表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/9

第2章:海賊船の乙女と、一目惚れの方程式  第1節:黒き聖母との遭遇

 太平洋のど真ん中で漂流すること、数日。


 『神龍丸』は波間を彷徨っていた。

 助さんの蒸留器のおかげで水には困らず、家康公秘蔵の堅焼きビスケット(乾パン)のおかげで餓死の心配もない。

 だが、進むべき道が見えないという閉塞感は、ボディブローのように三人の精神を蝕み始めていた。


「……暇だ」


 光圀が船底に大の字になって呟く。


「暇すぎて、空の雲の数を数え終わっちまった」


「若殿、それは禅の修行にも通じる境地……と言えなくもありません」


 格さんも少し憔悴している。彼の手にある『論語』は、もう三回ほど読み返されていた。


 その時。


 マストの上で見張りをしていた助さんが、音もなく甲板に降り立った。


「若殿。……出ました」


「何がだ? クジラか?」


「いえ。もっと厄介で、もっと面白い獲物かもしれません」


 助さんが指差す水平線の彼方。

 朝霧の向こうから、巨大な影がぬっと姿を現した。


 それは、日本の和船とは比較にならない巨躯を持つ、三本マストの帆船だった。

 船腹には無数の砲門が並び、メインマストには極彩色の紋章旗が翻っている。

 そして何より目を引くのは、船首に飾られた黒塗りの聖母像ブラック・マリア


「ガレオン船……! 南蛮の軍船か!?」


 格さんが飛び起き、腰の刀に手をかける。

 当時の扶桑国において、この海域に現れる外国船は、侵略者か海賊のどちらかと相場が決まっている。


「へぇ……。デカいな」


 光圀は身を起こし、口笛を吹いた。


 警戒心よりも好奇心が勝っている。

 その瞳は、新しい玩具を見つけた子供のように輝いていた。


「面白くなってきやがった。……助、格。身嗜みを整えろ。お客様・・のお出ましだ」


皆様の反応が一番の栄養源です。 面白かったら、下の【☆☆☆☆☆】から評価をポチッとお願いします! 感想欄で皆様と盛り上がれるのを楽しみにしています!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ