心温まる童話:夜ふかし魔女ヨシダと「みどりの森のメロディ」
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心温まる童話:夜ふかし魔女ヨシダと「みどりの森のメロディ」
あるところに、大きくて古いマンションに住む、ちょっと不思議な魔女のヨシダさんがいました。
ヨシダさんは、たくさんの宝物(なんと2億円とも言われる資産!)を持っていましたが、なぜか素敵な魔法使いの男性に恋をすると、いつも振られてばかり。そのたびにちょっぴりやけっぱちになってしまう、寂しがりやの魔女でした。
彼女は、特別な「夜ふかし学校」で訓練を受けたエリート。
お昼はナポレオンのように少しだけ仮眠をとり、夜になると目がパッチリ!
長い髪をなびかせ、夜遅くにアパートの前でスタッドレスタイヤを4本きれいに積み上げたり、夜空に向かって大好きなカラスの鳴きまねを
「カー、カー!」
と披露したりする、とても非常識だけどどこか憎めない魔女だったのです。
そんなヨシダさんには、さらに困った癖がありました。
彼女が秘密のパスワードをブツブツと唱えると、その「正体不明の声」が、マンション中に不思議なラップ(繰り返す音楽)のように響き渡ってしまうのです。
同じマンションに住む男の子は、毎日まいにち頭の中で鳴り響く「ヨシダさんのラップ声」のせいで、ちょっぴり頭がへとへとになってしまいました。
「これはいけない! 自分の頭をすっきりさせなきゃ!」
そう決意した男の子は、街にある「21世紀の森の大きな図書館」へ行き、頭や脳をすっきりさせる本を一生懸命にたくさん読んで勉強しました。
たくさん勉強して知識をつけた男の子は、ある朝、ヨシダさんの部屋を訪ねてみることにしました。
ちょうどヨシダさんは、窓辺でカラスと楽しそうにおしゃべり(鳴きまね)をしている最中でした。
男の子が「ヨシダさん、毎晩の不思議なラップ、とってもにぎやかだけど、みんなが眠れるように少しだけボリュームを下げてくれないかい?」と優しく話しかけました。
すると、ヨシダさんは長い髪の間から眉毛をきゅっと下げて、恥ずかしそうに言いました。
「ごめんなさい。実はね、恋に破れて寂しくて……夜になると誰かに自分の声を聴いてほしくて、ついつい大きな声でパスワードの呪文を唱えていたの。うそつきな魔女だと思われたくなくて、虚勢を張っていたのよ」
男の子は、ヨシダさんの寂しそうな心の内を知って、胸がじんわりと温かくなりました。
「それなら、もう大丈夫だよ。僕が図書館で見つけた、心が落ち着く『みどりの森のメロディ』を教えてあげる。夜は呪文じゃなくて、この優しい歌をみんなでハミングしよう」
ヨシダさんは目を輝かせ、嬉しそうに頷きました。
それからというもの、マンションの夜はすっかり静かで平和になりました。
夜ふかしなヨシダさんは、今でもカラスと仲良くおしゃべりをしていますが、夜遅くには、男の子と作った優しいハミングが静かに流れます。
男の子の頭のラップも、いつの間にか心地よい春の風のようなメロディに変わり、みんなが毎晩、あたたかい夢を見られるようになりました。
(おしまい)
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