君と出会った日。
俺の人生を変えた人物。
それは、一人の赤ん坊だった。
あー、そこ笑うなって。大マジなんだからよ。
その赤ん坊は俺と15歳離れた妹で。
俺は、母さんと父さんが高校を卒業してすぐに出来た子供。
だから、母さんはまだ33歳。
まぁ、それなりに若い。(俺からみたらババアだけど)
けど、父さんは俺が小さいときに死んだのかどうか知らねぇけど消息が不明らしい。
だから、一人で家計を支える為に母さんは水商売をやってる。
だから俺は布団の中で絵本を読んでもらった記憶なんて一回も無い。
当たり前だけど、母さんとは昼寝以外で一緒に寝た事も一回も無い。
だから、つまり、俺が言いたいのは・・・
俺の妹はどっからやってきたかっつーと・・・。
おいおい、今他の男とか愛人考えなかったろな?
・・・・俺の妹は母さんが女の子が欲しいって孤児院から連れてきたんだ。
だから、血が繋がってない。
俺は実の妹じゃないならどうでもいいと考えてたから妹が来たその日も街で遊んでた。
でも、知っていたのはまだ小さい小さい産まれたばかりの赤ん坊だって事。
まぁ、それだけしか知らなかったんだけど。
俺は3ヶ月経つまで赤ん坊の顔をろくに見ようともしなかった。
それどころか、自分の妹の名前さえ知らなかった。
俺はくだらない学校生活を終えて家に帰ってきた。
母さんの出勤は8時から。
だから、俺が帰ってくる7時半まではギリギリでいる。
なんでこんなに遅いかって?
あんた、俺が部活やってないとでも思った訳?
部活やってたんだよ。
ぶ・か・つ。
え?何の部活かって?・・・野球だよ。こんなんでも野球推薦でこの高校に来たんだよ。
おつむが無さ過ぎる俺はここに来るしか無かったって訳。分かった?
その日俺は「あぁ、疲れた。」と言ってリビングのソファにドサッと音を立てて座った。
「お帰り、唐御。」
もちろん無視だ。
「・・・・・桃香。」
母さんがボソリと呟いた。
「あ゛?」
俺は意味不明の呟きに少しイラついて聞いた。
「その子、桃香っていうのよ。」
母さんが指を指すその先にはベビーベットでスヤスヤと寝息をたてる赤ん坊がいた。
「・・・それが何?」
「いや、唐御は名前知らなかったかなかなー、って思って。」
・・・母親っていうもんはうぜぇほどお節介だ。そんな事誰も聞いてねぇのに。
「あ、そ。」
俺は冷たく返事を返すとテレビのリモコンに手を伸ばした。
「あっ、母さんもう行かなくっちゃ!唐御、ご飯は自分でよそって食べてね。」
母さんはそう言い残すと玄関へと足を運んだ。
「・・・・・・・・・・桃香ねぇ・・・。」
俺は初めてベビーベットに足を泳がせた。
そして、赤ん坊の顔を見た瞬間俺は目をまん丸にした。
今回は妹のベビーベットへと向かった唐御のお話しになります。なんえ、唐御が目を丸くしたのか期待して(そんな事いっていいんか?)待っててください。