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第2節:助三郎、情報を釣る

本日2本目です。

 翌日の昼下がり。

 甲板の一角では、船員たちの休憩時間に賭け事が行われていた。

 樽をテーブル代わりに、ダイスやカードが飛び交う。


「さあ張った張った! 次の目は偶数か奇数か!」


「レイズ(上乗せ)です」


 涼しい顔で銀貨を積み上げたのは、助さんこと佐々木助三郎だ。


「おいおい、またかよ! イカサマじゃねぇのか!?」


 船員たちが悲鳴を上げる。

 だが、助さんの指先は神業のように滑らかで、誰もそのトリックを見破ることができない。

 そもそも、彼はイカサマなどしていない。

 ただ、ダイスの回転数と落下角度を超人的な動体視力で読み切っているだけだ。


「悪いですね。今日のツキは私にあるようです」


 助さんは山盛りの銀貨を引き寄せると、その中から数枚を弾いて船員たちに返した。


「ですが、独り占めは性に合いません。……これで極上の酒でも開けてください」


「へへっ、旦那は話がわかるな!」


「やっぱ好きだぜ、助の旦那!」


 船員たちは現金の還元に大喜びし、空気が一気に緩む。

 助さんは微笑みながら、自然な流れで話題を振った。


「そういえば……そろそろインカ帝国の海域ですが、妙な噂を聞きませんか?」


「ああ、提督のバルデスのことか?」


 酒が入った船員の一人が、顔をしかめて言った。


「あいつは腐ってやがる。原住民を人間扱いしねぇし、遺跡を掘り返して黄金を独り占めしてるって噂だ」


「それだけじゃねぇ。マリア船長の親父さん……先代も、あいつの不正を暴こうとして消されたって話だぜ」


 助さんの目が、一瞬だけ鋭く光った。


(……なるほど。マリア殿が背負っている『密命』と『父の死』。点と線が繋がりましたね)


 彼は表情を変えずに頷いた。


「ほう……それは捨て置けませんね。私のあるじが、最も嫌うタイプだ」


(誤字報告も助かります……!) それでは、また次の冒険でお会いしましょう!

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