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ツルギの剣【再編集版】  作者: 稲枝遊士
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第六十七話 日常へ




 放課後。


 剣は真希と日佳留に引っ張られながら野球部の部室へ向かう。



「よーし。


 剣、びっくりするで?


 扉の向こうにゃドッキリゲストがおんねんで?」



「いや、あのね真希」



「ほらほら、剣ったらモタモタしないの!


 それともアタシが抱っこして連れてってあげよっか?」



「あ?

 日佳留、剣はウチの女やで、なに手ぇ出そうとしとんねん!」



「何よ~、剣はアタシのものだからね!」



「あの、二人とも」



「ええから剣は付いてくりゃええんや!」


「そうだよ、アタシに付いてきね!」


「いやウチやろっ!」


「アタシですぅ~っ!」



 聞く耳持たない二人。


 これには剣も困惑するしか無い。


 まるでナイルと日佳留の口喧嘩に巻き込まれた時のよう。


 これにナイル本人まで加わる可能性を考えると、つくづく先が思いやられる。



 剣はため息を吐きながら、仕方なしに二人に引き摺られていく。


 そして部室の正面に到着。



「それじゃあ、開けるよ?


 開けちゃうよ!?」



「びっくりすなよ~?」



 楽しそうな二人、だが、既に剣には想像がついていた。


 扉の向こうに誰が居るのか。


 日佳留と真希の魂胆まで、全部お見通し。



「はい扉あけちゃった~っ!」


「いらっしゃ~い、ってやつやで剣!」



 ぽん、と真希が剣の背中を押し、部室へ入れる。


 やはり剣の想像通り、部室には盾が居た。


 練習用のユニフォームに着替え、ちょうどグラウンドへ出るところだった。



「おつかれ、盾。

 お昼ぶりだね」


「ええ。

 お昼ぶりですわね、剣」



 二人は何てこともなく言葉を交わす。


 そして盾はそそくさとグラウンドへ向かう。



「ほら、お二人とも。

 アホな顔してないでさっさと準備なさい」



 盾は言い捨て、走り去った。


 想定外の事態に真希と日佳留は固まっていたが、すぐに意識を取り戻す。



「ちょっと待てや盾!

 だれがアホ面じゃ!」


「っていうか二人とも、なんで驚かないのよ~、もう!」



 それぞれが感情のままに声を上げる。


 剣はそんなアホ二人には構わず、自分のロッカーはどこかと探すのだった。

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