友情2
痛そうな拳が俺の顔を目掛けて来る。
けれど,喧嘩上級者の俺には動きが見える。
(へっ・・・)
「こんな・・・もんかよっ!!!」
俺は拳を交わして先輩の顔を素早く殴った。
すると,先輩は変な声を出して倒れた。
「なっ・・・辻!!」
どうやら,この先輩が一番の要だったらしい。
他の上級生達は,皆武器を持ちはじめた。
「てめぇ!!覚悟しろよ!!!」
そう言って上級生たちは,バットやらを取りだして
俺に向かってきた。
俺は“あれ当たったらいてぇんだろうな・・・”とか
考えながら,攻撃を避けていた。
「はぁはぁはぁ・・・てっめぇ・・・」
一回も当たらない攻撃に俺は無傷だ。
上級生達は疲れてきたらしい。
俺はここだと思った。
「あれあれ・・・先輩たちお疲れのようっスね。
じゃぁ,俺が楽にしてあげますよ♪」
俺はそう言って上級生からバットを取り上げ,
川口にそれをパスした。
「川口!」
「お,おうっ。」
そして俺は先輩達に一人ずつ腹を蹴飛ばしてやった。
中には血を少し吐いた奴も居た。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
喧嘩は終わった。
「と・・・唐御,お前・・・すげぇよ・・・」
川口が俺に賞賛の言葉をくれた。
「それより・・・裕太,大丈夫か?」
「わかんねぇ・・・とりあえず保健室連れてくか?」
「・・・あぁ,そうしっか。」
俺達は裕太を抱えて体育館裏を出ようと角を曲がった。
すると・・・・・・・・・
「!! 優華・・・!!」
優華がどうやら,喧嘩を除いていたらしい。
「唐御・・・君,え,えっと・・・私・・・」
「あー,あー,話は後で聞くから。」
そして,俺達は保健室に向かった。
〜〜〜〜〜〜〜〜保健室〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「・・・酷いわね・・・こんな事するなんて・・」
先生は裕太を看病しながら呟いた。
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・。」」」
俺も,川口も,優華も黙りこくった。
その沈黙を破ったのは優華だった。
「あ,あのね唐御君。私・・・喧嘩見て思った事があるの。」
「・・・・?何だよ?」
「喧嘩って一重に言っても,唐御君の喧嘩は
大切なものを守るための喧嘩なんだって事・・・」
「! 優華・・・。」
「喧嘩してる時の唐御君,すごく必死な顔で・・・
でも・・・かっこよくて・・・」
優華が顔を赤らめながら言った。
先生は手当てに夢中で俺達の話は
聞こえてないようだった。
「優華・・・・・・,サンキュ。」
俺も顔を赤らめながら言った。
「だから・・・私,唐御君に喧嘩止めて
なんて言わないね?」
優華は下を向いて申し訳なさそうに言う。
「・・・・あぁ・・・。」
桃香・・・
桃香が・・・(TAT)。