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ツルギの剣【再編集版】  作者: 稲枝遊士
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第六十九話 交友




 シャワー室で汗を流す一同。


 不意にかしゃっ、とシャッター音が響く。


 何事か、と剣が振り返ると、そこにはカメラを構えるアバドンの姿。



「……なんでアバドンさんはカメラを持ってるの?」


「心配ご無用である。

 このカメラは防水故、壊れることはない」


「いや、むしろ壊れてくれた方が安心なんだけど」



 剣はアバドンの方に向き直りながら言う。


 すると再びかしゃっ、とシャッター音。


 隠すものも無い、正面からの全裸を写真に収められる。



「今撮ったでしょ」


「撮ってないのである」


「いや撮ったやろ」


「確実に撮ってたね」



 真希と日佳留も会話に割り込み、つっこみを入れる。



「吾輩はシャッターチャンスに反応しただけである。

 悪意は無いのだ」


「よく分からないけど、女の子の裸を撮りたかったってことでいいよね。

 変態じゃん」


「変態ではない。

 ちょっと年頃のおなごの裸体に並ならぬ興味があるだけである」


「やっぱり変態じゃん」


「変態ではな~い!」


「でも口からヨダレ出てるよ」


「おっとまずいまずい」



 剣に指摘され、苦し紛れに次の被写体を求めて移動するアバドン。



「……ねえ盾、あれ止めさせたほうがいいんじゃない?」


 剣は少し離れた場所でシャワーを浴びる盾に声を掛ける。


 だが、盾は困ったようなため息を吐いて答える。



「無駄ですわ。


 もし直接の撮影を止めさせたら、次は盗撮が始まりますもの。


 裸が撮られるだけのうちはまだマシですわ」



「えぇ……やっぱあの人、変態なんだ」



 どおりで誰もアバドンを止めないわけだ、と剣も納得……しそうになったが、いやいや、と首を横に振る。



「変態というか、それはもう犯罪だよ!」



 しかしやはり、誰も剣のように抵抗しようとはしない。


 これが慣れというものなのだろう。


 自分のいない二ヶ月分の重みを、妙な形で思い知る剣だった。






 汗も流し、一同揃って脱衣所の椅子に座って涼む。


 だらしなく、誰も制服に袖を通す気配が無い。

 下着姿のままだった。



「……あー」



 扇風機に声を掛ける剣。


 音が震えて聞こえる。


 その脇で、アバドンとラブ将軍が下らない会話を繰り広げている。



「やはり吾輩は、大きい方が良いと思うのである」


「愚か者め。

 未成熟のあどけなさこそ至高だ」



 多分胸の話だろうな、と推測する剣。



「ステラやマキ殿ののおっぱいを見てみるのである。


 あれは……もう、たまらんのである。

 触りたい」



「いいや、日佳留君や盾君のような成長途上の胸こそ美しい。

 撫でたい」



 この二人は馬鹿なのかな。

 と、剣は思った。


 実際に馬鹿なのだろう。


 筒抜けの会話に誰もが呆れている。


 が、二人は厭わず話を続ける。



「ただ、一つだけは間違いないのである」


「ほう、それは何だね」


「ナイル殿のような絶壁だけは論外」


「確かにな」



「ちょっと待ってくれ二人とも!


 僕に失礼じゃないか!?」



 とばっちりを受けて抗議するナイル。


「黙れ壁!」


「お主なんかNBでシールドブレイク狙ってりゃいいのである!」


「よく分からないが馬鹿にしてるのは確かだね!?

 僕だって多少気にしているんだから、この問題は触れないでほしいのだが!」



「誰がお前の胸など触るか!」


「触る胸も無いのに偉そうである!」



 あまりにも酷い言われよう。


 ラブ将軍とアバドンは白熱しているのか、ナイルに向けて躊躇いも無く暴言を浴びせる。


 さすがにナイルが可哀相だ、と剣はナイルの肩を持つ。



「ナイルさんだって、きっと男装とか似合いますし、素敵ですよ」




 逆効果だった。


 ナイルは膝を抱えていじけてしまう。


 剣は意図せずトドメを刺してしまった。

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