第4節:光圀の器と、陥落(チョロイン化)
本日はもう一本投稿します。
マリアは驚いた。
自分の剣を、指一本で制されたこと。
そして何より、目の前の男の瞳に、微塵の恐怖も媚びもなかったことに。
光圀はマリアから視線を外し、周囲の船員たちを見渡した。
荒くれ者たち。傷だらけで、一筋縄ではいかない海の男たち。
だが、彼らがマリアに向ける視線には、侮蔑や劣情はない。
あるのは、絶対的な「信頼」と「敬意」だった。
「……だが、驚いたな」
光圀は再びマリアを見た。
今度は、値踏みするような目ではない。
一人の「将」に対する、敬意を込めた眼差しで。
「¡Es increíble!(すげぇな、あんた)」
光圀は少年のように目を輝かせた。
「俺と同じくらいの年で、これだけの猛者どもを束ねてんのか。親の七光りや、飾り物の神輿じゃねぇ。……あんたの実力だ」
嘘偽りのない、直球の称賛。
「女なのに」という枕詞はない。
ただ、一人のリーダーとしての器を認め、感嘆している。
マリアの動きが止まった。
これまで、女だ、子供だと侮られることはあっても、初対面の男にここまで真っ直ぐに認められたことはなかった。
カアァァァッ……。
マリアの白い頬が、耳まで瞬時に朱に染まる。
彼女は慌ててサーベルを鞘に納め、そっぽを向いた。
「べ、別に……! 当然のことをしているだけだ!」
声が裏返っている。
「……か、勘違いするなよ! 貴様らが怪しくないか、見極めるまでは生かしておくだけだ!」
(チョロい……)
助さんと格さんは同時に心の中でつぶやいた。
光圀の天然ジゴロスキル、国境を越える。
「野郎ども! こいつらは客だ! 客室へ案内しろ! ……今夜は歓迎の宴だ!」
マリアが叫ぶと、船員たちはニヤニヤしながら「アイアイサー!(船長、顔真っ赤だぞ……)」と応えた。
(誤字報告も助かります……!) それでは、また次の冒険でお会いしましょう!




