皆反対するから・・・」
マモちゃんは泣きながら今までの事を話した。
・・・・
マモちゃんは,
実は父親が会社の社長で,
今は珍しい跡取なんだと。
それでも
マモちゃんは子供が大好きで,
保育士になりたいって訴えた。
・・・でも,聞き入れてもらえなくて
今に至るわけ――――――。
「そっか・・・マモちゃんが跡取ねぇ・・・。」
俺は落ち着いてきたマモちゃんに
話し掛けた。
「・・・・酷い話だろ。もう,生まれたときから
将来が決まってるなんて・・・。」
「あ〜,まぁな。俺には考えられん話だな。」
「だよな・・・。」
マモちゃんはガックリと首をうな垂れて
溜息を吐いた。
「・・・・つか・・・それと桃香が何か関係
あるのか??」
俺はふと思った。
「いや・・・その・・・会わせて欲しいなー・・・
なんて・・・。」
「・・・・は?桃香にか?」
「そう・・,そのこと言ってから子供と
あんまり接触させてもらえなくてさ・・・。」
「あ・・・あ〜,いいけどさ・・・」
「ま,マジか!?ありがとう!こば!!」
マモちゃんは満面の笑みで
あたりに花を散らしながら(笑)
俺に抱きついた。
「ぎゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
まぁ・・・マモちゃんの夢を
知った日だったわけ・・・。
遅くなって
大変申し訳ございません。
完結まで時間が掛かりそうです。
今年中には完結させたいと
思っていますので・・・。
皆様,応援を宜しく
お願い致します。