第3節:女船長マリア登場と、格さんの失言
光圀たちは縄梯子を登り、広大な甲板に立った。
周囲を百人近い武装船員に取り囲まれている。
助さんは涼しい顔で周囲を見回し、瞬時に全員の武装レベルと死角、そして制圧ルートを計算していた。
(いつでもやれます、という目配せを光圀に送る)
一方、格さんは緊張でカチコチになっていた。
彼は目の前の少女船長を凝視し、覚えたてのスペイン語で独り言を漏らした。
「……¿Una mujer... es la jefa?(……女が……頭か?)」
それは、扶桑国の武士としては素朴な疑問だったのかもしれない。
だが、マリアにとっては最大の逆鱗だった。
ジャキッ!!
銀閃が走る。
マリアが抜いたサーベルの切っ先が、格さんの喉元数ミリで止まっていた。
「¡¿Qué has dicho?!(今、なんと言った!?)」
マリアの瞳に、憤怒の炎が宿る。
「女だからなんだと言うのだ? 貴様ら東洋の蛮族は、性別でしか人の器を測れないのか!?」
「ひっ……!」
格さんが息を呑む。
殺気が肌を刺す。
船員たちも一斉に殺気立ち、マスケット銃の撃鉄を起こす音が響く。
一触即発。
その間に、スッと手が割り込んだ。
光圀だ。
彼は刀も抜かず、素手でマリアのサーベルの腹を、人差し指一本で軽く押さえた。
「Perdón, señorita.(悪かった、セニョリータ)」
光圀はマリアの殺気を正面から受け止め、微笑んだ。
「Mis compañeros son cabezotas.(連れの無礼は俺が詫びる。こいつは石物みたいに頭が固いんだ)」
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